(詩) 漂泊のフォルム




割れたガラスの欠片かけら に立つ時
ただことりと響いた羽の量感

空中をしなやかに舞いながら
体を尖らせて
風を屈折する
鳥のフォルム

彼の真下で溶けた湖畔
青く濁った水面に線が引かれ
その示された道を飛んでゆく
宿命のように

羽の中にしまい込んだ
二つの小石を落とした

音を立てずに広がる記憶
地平線の境界が崩れ去り
姿をあらわす空白

薄く染めぬいた笛
磨いた牙
閉じた耳

風の内側で充満する沈黙に
彼は細く澄んだ声で応じた