2,3,4月に読んだ面白かった本10冊(小説・詩・歴史・哲学・教育…etc)
こんにちは、清水です。
4月に転職し、わりとバタバタしていました。何かの誘いを断ってしまった人、申し訳ありません。
前に「2月に読んだ本 その1」「3月に読んだ本 その1」をあげたのですが、いずれの月も「その2」を全く出していませんでした。なので、4月分も併せて一気に紹介します。
例によって一言感想つきです。
暇なら1冊くらい読んでほしいな~そして感想を聞いてみたいです。今回は特に好きだった本しか載せてません。お勧めです。
◆◇◆ 小説・詩 ◆◇◆
1.『パン屋再襲撃』(村上春樹)★4
村上春樹の短編集で一番好き。6つの短編が収録されています。
高校生の時には表題作の「パン屋再襲撃」が好きでした。というのも、当時好きだった伊坂幸太郎の『陽気なギャングが~』シリーズと似たものを感じていたからです。犯罪、反社会的行動、一般常識とは異なる世界。
今回は「ローマ帝国の崩壊・1881年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵攻・そして強風の世界」が一番面白かったです。メタファーだらけ。
「ぺらぺらとした細長いブリキの看板は肛門性愛の愛好者のようにそのひ弱な脊髄をのけぞらせていた」
2.『桃太郎』(芥川龍之介)★3
古典に「Human Comedy(人間喜劇)」を見ていた芥川が書いた桃太郎。意外に知られていない作品です。
後半になるにつれ、面白いです。芥川っぽいです。誰も救われない。
個人的にはこういうパロディーは、作者の特徴が出やすくて好きです。
青空文庫で読むことができます。https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/100_15253.html
3.『詩ってなんだろう』(谷川俊太郎)★5
凄い好きな本。
「詩ってなんですか?」という質問に対して、「詩そのもので答えるしかない」と思い、作った本とのことです。だからアンソロジーになっています。最初に出てくる詩は「いない いない ばあ」。
ちょくちょく挟まる谷川さんの言葉がよい。
「あさ、きました、おじいちゃん、うれしい、たった四つのだれもがしってることばも、うまくくみあわせると、こんなにおもしろい詩になる。詩をかくのに、ことばをたくさんしってるひつようはない」
遊び心がわいてくる。
4.『迷路館の殺人』(綾辻行人)★4
新本格という推理小説のジャンルを引っ張っている著者の代表作。
「奇妙奇天烈な館に招待された推理小説家。彼らは莫大な賞金をかけて推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の幕開けでもあった」
見立て殺人、変人な老推理作家、脱出不可能な館。これだけでテンションが上がる人は是非。(でも僕の友達って、あんまり推理小説好きな人いないイメージなんですよね…。)
ちなみに、これを書いたのは今の僕と同い年の27歳らしい。遊び心満載でこれでもかというくらいアイディアが溢れている…。
5.『i』(西加奈子)★5
イギリス旅行中に読んで、列車の中でぼろ泣きして、それから5回くらい読み返した小説。途中にある親友からのメールが絶品。
「この世界にアイは存在しません」
「この世界にアイは存在しません」
「この世界にアイは…」
◆◇◆ 閑話休題 ◆◇◆
この間数えたんですが、自分の好きな本って結局小説が7割以上でした。今回も半分が小説。
以下、後半戦。
◇◆ 哲学・歴史・心理 ◆◇◆
6.『大人の道徳 西洋近代思想を問い直す』(古川雄嗣)★5
西洋近代思想とタイトルに入っていますが、あくまで「道徳」の本です。
本書の重要な問いは以下のようなものです。
「なぜ学校に通うのか」(近代の成立を産業革命、科学革命、市民革命から解く)
「なぜ「やりたいことをやる」のは奴隷の道徳なのか」(積極的自由と消極的自由)
「なぜしちゃいけないことはしちゃいけないのか」(カント)
「なぜ日本は民主主義が発達しないのか」(ホッブス、ロック、ルソー。なぜ左翼(共和主義)は徴兵制を支持するのかなど)
7.『誰も知らない世界と日本のまちがい』(松岡正剛)★3
あの「千冊千夜」の人。
この著者の本って読者に厳しい。わざと、読みづらい、餌だけばらまくような本づくりをする。話もすぐ横道に逸れる。「コーヒーハウスが世界史を変えた」とか、さらっと書くんです。結果気になって調べるから、1章読むだけでどっと疲れる。(でも面白い)
本としては、「グローバル資本主義が出てきた背景と近代国家の矛盾、裏側」みたいな非常に大きなテーマを扱っています。
8.『発達障害の子供たち』(杉山登志郎)★4
長年臨床の現場で子供と向き合い続けてきた著者の本。
講談社現代新書で、読みやすい。重くない。症例も豊富で、身近に感じやすい。
◆◇◆ 教育・国語 ◆◇◆
9.『読書家の時間』(プロジェクト・ワークショップ)★5
4月から学校の教師になりました。
いつかやりたいなーと思っている授業はこの本で紹介されている「リーディングワークショップ」と、姉妹本で紹介されている「ライティングワークショップ」です。
僕が授業でだらだらと何かを話すよりも(僕を知る方はよくご存じのように、僕は喋り好きという悪癖持ちです)、生徒が自分の読みたい本を年間で30冊読むほうがよっぽど有意義だと思ってます。仮に中高と続ければ30冊×5=150冊。国語嫌いの生徒にとって、教科書をだらだらなぞるよりも、よっぽど国語力が身につくんじゃないでしょうか。
個人的には創作ワークショップもやりたいです。
10.『国語科授業 成功の極意』(池田修)★4
わりとこういうハウツー本に近いようなものも読んでました。その中で一番面白かった本。国語の時間を実技(体育や音楽、美術など)に近づけるという発想は面白かった。まあ興味ない人が多いと思いますが、こういう本も読んでますということで。
以上です。これ、1年くらい続けて好きな本の傾向をつかみたいと思ってます。
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