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57歳

果てしない何月を生きてきた私は初めて人生を振り返ってみた、子の頃は大人に憧れ大金を掴むのが夢で、好きな事をし自由に生きてみたかった。

実際は金を掴もうとすると自分の自由な時間を差し出し金に変えなくてはいけない、他の手段もあったのだが僕はその手段に馴染めず、今の道を選んだ。

その事に後悔はなく懺悔もしないのだけれど、一つだけ心残りは妻なのである、一人では金を掴む量はたかがしれているので妻を巻き込んでしまった。
普段口うるさい妻は内心では気丈で心に決めると、淡々と突き進むタイプ。

僕は、そんな妻の心情を知り尽くし利用してしまった。十七年間という妻の自由な時間を奪った。彼女はただひたすらに私と働いてくれた、我が子を大きく立派な大人にすると言う私の大嘘の為に。

今はお互い別々に働いている、振り返ってみると何も価値あるものは残らなかった、この先の人生は後少しだと言うのに何も残らなかった。
十七年間の時間も戻りはしない。

ごめんね、こんな僕で。
ごめんね、お金残してあげられそうにないや。
ごめんね、幸せにしてあげられなくて。

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