Colony -プロローグ-
第一話 序章三好という男と初めてあった日の夜を、私は今でも鮮明に思い出すことが出来る。
細身でブランドのスーツが良く似合う背格好。
皺ひとつないシャツに、黒いネクタイがきっちり結ばれている。
真っ黒なネクタイには、よく見ると蝶の刺繍が同じ色で施されていた。
時々光に反射して、糸に使われているラメが控えめに輝きを放つ。
色白で整った容姿を、一本に結んだ長い黒髪が引き立てる。
どうみても、個人経営の小さな居酒屋では悪目立ちしていた。
常連の多いこの店で、多方面から視線が集まっても