見出し画像

【鼻整形10日後】100万円の賭けに勝った女。

私はこの度、100万円のつけっ鼻を手に入れたのだが、これは結構な出来事であり、それについて書く。

ちなみに少女漫画にある様な、包帯ぐるぐる巻きで過ごし、ある時、包帯を解かれて自分の新しい、生まれ変わった美しい顔と対面するというあの劇的なやつを、本当にプチ追体験したのである。

術後6日目、その時が訪れた。
ギプスの除去と、外側抜糸の日である。
私は小鼻縮小と鼻尖形成のための耳介軟骨移植をしたのであるが、その日まで、ギプスから見える鼻の穴の状況はわかるし、鼻の形や高さも想像はできるにせよ、ギプスを取らないことには新しい鼻の形の全体像が見えなかったのである。
さらにギプスから出ている鼻の穴や鼻下の形状も、私の場合は鼻柱も、小鼻の内側も外側も切られて縫われていることもあり、黒い糸の主張が激し過ぎて、今ひとつよくわからなかった、その糸も今日は、鼻の穴の中をのぞいて、外側の目立つものの大部分は取ってもらえる。

痛いとウワサの抜糸だが、私の場合は、まぁ痛いことは痛いけど大したことないレベルだった。だいたい小鼻、鼻の穴付近の切開部分の縫合箇所あわせて20針、20箇所位の糸を切って抜くんだけど、そのうちの7箇所位は引っ張られて、イデデ!となるけど、それ以外は全くの無痛。

傷はもう治っているので傷の痛みはなく、眉毛とかをピンセットで初めて抜かれる時の痛み程度であり、おぞましいほどのことはない。

ちなみに抜糸は看護師さんによって行われて、医師の立会いはなく、医師は後程現れて、ギプスの再作成は医師によって行われた。

鼻筋の下半分に1週間つけたままだったギプスを取ってもらい、抜糸を終えて、手鏡を渡されて初めて対面した新しい顔。

意外と忙しいのが、それを見て明らかに受け入れられない場合は、即座に移植軟骨の抜去を行うなどするとか、小鼻についても内側の抜歯も行うとかの決断をしないといけないので、受け入れるのかどうかの意思表明を割とすぐする必要があることである。

おそらく2週間目でも問題はないが、明らかに縮まりすぎだとか、高過ぎだとかの場合、1週間目で、対応を行うことがあるらしい。

わかる、小鼻だったら外側はくっついたものの、粘膜は時間かかるとのことで鼻の中の傷はまだくっつき切ってないので、鼻の穴の中の糸も1週間で抜糸した場合、鼻の穴はすこし後戻りするらしいから。鼻の穴や鼻翼の幅が縮みすぎ!と思った人は、あえてそうする人もいるらしい。

さらに軟骨も、今ならまだ癒着が始まっていないので、即除去も選択肢だろう。

鏡を受け取った私は、割とクールだったと思う。
喜びや感激というものもなく、落胆や絶望もなかった。

鼻は思ったより上を向いていた。
上には向かせないようにしてくれと頼んだのは、聞いてもらえていたのだろうか、とは思った。
若干、韓国で流行っているアップノーズに近いノリの鼻であり、予期していた鼻でも、望んでいた鼻でもなかった。

だが、どうでしょうか?可愛い感じのお鼻になったかと思いますが、、と聞いてくる看護師さんに、思ったより上向いちゃったなとは思うけど、だからって修正したいとかはないです。これはこれでまぁいいかなと思いますので、と答えていた。

ちなみに、これは今は上がってるけど、だんだん腫れが引いたら下がるんでしょうか?と聞いたところ、看護師さんもお医者さんもそんなこともないとの回答。。

さて、だとしても、その自分の発した言葉の通り、【これはこれで受け入れらる】、それが第一印象だった。
可愛くなったとも思った。
ちょっとあがる気持ちもあった。
所詮自分の鼻からの変化であるという意味でも、選んだ施術でやれる範囲の変化であるという意味でも、物理的な限界があることもわかる。
その中でこの変化というのが、先生の美的センスによって最適解として導かれたものだと、思えないこともなかった。そういう鼻だった。

そこは不確かだよ。
狙ってないけど不本意に上向いちゃった可能性もある。または、あんまり私の意図を汲み取って貰えてなくて、こういう鼻が良いんだろうという誤解のもとに、この鼻になった可能性だってある。

だがしかし、受け入れらる範囲だと思った。
そもそも、1週間でやっと術後のダメージやめんどくささから解放されつつあるというのに、そのめんどくささアゲイン!な修正手術なり抜去なりを行うなんて、よほど気に入らないケースに限る。

まあそんな感じで、気に入らないこともない、という状況で病院を後にし、そのあと私はデパートに素晴らしすぎるパウダールームを発見したので、その明るい照明のもとの完璧な三面鏡でじっくりと新しい顔を観察した。

そして、デパートのパウダールームで、だんだんと喜びが込み上げてきた。
私、100万円の賭けに勝った。
そう思った。

実際、整形に成功したとしてもその価値は、現金にして30万円くらいではないかと思ってた。
あとの70万円は、ひたすら自分の中での保険料。なるべく失敗の可能性を減らすため、失敗の可能性の少ない医師に執刀してもらうための。

だが、いやこの鼻には100万円の価値があると思えた。
だって横顔ちょっとタレントみたいだもん。
自分の横顔にタレントを見出す日が来るなんて、想像したことがかつてあっただろうか?

正直、自分の横顔についてはあまり興味がなくて、美しいとは思ってなかったけど、不細工とも思ってなくて、まあこんなもんだろ東洋人、としか思ってなかった。

だが、美しくも見える横顔を手に入れて、少し感激した。
賭けに勝ったのだ、けっこう負け癖がつているしょぼい最近の生活のなかで、久しぶりの大勝ちだ、と静かに孤独に興奮した。

整形のダウンタイム中というのは、狂気の縁にいると思う。

特に組織を切り取る小鼻縮小みたいに、不可逆的施術かつ、隠しては生きていけない要所にあり、人間の印象を左右する箇所は一発勝負。

メタモルフォーゼという、アイデンティティの危機に揺れ、孤独の中で来る日来る日も、近視眼的に鼻のことばかり見つめて考える。

鼻下の傷跡は日々変化する。
腫れたり、赤みが出たり、傷跡が盛り上がりを見せているように見えたり。

7日過ぎてもまだまだこれからであることを思い知らされる。

勝利の興奮を感じた半日後には、昔の自分の鼻を愛おしく思い、昔の自分みたいな鼻だからという理由で、わがまま鼻の俳優に尊さを感じたりする。

あんな素朴でワイルドな鼻、私は今は大好きである。その自由奔放さが愛おしい。

だけど、新しい鼻、新しい顔を迎え入れた。
私はこいつと次の人生を生きていく。

そんな気分。

新しい顔との対面からまた数日が経ち、まだまだよくわからないことは多い。

左右差も出てきているし、形以上に、切開の傷跡がキレイになってくれるかというのも大問題である。

今まだ思いっきり笑えないのがいつまで続くのか。

今どれくらい腫れてるのか、腫れがこれ以上どんどん引いたらどんな完成形が待っているのか。


上向きも左右差も、もしかしたら解消されるのかもしれない。

今の時点で鼻の穴かなり小さいのに、もっと狭くて細い鼻になるのかもしれない。

あるいは、腫れが引いたら高さも無くなって、鼻の穴もどんどん広がって、あれ?やる意味あった?な鼻になるのかもしないし。

だけどまあ、現時点で、絶望を感じることなく、まあこんなもんじゃね?という少し愉快な気持ちを持ててる時点で、成功したと思う。

今の時点で傷痕も腫れも左右差も大したことないしね。
鼻の頭が丸くなったとか、ボコボコしてるとか、軟骨の形がくっきりとか、そういう問題はない。

やりすぎなのか、やらな過ぎなのか、これは客観的になれずよくわからないのだが、ちょうどいい塩梅な気がする。

これより変えていたら、やりすぎで不自然と感じたり、他人にそう思われたりする危険性は高くなっただろうし、造形的にも結構無理して頑張る感じになったと思う。

今の程度なら、主観として確実に変化は感じられるけど、化粧のせい?痩せたから?気のせいかな?と、まだ他人に思ってもらえる範囲内のように思う。わからんけど。

私はやるからには、確実に変えたい、整形ってバレたくないとかはない、と思っていた。せっかくやるからには確実に変えたい、物理的に無理がない範囲内で出来る限り、美しさを手に入れたいと思っていた。

だが、いざやってみると、やったかやらないかわからないレベルの変化にしておくということは、明らかにものすごく変な造形になることもない、という意味でも安全だと思った。

元の鼻というのは、それが天然の造形物である以上、不自然はありえない。

そこから遠くに行けば行くほど、こんな鼻の人は自然界に存在しているだろうか?というような、だんだん心許ない気持ちになってきて、客観的にどうなんだ?という視点を取り入れ始めた結果、そもそも自己満足という完全に主観に基づいて行った行為との間で迷子になり始めるのがわかる。

というわけで深追いは禁物。

一発で決める。
私の主観に基づいたオーダーを経験も技術もある執刀医が客観に基づいて施術した。
そこで完結。

とはいえ、鼻の成り行きには注視してないといけない。
まだまだ感覚が鈍く、曲がる可能性があり、外側の傷はこれからケロイド化する可能性も捨て切れないし、内側は抜糸すらしていない鼻である。
夜は保護のためにギプスをし、傷には軟膏を塗り込み、朝夕はソフトに洗う。顔を洗う時にうっかりバシッと手が鼻にがあたると、痛いしね。

軟骨移植は、自分の耳介軟骨の移植のため、人工物を入れるよりはずっと危険性は低いけど、それでも感染する話や、軟骨が飛び出してくる話はあるし、溶ける糸を使っているとはいえ、中途半端に飛び出してきた糸から感染することもあるらしい。もしも感染したら即時の対応が必要だから、まだまだ気を遣う。

顔の問題は難しいね。
ある人にとって美しい顔が、ある人にとっては醜いかもしれないし、ちょっとした流行や文化、時代や地域で美的感覚は変わる。
だが、生まれ持った顔に、誰も文句はつけられない。
しかしこれが人口の顔となるとどうだろう?
一気に文句のつけ放題になってしまう。
なんで、こんなにしたんだ?不自然だ、前の方が良かった、などなど。
それが地獄の入り口である。

それが今ありありとわかる。
だから、私は、この第二の顔も、偶然親から頂いた顔と同じように、完璧ではないけど、偶然頂いた顔として大事に愛していこうと思う。

そもそも顔は永遠じゃない。
放っておいても加齢によって顔は結構変わっていくのだ。
顔に固執することなく、それでもせっかく高額課金で手に入れたのだから、精一杯活かし切れるように、他のところを磨いていこう。

ダイエットして、綺麗にお化粧して、素敵な服を着て、髪型を整えて。
気持ち良い話し方だとか、わかりやすい説明の仕方だとか、好感度の高い話し方と表情を身につけて。

もちろん中身が一番大事。

他を頑張って、相乗効果を狙わないと、高額課金が生きてこないことを改めて思い至り、気合入れようって思うのだった。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?