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ふたつの世界

ちょっと前、
用事があって夫の実家に行った。

家族や向こうの親と過ごしていて、
「ああ、自分の家はここなんだなあ。」
と思ってしまった。
落ち着くわー、とか、
やっぱりここよね、とか
いい意味ではない笑
ここに居る。
この人たちと居る。
それが現実なのだ。
これが私の現実なのだ。
そう改めて思った。

と同時に、
彼だっていくら奥さんとソリが合わないと言ったって、20年以上も家庭を一緒に築いて来た人なわけで、そこがもう彼の家なわけで、彼だってこんなふうに感じることがあるんだろうなあ、ってことを想像して、何だか傷ついてしまった。

私のことが好きだと言っても、住み慣れた家を捨ててまで…っていうのは考えにくい。まあそんなシチュエーションはないだろうけど、もしあったとしても、いざとなったら面倒で億劫で、その気持ちにもう、私と一緒に居たいって気持ちが流されてしまうんだろうな。なんか昔、そういう小説書いたことあるわ。


家族+夫の両親で、向こうの実家近くの和食のレストランにいるときに、彼から連絡が来た。
彼は仕事中だったのだけど、
私は飲み物を取りに行くフリをして返信していた。
以前彼が送ってくれた会社の写真を思い出していた。
ビルのかなり高層階に居て、
うわ、こんな景色が見えるんだって思った。
彼は私に連絡くれたときもそこに居たのだろう。
こんな田舎のレストランに居る主婦の私が、
そんな人とたわいもない話をしている。
家族と居るのは今までの、
いつも通りの私。
それは何も変わらないのに、
そんな私が彼みたいな人と繋がっている。
ありふれた日常の風景の中に、
彼に繋がる糸が浮かんでいる。
私の当たり前の生活の中に、
こんな非日常が紛れ込んでいる感じがすごく不思議だった。
誰も私がそんなことしてるなんて思わないだろう。
妻が、
ママが、
嫁が、
そんなことしてるなんて思わないだろう。
なんなら私だって思わない。

そんなことを考えてしまった。
夫はやっぱりイヤだった。
なんでそんな話を今する必要があるの?
って思うこと言ってた。
人前で、
子どもたちの前で、
私を非難して楽しい?
それが面白い話だと思ってるの?
なんなの、
ほんとに嫌な人だな。
モラハラ男。
小さくて狭い。
顔を見るのも、声が耳に入るのもイヤ。
私の視界に入らないで欲しかった。
そこはすごくイヤだったんだけど、
でも、
子どもたちとは楽しく幸せに過ごせたからね。
私にはこんな一面もあるし、
それは彼だって同じだろうなって。
子どもたちの父親としての彼もいるんだ、ってね。
子どもたちが最優先ってことは、
最初に会ったときにも話をしたけど。
だよねー、と彼も言っていたけど。


そんなことを存分に体感してしまった。彼が好きだけど、私たちの恋愛は単なる「遊び」だ。そう言われているような気がして、淋しかった。家のことなどこれっぽっちも見えないくらい彼に傾いていたけど、現実を突き付けられたというか。
私たちは世間一般から見ればセフレだし、
単なる友達だ。
未来などない。
彼は、私のものじゃない。


でもこれは、
悲しいって話じゃない。
ときどきこんなふうに、
昏い穴の中を覗き込んでしまうこともある。
そこに、
金色の糸がするすると降りて来る。
そんな、
ふたつの世界を行ったり来たりする、
そういう生活に慣れないな、って
それだけの話だ。


それに、
こういう過程をたどらなかったら、
彼にもたどり着いていない。
でも今は私は彼に出会うことができた。
それはもう、
そういうものだったのだ。
一時的に見失ってはいたけれど結局、
私は生きたいように生きて来たし、
それ以外の生き方なんて
そもそもできないと今は思う。
いろんなものを壊して来たのも、
自分の意志なのだ。
そして、
外に出ようと思ってから、
たくさんの出会いがあった。
趣味の場所でも、
noteでも、
そしてマッチングアプリでも。
大事な人たちができた。
すごいよね、ほんと。
私は価値のない人間なんかじゃない。
私にも価値を感じてくれる人はいる。
そう思えただけで、
ほんとに良かったと思うし、
幸せだ。
そして、
思い切って外に出た私、
ほんとに偉い!
自分で自分を褒めたいね。
そうやって全部を受け入れようとしているんだね。
頑張って、
ここで生きようとしてるんだね。
だから偉い。
夫が言うように、
私はバカで価値がないのか、
ちゃんとそこに疑問を持って、
それで外に出た。
もうそれだけで偉い笑!!


そんな私の気持ちなど知る由もない彼からLINE。
「昨日、飲み会あて」(誤入力♡)
「飲み過ぎ、キツかった泣」
「来週空きそう。会えるかなぁ?」


はい笑
会いに行きます。


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