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【プレミアドラフト攻略】エクスペリメント・ワン~デジタルピック入門編~【ブル~ムバロウ】

割引あり

はじめに

こんサメ~
サメ台風とふなっしーが好きなVPW鮫梨ジルと申します🦈🍐💦
プレイブースターが導入されてからますます盛り上がっているリミテッド界隈ですが、皆様如何お過ごしでしょうか。

前回からだいぶ間が空いてしまいましたが、素敵なロゴを作っていただいたので今回から新シリーズ、エクスペリメント・ワンを始めます!
リミテを中心にマジックで試行錯誤したことを皆様にお届けしていく予定です。

第一回である今回はデジピ界の実験体として実体験をもとにしたノウハウを皆様にお伝えしていこうと思います。

ドラフトとは?デジピとはなんぞや?という方に向けた入門編です!リミテッド初心者の方から、伸び悩んでいる中級者の方に向けた記事となっております。

昨年のイクサランの時もデジピについて書いたのですが、BLB環境で新しく書くにあたり、より統計を活用する方法であったり、もっと上を目指すための方法についてもご紹介していきます。
私自身日々デジピを練習することで、よりデジピを活用できるようになりましたので、得られた知見からより分かりやすく・深く解説出来るはず、出来ます!

リミテッドの良い所

本題に入る前に、リミテッドの優れた部分をご紹介します。

スタンダードなどの構築戦では、環境デッキをコピーすればひとまずは戦える武器を手にでき、数を重ねれば上手くなることができます。これに対しリミテッドは1回毎に丸裸で挑み、ドラフトならピックが上手くできれば人より強い武器を持ち戦うことができるフォーマットです。
構築がフォールアウトやファイナルファンタジーのような装備・ビルドを鍛えながら戦うRPGだとするなら、リミテは不思議のダンジョンみたいな感じです。毎回リセットされた状態で始まり、少しずつプレイヤースキルを上げていくゲームだといえます。

よくリミテッドが上手い人は構築もうまい、と言われることがありますが、リミテにはマジックが上手くなるためのエッセンスが詰まっているのです。

リミテッドは事前のカードプール理解や完成形への情報収集が最重要です。
これは構築でデッキを組むときにも適用できます。
環境理解から始めて、プレイングの精度を上げていくことなどなど、全てが構築にも応用できますからマジックの基礎を固めるのにぴったりのフォーマットなのです!

つい最近、山辺カフカさんがオリジナルのゴルガリ根デッキで蒼紅杯・ジャパンオープンで結果を出したことは皆様の記憶に新しいのではないでしょうか?
リミテで練習したことは構築でも発揮できるのです!

当記事では、そんなカフカさんも取り組んでいるデジタルピックの基本的な部分について解説していきます。


自己紹介

筆者の立ち位置

MTGアリーナでリミテッドを中心に4年弱くらいプレイしています。紙ではやってません。
リミテでミシックには安定して到達できたり、昨年のジャパンオープンの初日を抜けたり、輝くスター杯というテルテルさん等が参加するドラフトの大会で優勝することが出来たり(直接対決はしていません)そこそこ上手い方ではあると思います。

とはいえプロを名乗る方であったり、上級者に安定して勝ち越すには今一歩及ばずといったレベルで、強めの一般人といったところでしょうか。
今回のブル~ムバロウの戦績は以下の通り。

通常ブル~ム
アルケミーブル~ム

合わせると122/204で勝率59.8くらい、普段は得手不得手で6割前後を行き来しているので、ちょっと苦手寄りな環境です。
リミテッドランク上げは毎回プレイインポイントは貰える程度にやり込んでいて今回も貰えそうです。

今回のドラフト環境は、シナジー強めのの同族(部族)環境ということで慣れるまで苦労しましたが、デジピで環境を理解しミシックまで上がり、到達後に始めたアルケミー環境でも上位(3桁順位~)のランク戦で勝率が出ている感じです。

私がいつもドラフト戦術の基本として用いているデジタルピックは、まず環境を理解するための道具として大いに役に立ちます。
慣れるまでは勝っているアーキタイプやカードを知ることで大きく負けこさないための補助輪となり、慣れて以後も上位層で使われているカードを調べることで伸びしろを示してくれました。

ブル~ムバロウドラフトは色々なアーキタイプ(デッキの型)が組めてとっても楽しいです!今月もまだまだ楽しんでいくつもりです。私と一緒に上手くなりましょう!

デジタルピックとは?

デジタルピック、略してデジピは私の師でもあるどうみんさんという方が教えている、統計データを活用したピック方法です。
統計による指標をもとに強いカード、受け入れの広いピックして良いデッキを構築できるのですが、MTGAのプレミア/クイックドラフトはもちろん、指標を読み解くことで環境を理解する助けになるので卓ドラにも応用できます。

私が先述の大会で優勝できたことや、どうみんさんがアリーナチャンピオンシップのドラフトで全勝できたのも、デジピを使って練習していたことが基礎になっているのです。


今回はそこまで深い部分まで踏み込みませんが、興味がある方は記事の後ろの方にあるDiscordサーバにいらして下さい。一緒に上手くなりましょう!

今回解説するのは、データをもとに作られた点数表を参考に、適切なピック戦術を取るというデジピの基本となる部分です。

マジックについてよく分からなくても指標を元に環境を理解したり、強いデッキを組むことが出来ますので、初心者の方が身につける型として非常に優れています。まず良いデッキを手にしてプレイングなどを練習していくことができるからです。

中級者の方にとっても、指標を読み解くことで言語化の助けになったり、更に踏み込んでデータでは説明できない部分に挑むためのステップとして活用できます。例えば指標は低いのに強く使えるカードというものも存在し、様々な角度から分析することが出来るからです。

指標を血肉とし、更に腕を磨くことで、指標に従うよりも更に良いデッキを組むことに繋がるのです。もしこの記事から進んだ内容を知りたいという方は、後述するカフカさんが一般TCG理論に寄稿した記事も合わせて読んでみて下さい。より詳しく述べられています。

文字数の問題と入門者向けであることから、当記事では基本部分だけ詳細に解説していきます。

最初から難しいことをやると怪我をしてしまいますし、はじめはシンプルな指標で読み解き、少しずつ上達していきましょう!
最初に指標をもとにしたピックを行うことが、先のステップに進むための基礎になるのです。

17Landsを使ってみよう!

オンラインゲームによくある統計をまとめたサイトがMTGAにもあります。

有志によって運営されている17Landsというトラッカーツールと、データを纏めているサイトを活用することで、MTGAのドラフトプレイヤーから得られた統計情報にアクセス出来るのです。

全体の統計を見るためだけならインストール不要でサイト上から閲覧できます。
ですが、MTGAのリミテッドに真剣に取り組むのであれば、17Landsのトラッカーを入れておくことをおすすめします。

自分のピックログやプレイングログを記録しておけますから、友人や熟練者に見てもらうなど共有に便利です。
シーズンごとに自分の全体勝率やアーキタイプ別勝率など振り返り、得意不得意を把握したり、その他もろもろ復習を強くサポートしてくれる頼もしいツールです。

導入方法についてはこちらのサイトが詳しいです。

そんな17Landsを使い、全体の統計から、強いアーキタイプや強いカードを知ることがデジピの第一歩です。

まずはデータをもとに簡単な点数表を作ってみましょう!

デジピの3つの基本

繰り返しになりますがリミテッドは下調べ・事前の情報収集が大切なフォーマット。
その環境における強いカード・強いアーキを理解しピックすることが出来れば、対面前から他の人と差をつけることが出来ます。

とはいえどういう環境かは実際にやってみないとよくわからないものです。
そういった難しい、複雑な部分を理解する助けになるのが今回紹介する方法です。

強い色(アーキ)を知る、強いカードを知る、強いピックを行う。
はじめはこの3つが出来れば一定の強さのデッキが組めます。

他にもマジックの本質的な部分やアナログ的な要素、構築力やメタゲーム読みなども大事になってくるのですが、いきなり沢山のことは出来ませんから、後回しにしてまずはこれだけやってみましょう!
貴方に向いた環境であればプラチナ・ダイヤはもちろん、腕次第でミシック到達も可能なはずです。

はじめのうちは優れた点数表があれば上手い人に近しいピックができますから、データを活用し、自分の点数表を用意して挑んでみましょう!

今回解説する方法では、このような点数表をExcelまたはGoogleスプレッドシート上に作成していきます。筆者の手元にExcelがないので、当記事ではGoogleスプシを使った説明になります。

アーキタイプ別に指標をまとめた表を作ることでピック中の検索が簡単に

細かい作業が面倒な場合は有料になりますが、この記事のおまけに表をつけておきましたので購入を検討してみて下さい。定期的に更新するので手間賃としては非常に安く済みます。

文字より画像の方が分かりやすいという方は、どうみんさんが配布している画像による表を使うのもおすすめです。自分は文字・生のデータ・日本語のほうが探しやすいのでこういう表を作っていますが、あちらは後述する補正が行われた状態で並んでいます。どちらがいいということではなく、自分に向いた表を用意するとやりやすいはずです。

最初は自作でも何でも良いので表を用意することが第一歩。

ではでは当記事のメインコンテンツ、勝率表を作る方法と、それをもとにしたピック方法まで一つずつ解説していきますのでお付き合い下さい🦈🍐💦

1,強い色を知る

この記事もそうですが、リミテッドの話をしている場合、色やアーキと言えばおおむね2色の組み合わせを指します。3色のときや1色が成り立つ環境もありますが、そういう特殊なケースはマジック公式のアナウンスや、データで知ることができるのでブル~ムバロウでは忘れてOK.

より勝っている強い色のアーキを把握し、その色で強いカードを調べることで色ごとの勝率表を作っていきます。

まずは強い色を調べていきましょう。

17Landsの全体統計はヘッダー左から3番目の[Analytics]に纏められています。

今回は上2つを使います

色ごとの強弱について調べるために、一番上にあるDeck Color Dateを開いてみましょう。
すると、このような表が出てきます。

データは8月末のもの

組まれた数である#Gamesの欄を見ると、単色や単色+タッチ(Splash)は母数が少ないためBLBでは行くのが困難であることがわかります。画像には収まってませんが3色も同様です。
単色・三色など組まれた数が10万に満たない場合、データとして活用するのは難しいので、初心者のうちはその色のことは忘れてOKです。
さて、2色と2色+タッチの勝率を見てみましょう

開始1ヶ月のこの時期で45万と、十分なデータがあることがわかります。
各色で組まれた数が1万あればデータとしてひとまず信用できます。
次は勝率上位アーキを調べてみましょう。

2色での平均勝率が557ですからそれ以上あれば良いです。

GW(白緑)572
BG(黒緑)569
BR(黒赤)568
WB(白黒)560
GU(緑青)558
以上が勝率上位カラーであるようです。
また、黒赤以外の上記カラーもタッチの中では平均533以上で、タッチでもプレイアブルな色であると分かります。WR(赤白)もタッチであれば平均を上回っている様子。

このことから

緑のカードは白黒青と組めて、受けが広くなりやすい。
黒は緑・白と組めて2番目に受けが広め。
白も緑・黒・(赤)と組めて広め。
青も緑・白と組めて広め。
赤は黒以外とのくっつきが悪い。

といったことが分かります。
赤以外の色は概ねやりやすい環境であるようです。

白青や青赤などのアーキが勝率・組まれた数共に低いのに対し、勝率の高い色というのは組まれた数・勝数共に高いです。
このように強いアーキというのは再現性が高い傾向があります。
強い色はプレイアブルなカードを豊富に擁しており、数をこなすうえで多く勝ちやすい色だというのが分かってくると思います。

それでは強い色が分かったところで次に進みましょう。

2,強いカードを知る

次はカードの勝率表を作るためにAnalytics→Card Dataを開いてみましょう、するとこのような画面が出てきます。

いまは全アーキの指標が表示されている状態なので、All Deckとなっているところを先程調べた強い色のものにしてみましょう。まずはWG(白緑)から。
するとこのような画面になります。

いくつかの指標が並んでいますが、今回使うのはGIH WROH WRです。

GIH WRというのがプレイ中に該当カードを引いた時の勝率で、概ねカードの強さを示す指標です。

OH WRは初手にあった時の勝率で、GD WRは逆に初手になく1ターン目以降に引いた時の勝率。

GIH WRを基本的なカードパワーとして、さらにOH WRによる補正をしたものがデジピで優先して取りたいカードになります。


他にも色々項目がありますが、今回はこの3つだけ覚えておけばOKです。詳しく知りたい方は下記の記事や17Lands内の説明を読んでみて下さい。

表の作成に戻ります。
次は表の最上部にあるGIH WRを押して、GIH WR順にソートして下さい。

あとはこれをスプレッドシートにコピーし、表とします。
表左上のExport Dataからクリップボードにコピーするか、マウスでNameのところからGIH WRが書いてある範囲までビャーっと選択してコピーしましょう。
コピーするときはCtrl+C(コピー)の、シートに貼り付けるときはCtrl+V(ペースト)のキーボードショートカットを使うとやりやすいです。

GIH WRがない部分を消す

Export Dataからコピペした場合、GIH WRが書いていない範囲もコピペされていると思います。
GIH WRが書いていないデータは意味がなくピック時に検索する際に妨げとなりますので、上図のようにそれ以下を選択してDeleteを押し消して下さい。

手作業でコピペした場合、GIH WRがない部分はないはずですが、白黒の背景色がついていて見にくいので、Ctrl+\(バックスラッシュ)の書式リセットを行い表示を黒文字白背景にしましょう。

後は表を日本語にしたり整形したり色を付けたりで見やすい表にします。

自分は日本語化するにあたり、以下のような手順でやっています。
まずMTG Wikiのカード個別評価から
日本語名/英語名
日本語名/英語名
日本語名/英語名
……
となるようにテキストをコピーします。ブル~ムバロウでは以下のようになるはずです。

白・コモン

13枚
一生の絆の二人組/Lifecreed Duo
イラクサの護衛/Nettle Guard
剛胆な兎/Intrepid Rabbit
以下続く……

と文字列をメモ帳にコピーしてカード名以外の部分を消します。白・コモンとかの部分ですね。
そうしたら、Chat GPTに整形させます。命令文は以下。

今から伝える方法で、テキストの整形をお願いします。
理解できましたら了解と返事して下さい。
テスト/test
鳥取/Tottori
という入力に対し、
test/テスト
Tottori/鳥取
という具合に、/の前後を入れ替えて出力して下さい。 理解できましたか?

これを入力したら、メモ帳のテキストを何行かずつ(PCのマシンパワー依存)コピペして、
英語名/日本語名
となるように整形させていきます。
整形が終わったら以下のツールに整形した文字列を入力してください。

MultiReplaceに入力したら、スプレッドシートのA列(カード名の列)をコピーして下さい。
上記ツールで(クリップボード→)置換と押すと英語名が日本語名に置換されます。

Deck Color Data上位の各色(白緑・黒緑・白黒・黒赤・白赤)でCard DataからGIH WR順でコピペしてきた表を作り、日本語化し、GIH WRとOH WRに勝率ごとの色をつけ、1つのシートに名前・OH WR・GIH WRをまとめたら完成。

勝率を60%以上、以下1%刻みで色分けし出来上がったものがこちら

解説した以外にも色々なやり方があると思いますが、まずは上記のやり方で表を用意してみて下さい。あるいはこの記事を購入して頂ければ表が手に入ります。

今回はスペシャルゲストカードも出てくるのでそちらも日本語化できるようにしておくと良いです。

表が用意できましたらピックの練習に移ります。

3,強いピックの仕方

完成した表や、どこからか頂戴してきた表をもとにピックしていくのですが、いきなりプレドラに挑むとおそらく時間が足りないので、ドラフトマンサーのドラフト機能を使って練習してみると良いと思います。

言語を日本語にして、CPU相手のドラフトを時間無制限でやってみましょう。

通常8人卓なのでbotの数を7、時間は0にすると無制限になります。

デジタルピックを練習するにあたり、一旦は他で覚えたことは忘れて下さい。
例えば……

生物がN枚必要だから生物を取る。
除去が強い環境なので除去を取る。
マナカーブを意識して取る。

そういったセオリーも今後使う場面があるかもしれませんが、今は忘れて下さい。
デジピというセオリーを学ぶにあたり、別のセオリーを混ぜると習得の妨げになります。

具体的なピック方法は以下の通りです。

1,まずはGIH WRが高いカードを取ること。
2,同程度(±0.5%)のGIH WRであれば該当するアーキ(カード名検索した際のHIT数)が多いものやOH WRが高い方を取る。
3,二パック目からは手番の半分を必要ノルマとし、行かない色を決めること。
まずはこの3つを練習してみましょう!

GIH WRがドラゴンボールでいう戦闘力だとしたら、行けるアーキの多さはZ戦士だから地球のみんなと協力したり、サイヤ人や人造人間とも組めるとか、他のカードとのくっつきの良さです。

OH WRの高さは気を探知できたり舞空術が使えたり、敵に対してすぐ戦いに行けるとかの長所です。

マジックでも一緒に組みあわせられるカードが多かったり、序盤から使えるカードは初手に複数あると序盤のゲームを有利に運びやすく、毎ターンマナを使って盤面を強くすることがマジックの基本的な強い動きですので優先して取りたいのです。

OH WRが低くGD WRが高いものは終盤や後で引いた時に強いカードですが、枚数は少なめ(1枚は引ける程度の4枚前後)で良いです。
ナメック星編では最後に悟空1人で戦いを終わらせましたが、治療を挟んで超サイヤ人になるまでの間クリリン御飯ベジータ、によってギニュー特戦隊を倒したり、ピッコロさんに場を繋いでもらう必要がありましたよね?乱暴な例えですがそれと同じ感じです。

軽く出していけるクリリンが沢山あれば序盤しっかり戦ってくれます。
そして序盤は出せないが終盤大きく有利にしてくれる少数の悟空(ファッティやボム、ドロソなど)で組まれていると毎ターンアドバンテージを取っていけるデッキになりやすいです。

慣れてきたら、指標をデッキのバランスを見て補正したり、表の色を増やしたり、アップグレードしたり等色々な要素を増やしたピックをしていきますが、今は広さとOHによる補正だけでOKです。

GIH WRの指標を重視したピックが全ての基礎です。ここを疎かにしたり別のセオリーを混ぜると全てが崩壊します。上手く行っていない人のピック譜を見ると大抵別の要素が悪い具合に混ざっていて、上手く行っている人は愚直にデジピを行っています。
前者はいきなり100点を取ろうとして徹夜してテスト中に寝てしまう感じで、後者は80点を安定して出す感じでしょうか。
マジックは80点を安定して取るところからはじめて85点、90点と伸ばしていくほうがやりやすいです。

では以下を意識して模擬ドラフトを始めていきましょう!

1,まずはGIH WRが高いカードを取ること。
2,同程度(±0.5%)のGIH WRであれば該当するアーキ(カード名検索した際のHIT数)が多いものやOH WRが高い方を取る。
3,二パック目からは手番の半分を必要ノルマとし、行かない色を決めること。

模擬ドラフトを始めてみると、1パック目1手目は下図の通りでした。

表を開いて、Ctrl+fキーで強そうなものから順に指標を調べてみましょう。

ここでは白のレア、渓間の冒険呼びが白緑・白黒・赤白のプレイアブルなカードで最もGIH WRが高いのでピックします。
単色の強力なカードはGIH WRが抜けて高く、広さも十分。
このような抜けて指標が高く、色の受け入れも広いカードだと迷わずに済みます。

1-2はこのようなパックでした。

脚当ての補充兵がGIH WRが白緑・黒緑・緑青で高いので、今回も迷わずにピックします。

3手目はどのカードも使えるアーキが少ないです。
不吉な下降気流が青緑でOH55.10%/GIH57.20%
洪水の大口へが青緑で53.10%/56.10%
鞘破りの群れが黒緑で53.40%/56.30% 他の色ではアンプレイアブル
山峡の略奪者が黒赤で59.90%/57.10%
不吉な下降気流がGIH最大ですが、GIHが0.1の差なので、OHの高い山峡の略奪者を取ります。

ここまでで取ったカードは白・緑・黒と全部色が違いますが、まだまだ1パック目なので指標に従い手を広げることをためらわないで下さい。この手番の白と緑のカードはどちらも弱いカードで使っても勝てないのです。

お次も難しいパック

巣穴の長老が白緑で55.50%56.60% 白黒で55.30%56.50%
樹上の哨兵が黒緑で53.20%/56.20%
瑪瑙の落石が黒赤で55.60%56.00%
住居の長が白緑で56.20%/57.00%・白黒で54.90%57.00%
蓄え放題が黒緑で58.20%59.70%
泥岩の鱗が白黒で54.90%57.00%黒赤で59.70%60.30%

泥岩の鱗が最も指標的に高いので、ここはまたも泥岩の鱗を取ります。
手持ちの白緑のカードは強く、巣穴の長老や住居の長を取るのもありですが、今は愚直に指標で取って下さい。

すでに取ったカードに注目して。
白緑=かなり強いレアが2枚
黒赤=強めコモンが1枚
なるべく強いカードを使ってデッキを組みたいので、ここは住居の長を取るというのもありです。
ですが今回は指標だけで取る練習なので鱗を取りました。今はそれで十分強いデッキになります。

下記の次パックも同様に鱗を取るのですが
建築家の才能白緑57.10%57.80%白黒56.40%57.10%
も特殊なアーキに行けたり上位層の指標が高い良いカードです。
あとあと環境を理解できるようになってからはこういうカードを取るのもいいと思います。

ですが今回は基礎の練習ですので鱗を取って次へ。

指標に従い瑪瑙刃の暗殺者を取ります。
先ほど建築家の才能を取っていた場合、バンブルフラワー夫人の大鍋が指標以上に強力になります。
このようなカード相互の補正も考えられるようになってくるとより良いピックが可能。
ですがまずは指標を身につけることが第一、自分が今何をしているか忘れずに、GIH WR優先で取っていきましょう!
あんまり色々な要素を最初から考えすぎると変なデッキになって、復習もしにくいです。

6手目は黒が安そうな匂いがしてきました、それはそれとして指標から無情な交渉を取ります。
黒単色で除去と同じ受け入れがありますがこちらのほうが全ての勝率が高いです。
除去が強いみたいなよそのセオリーは忘れておいて下さい。

また黒が空いてそうな匂いがしますが、今はそういう流れ読みも忘れてOK
慣れてきたら流れを読む、ということもしていいのですが、指標が高いカードを取ることで自然に流れに乗れていますよね?
こういった点もデジピの優れた部分です。読まなくても読んだようなピックになります。

その後もピックを進め、1パック目終了時にはこのようなデッキになっていました。

序盤に取れた白や緑のカードが強いのですが、流れてきたのは黒や青のカードでした。
黒いカードが多めに取れていて、黒絡みのアーキ(黒緑・白黒・黒赤)に行きやすそうです。
変に緑や白の弱いカードを取っていたらこうはなっていません。

2パック目からはノルマを意識して取っていきます。
手番の半分の枚数のカードをノルマとし、取ってもノルマに満たないのであればその色は切ります。
今は
白1枚
緑1枚
黒7枚
青4枚
と取れていますから、各アーキごとに
黒緑8枚白黒8枚
緑青5枚
青黒11枚
と取れているカウントになります。
実際は他の色でアンプレイアブルなカードなどもあるので、単純な枚数だけでノルマ判断せずに補正することもありますが、今はあるカードだけ数えておいてOKです。
緑青は5枚しかないので、現在の手番(13手目が終わった所)で13÷2の6.5枚に満たないためここで切ります。
もし緑青が6枚あって、青緑のボムレアが2-1で来たら、取ることで緑青7枚、14÷7でノルマに収まるのでギリギリ取ることは可能ですが、今回は脱落しました。

受けを黒緑・白黒・青黒に絞ったところで次へいきましょう。
2パック目1手目がこちら。

渓間の腐敗呼びという黒絡みのアーキで強力なレアが出たのでピックします。
今行けそうな3色すべてで使えていい感じです。

黒絡みで高い指標の風下の伏兵を取ります。
レアとアンコモンのカエルも強いのですが、青緑だけで指標の高いカードです。
青緑のカードはノルマに満たないので切ったところです。
このあとは黒緑・黒赤・青黒を見て取っていきます。

ピックを進めて2パック目が終了、すると手元には以下のカードが。

黒赤のカードが数も多く強力です。黒赤マルチカラーのアンコモンはレア級の強さがあります。
黒緑も14枚取れていて、まだ強力なカードが流れて来ればやれる範囲。
まだ色を決め打たなくてよさそうです。

このように決め打ちを先延ばしにできるのがデジピの良いところの一つで、強力なカードが流れてきた時に色を変更することができるのです。読みに頼らず流れを掴みましょう。

3-1のパックはこちら。

2マナ22のリス、語り部を取ります。
3マナ域がなにもないので非道な二人組を取るという手もありますが、今は指標重視で取っているので、マナカーブとかは気にせず、今している指標重視・ノルマ制のピックからぶれないで下さい。
マナカーブなどのターンごとの動きを意識するのは基礎ができてからでOKです。

何回か数をこなすと、2-1や3-1,3-2などパックごとの早い手番、あるいは卓1になれれば4手目などでもボムレアが拾えるタイミングがあることに気がつくはずです。指標に従い受けを広げつつ強いカードを取っていくことで、空いている色に無理なく参入できるのです。今回はレアは渋かったですが、黒赤マルチを2-5で拾えているので空いている色には参入できています。

蛇術師が嬉しいですね。黒が空いている卓で黒に進めた甲斐があったようです。

軽い確定除去の討伐も嬉しいですね。黒に進めた甲斐がありました。

最終的に、黒赤のカードで25枚+土地1枚が集まりました。

1マナの最前列にいるリスと3マナの23到達多相を抜き土地を17枚にすることでぴったり40枚のデッキになりました。
2マナ域が手厚く、序盤からライフを詰めていける良いデッキになったと思います。
もし手探りでやっていたら、白緑のレアにひっぱられて全然カードが足りなかったり、失敗していたと思います。
はじめは指標に従い受け入れを広げつつ、ノルマで足切りを行っていけばいい感じのデッキが組めるので、是非デジピを練習してやり方を覚えて下さい!

まずは何回かドラフトマンサーを使って練習し、指標を調べるのにもたつかなくなったらプレミアドラフトに挑んでみましょう。
プレミアドラフトは時間制限があるので、素早く調べて頭の中で整理する練習が必要なのですね。

以下はこうして基本のデジピを習得したら、その上に積み重ねていくと良いピック・デッキ構築が出来るようになると感じた事柄のTipsです。
こういったコツなどをデジピ・指標によるドラフトという共通言語があれば共有しやすいはずです。

デジピのもっと先へ

適切なマナベースでデッキを完成させる

ピックが終わると、最終的に土地が17枚前後入れられるようになると思います。アリーナ上では17枚の土地が自動で組み込まれますが、土地の枚数についてはデッキ詳細画面の、平均マナコストを見て決めるといいでしょう。

2.5なら16枚
3.0なら17枚
3.5なら18枚
が目安です。
実際は2.7など半端な数値になるので近い数字のものを選べばOK.

新生であったりクラスのレベルアップなど、マナを使うカードが多い場合目安より増やしてみると動きやすくなるのですが、デッキというものは初手に欲しい枚数にあわせて土地を多く入れているので、入れすぎるとフラッドしやすく(土地を引きすぎて呪文がない状態に)なります。
今回は新生分のマナを全部足して呪文枚数で割って平均マナコストに足すと、全て新生コストで出した場合のマナコストに近くなりますが、一部は新生コストを払わないでも強いので平均をもとにした目安に従っておけば悪くはならないはずです。

クラスのレベル上げも、生物を展開したり、相手の生物を除去したりといった盤面を強くするアクションより優先する必要がない場面が多いので目安に従っておいてOKです。
先述のように土地は多めにデッキに入れるものなので、ゲーム中手札に呪文がなく土地を引いたターンというのが出来てしまうので、そういう場面であげればいいのです。

またマナクリーチャーや土地を引っ張ってくるマナソースとしてカウントできる生物は、土地0.5枚で換算しておくと、フラッドしにくくなります。

平均が3.0でマナクリーチャーが2枚いるから16枚にする。
2.7でマナクリーチャーが1枚いるから16枚にする。
といった感じですね。

あとは土地を増減させた分、デッキを弱くしないように呪文を入れたり抜いたり、ターンごとの動きを意識して構築していきましょう。
ここは大事な部分なのですが、私からの解説はありません。
あえて一言だけ言うならデッキの得意なゲームレンジや、見た目のマナカーブだけでなくターンごとの動きを意識してみましょう。
詳しく知りたい方はどうみんさんの以下の記事が非常に参考になるので、そちらを読むのが良いです!こちらを読んで頂いた方が私の口からお話するよりも皆様の血肉になるはず💕

シナジーやアーキタイプを意識する

ブル~ムバロウ全体の所感として、同族(部族)だけで固めることのバリューは確かにあるものの、細かいシナジーを活かしたり、隠れたアーキを組み込むことが強いデッキを組みやすくする上で重要です。

過去セットのローウィンでは同族決め打ちが強かったそうなのですが、今回は色の強みや隠れたシナジーによる裏アーキが強力で、ロードも広い範囲を強化してくれるものが多いです。
ベテランの方に話を聞くと、過去の同族(当時は部族)セットの反省をしっかり生かした優れたセットだと仰る方もおり、自分も色々なデッキが組める楽しいリミテ環境だと感じています。

以下のような同族構築を肯定するカードもありますが、同族にこだわるというより、アーキタイプごとのやりたいことを意識してピックを補正すると、1つ上の完成度になるはずです。

いくつかは単体でもそこそこやるカード

デッキのやりたいプラン(アグロ・ミッドレンジ・コントロール)や、カードごとの強い組み合わせ(シナジー)を意識したピックができると更に上のデッキを組むことが出来ます。
例えば白黒を見てみると……

いつもの得意戦法:デフレライフレース
今回の傾向やシナジー:飛行とライフゲイン/ルーズによる追加のアドバンテージ
主要な同族:コウモリ

といった性格付けがなされています。
通常得意な戦法は、飛行や小粒な生物を並べつつ、白の平和な心のような疑似除去やハンデス、タップ効果で相手の打点やリソースを減らし、黒の確定除去でファッティやシステム生物を潰し、少しずつライフを詰めていく……強い所を潰してちくちく有利を取ったり攻めていくデフレースが得意。

コウモリが主要な同族なので、飛行クロックを並べ確実に打点を通し、相手の強い部分や到達持ちを除去し、ゲインで相手のキルターンを延ばし、更にゲインすることで誘発する効果でアドバンテージが得られる生物が多いので、ライフレースをじわじわ有利に運ぶことがができます。

今回は飛行のマナレシオもよく、ゲインが豊富なため中~低速のゲームレンジが得意です。
BLBは黒の除去が非常に優秀で、白の超音波の一撃もコウモリがいると4点ダメージ3点ゲインと稲妻の一撃を超えた素晴らしい働きをしてくれます。
打点も稼げて除去でがっちり抑える、BLBリミテの大谷翔平ですね!
食物も含めるとゲイン手段が非常に豊富で、いつもの黒のライフルーズドロソも強力に使えます。

シナジーを差し置いても単純にライフゲインしつつ飛行で殴るのが強く、優秀なゲイン付き飛行生物が揃っています。

また、ゲインすることでアドバンテージをもたらすカードは、単体ではゲインしない裏目こそありますが、ゲインと噛み合うと大きくデッキパワーを挙げてくれます!
飛行に接死や警戒で攻防をシンプルに助けてくれるので、今回は強固なボードを築きやすいです。

この中では指標が低い星図師ですが、ゲインするカードやパワーが3以下のカードが多く取れていれば、指標以上の働きをしてくれるはずです。
OH WRでの補正をしたように、アーキタイプやシナジー、すでに取ったカードとの噛み合いで補正したピックを出来ればあなたもリミテ上級者!

ただし、シナジーは絶対ではありません。下記のような1枚でゲームをひっくり返せるカードは指標も高く、パワーも相応に高いです。

かつての太陽降下しかり、おまけ付きラスは滅茶苦茶な強力なボムです

指標を元にシナジーやカードパワー、その時のデッキに合ったカードを適切に補正してピックすることができれば、最強のデッキを組むことが出来ます。

置物が打点にも貢献してくれる建築家アーキはとてもユニークで強力
くっつき舌の歩哨はクラスとくっつく面白いやつ

他にも上記のような色ごとのアーキにまたがって存在する、建築家+置物アーキやカエルとクラスの組み合わせなど、この環境は多様な組み合わせが存在します。皆様も是非見つけてみて下さい!

指標を基礎として、環境やマジックの本質的な部分を理解したり、腕を磨いて補正の精度を上げることがデジピの目指す先にあるのです。

表をアップデートする

さて、今回の記事では全体勝率から5色の上位アーキタイプに絞って練習しましたが、より多くのアーキタイプのデータを調べ、表に加えていくことも出来ます。

Deck Color DataやCard Dataはトップ層の勝率というものを調べることが出来ます。

上記のAll Usersとなっている部分からtopを選ぶと見ることが出来ます。
2色のデータを見ると全体平均では振るわなかった青黒が平均を超えているのが分かると思います。

トップ層というのはミシックに安定して到達している人のデータですので、よりドラフトの腕がある人にとっては行けるアーキタイプが多いのです。
データの数に不安はありますが、ダイヤ~ミシックに挑む方は是非トップ層の勝率も調べて、表にして活用してみるといいと思います。
なおこの記事のおまけの表にもトップ層勝率や、稀に行ける時がある赤緑勝率などがコンパチ済み。
私もトップ層勝率を活用したデジピを行っていますので、皆様も自分にあった素敵な表を作ってみてくださいね🥰

もっとデータを活用してみる

Card Dataの表だけでもまだ使っていない指標がありますし、Analyticsからは他にも7勝デッキや環境速度をまとめていたり、Public Data setから様々なデータを活用することが出来ます。

winshotさんという方が様々なデータをよく記事にして纏めてくださっていますので、まずはそちらを参考にしてみるといいでしょう。

17Landsの使い方は無限大!あなたが統計に詳しければ、人がやっていない方法を見つけることもできるかもしれません。

(私のような)統計とか数学がよくわからない方も、まずはArticlesから読める読み物に目を通してみると発見があるはずです。

ぼっちにもおすすめ、ドラフトコミュニティに入ってみよう

最後に普段お世話になっているコミュニティを紹介します。
先ほど17Landsの導入でご紹介した、ゆる速の管理人であるばぐさんがやっているゆる速サーバーは配信も活発に行われていて大いに賑わっています。

どうみんさんやカフカさん、リミテ神の鶴木メイさんなども出入りするリミテに関しては国内随一のDiscordサーバーのはずです。
くるもの拒まずで誰かしら配信してたり雑談してたりすると思うので、お気軽に混ざりに来て下さい!一緒に上手くなりましょう!

おわりに

というわけで3度目の正直、初心者の方に向けたデジピの紹介でしたがいかがでしたでしょうか?
基本となる指標を生かしたピックについて、過不足なく解説できたと思いますが、複雑になるためあえて書かなかったり、記事には書ききれなかったことも沢山あるので、気になったことがあればSNSやDiscordなどでお気軽にお尋ね下さい!

謝辞

今回記事を書くに至ったのは一般TCG理論という冊子で山辺カフカさんにご紹介頂いたことがきっかけになっています。

他の記者の方も素晴らしい記事を寄せており、カードゲームが上手くなりたい方におすすめです。


有料の頒布品であることから内容について深く触れることはしませんが、リミテッドに挑むうえでデータを信じ、その上でデータを捨てるには――というデジピが目指す先について論じている素晴らしい記事を寄稿なさっています。

型を身につけることで、概念そのものを理解し血肉にする。これはデジピに限らず、物事を理解・上達する過程のの本質に迫っていると感じました。

弓術の鍛錬を極めた男は、不射の射の境地に至り、最後には弓の存在を忘れ果てしまう(中島敦/名人伝)
梯子を使ってのぼった者は最後に梯子を外し、正しく世界を見ることができる(ウィトゲンシュタイン/論理哲学論考)

近代の智慧者も近しいことを述べています

デジピはリミテッドの技術や、マジックの抽象的な概念を学ぶための弓であり梯子として、きっと役に立つはずです。
私と一緒にデジピを学び、血肉としていきましょう!
お読みいただきありがとうございました。

おまけ

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