【Edge Rank 1141】興味のピークアウト【ゆうせい】
いろんなものへの興味がピークアウトした。格好をつけてピークアウトと書いてみたけれど、僕も四十六歳となり、すこしばかり落ち着いたのだと思う。あれ、もっと格好つけた感じになってしまった。
熱しやすく冷めやすい。幼い頃から両親と祖父母に言われ続けて大人になりました。少なからず誰にだって思い当たることはあるはず。そもそも熱するだけいいじゃないか。何かに夢中になって興味をもつ。最高だ。
でも、大人になって、いろいろと興味のピークアウトを迎えてしまうのは「やったことがある」が増えてくるからだろう。
スポーツジムに通ったことがある。素敵な日記帳を買って日々を綴ったことがある。他にも陶芸とか空手とか英会話とか、始めてみたはいいけれど、続かずに辞めてしまったこと、たくさんありますよね。あってほしい。
ちゃんと続けてますけど?
はい、そういう方もたくさんおられることは存じております。すごいと思います。
だけど、そんなすごい人でもきっと辞めてしまったことってありますよね。あってほしい。
話を戻す。僕の中の好奇心がピークアウトしてしまったことでしたね。とは言え、今はまだ知らないだけで、僕をこれまでにないほど夢中にさせてくれる何かに出会っていないだけかもしれない。そう思わないと、この先に楽しいことが起きないと思って生きていくなんてつまらなすぎるから。
何かのきっかけで、うっかり冬山登山を始めるかもしれないし、急にエレキギターを奏でるかもしれない。夕焼けの虜になって毎日撮影し、個展を開くことも可能性はゼロではない。
限りなくゼロだと、僕を四十六年うしろで見てきたもう一人の僕が言っている。無視している。限りなくゼロだけど、ゼロではない。自分への腹いせにエレキギターを買うかもしれない。買って3日間は練習して、押入れの奥のそのまた奥に押し込むかもしれないけど、ギターは買ったぞという事実だけを武器にもう一人の自分に抗うかもしれない。
幸いなことに文章を書くことだけは続いている。仕事以外にも、このエッセイを書くことも含めて、辞めることはないと言い切れる。
書くのと同じくらいエッセイを読むのもすきで、最近は男性作家のエッセイを探して読んでいる。なぜかはわからないけれど、男性作家のエッセイは女性作家に比べて極端に少ない気がする。男は格好をつけたがる傾向にあるから、エッセイに向いていないのかもしれない。
このエッセイも出だしから格好をつけている。格好いいかどうかさておき、格好をつけたがっていることは事実。
格好つけたがる気持ちがピークアウトしたとき、本当の自分をさらけ出したエッセイを書くことができるのかもしれないけれど、格好つけたがる気持ちだけはピークアウトしないでくれと祈っている。
こんな僕でも街を歩きながら、ビルのガラスに映る自分を見て気にしているのだから。ニューバランスのスニーカー、今日の格好に合っているなとほくそ笑む楽しみは死ぬまで残しておきたい。
編集後記
この記事はMacアプリの「縦式」を使って下書きをつくりました。原稿用紙に縦書きで書いていくスタイルは、いつものエディタで横書きするのと違って新鮮でした。iPhoneアプリ版もたまに使ってます。文豪みたいな気持ちになれるのでおすすめです。
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