過去のはなし、ろく

「むつみはね、すごいんだよ!」

って、友達に紹介してくれたあなたの笑顔を、忘れることはない。

きみは覚えているかな。忘れてしまっているかもしれない。

それでもわたしは、たしかに、あなたの言葉がうれしかった。すくわれた。


大学時代の放送部の友人。

彼は卒業後、紆余曲折を経て実家の山梨に帰った。

数年後、私がひょんなことから山梨に行ったとき、会おうよ、と声をかけたら、快諾をしてくれた。

そうして飛び入りで連れてきた友達に、彼はわたしを冒頭の言葉で紹介してくれた。

大学時代につくった作品を、まだ覚えてくれていた人がいた。

心を震わせることができていたのだって、

それが、もう、なによりも、なによりも、うれしかったよ。

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