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『正欲』を読んで。

みなさん、こんにちは。ガングスキーです。
今回は話題の作品の感想を投稿したいと思います。

サムネにも書いた言葉が率直な感想です。
正しさを求めると、他の正しさを排斥してしまう危うさが常にあります。

わかってても、ついついそんな事を考えてしまう事があります。

そんなこの本を読んだきっかけが、こちらです。

結城えまさんのストーリーより。

僕の好きな結城えまさんの、インスタで質問募集がありこんな回答をもらったのがきっかけです。

オタクくん、チョロすぎ.....

でも本を読むきっかけって、結構ふとしたことだったりしませんか?

新潮社のwebより


まさに、爆弾。読者の感覚を読む前と、読む後に大きく変えてしまう衝撃。

いや変えてしまうというより、暴き出すような
そんな一冊でした。

物語は三人の視点から、紡がれる物語。

バラバラだった、ピースがハマっていくカタルシス。そして登場する人物が抱える呪い?祈り?をこれでもかと可視化していきます。

時代感もリアルな描写が続くので、読んでいる我々も同様だと強く感じました。

文庫版の解説がとても印象的だったので
引用したいと思います。

物語の力は隘路でこそ発揮される。理念が行き詰り、論理が破綻するとき、思想や学問ならば、そこで立ち止まるしかないけれど、小説はその先に進むことができる。矛盾を抱えたままで、それでも生きようとする人間を描くことができるからだ。すると、矛盾に見えていたものの、また別の姿が見えてくる

東畑開人さんの解説より。

この作品で突きつけられる事実。

誰にも理解されない孤独。
多数派による無理解。
でもそれらはマイノリティと言われる人にだけあるだけじゃなく、全員に等しくあるという事。

そこだけを考えると、ひどく憂鬱な気持ちになるし自分が嫌になります。

だけど、この作品は物語です。
登場するキャラクターたちが、それぞれの方法で一歩、また一歩と進んでいきます。

『救い』というと大袈裟かもしれませんが、生きていると逃避のような選択がかえって自分にとって良かった。そんな経験みなさんもありませんか?

それ自体が問題の先送りだとしても、その時にどうしようもない事って結構あると思うんです。

僕がこの物語に、抉られたような気持ちになる一方で救われたような気持ちになりました。

物語には、非日常の体験であるからこそ
自分を振り返る良いきっかけをくれる事があります。

良き人であろうとする自分。
わがままな自分。

それらをひっくるめて自分なんだなぁ。
誰かを助けようとしたり、寄り添っていきたいと思う気持ちも自分がそうして欲しい気持ちの裏返しだったりとか。

今も書いているこの感想も、誰かに認めてもらいたい気持ちの表れだなぁ。

なんて柄にも無いことを思ったりしました。

どんな自分であれ、自身の納得を得られるように自分と付き合っていかなきゃならない。

そんな当たり前の事だけども、忘れがちな事実に向き合わされたような作品でした。

それと同時に、自分を大切に思ってくれていると自分が感じている人への感謝も強く思いました。

僕自身が生きててもいい。そう思えるのは
そんな風に思ってくれている人たちがいるから。
きっとそうに違いないと思えます。

ぜひ、みなさんにもこの刺激的な体験をして
感想を語り合えると嬉しいな。と思います。

それでは、また!

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