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賢者をめぐる



雨の音がうるさい。


まるで滝の中に居るみたい。


滝の中に…


滝…


滝行…






滝行マチアプ は、思った以上に
効果があった。


あり過ぎて


真っ白になってしまった。





そもそも、
べりっと憑き物が落ちて、
それで滝行を始めた感もある。
いや、
滝行により剥がれたのか。

いずれにしても、
数々の邪念が払われ、
真っ白になってしまった。


これはこれで苦しかった。
多分ね、
私の息の根を止めそうになっていた
どろどろした思いとともに、
ずっと心を占めていた
【レンアイ】という化け物。
そいつまでもが
流れて行ってしまったんだな。



彼という人を好きだという思いと、
【レンアイ】状態は
また別のものなのかも知れない。
あの人を好きなことに変わりはないが、
【レンアイ】状態から脱した、
そんな感じかも。

頭はクリアになって、
心は真っ白で、
視界もふさがれていない。
思うように息ができて、
手足は私のものだ。


ふぅ~…


久しぶりに食らったんだな。
まさかこんなにことになるとは
さすがに思っていなくて、
ノーガードだったんだな。
舐めていたんだな、
おじさんというものを。

まともに食らって、
私はフラッフラになっていた。
酩酊して、
意識も濁っていて、
熱に浮かされて、
感覚も鈍っていて、
それが気持ち良かった。
雲の上を歩いているみたい、
いや、
ほんとに雲に乗っていたのかもね。
そのくらい
フワッフワしてた。

それが
【レンアイ】状態なんだな。

しばらくそんなだったから、
目が覚めて、
ここしばらくは
ポカーンとしていた。

ほんとに真っ白で、
何も言葉がでてこない。
ぎっしり心を占めていたものが
ふっと消えた。
この空間に何があったんだろう?
それも思い出せないほどだった。

すっきりしたけども
すっきりし過ぎた気もした。

ラクになったけれども、
からっぽな空間が寒い。



ここに、
何を入れるべきなのだろう?


そして私は、
自分探しの旅に出た



…っつっても、
友達にLINEして
「会おう!」
っつっただけだ。


かくして、
三賢者を巡った
ここ一週間。





■ 第一賢者

モラハラクリーチャー
※ダンナ
と暮らしており、いつも
(よし、今日こそは救いたい!)
とか思って会いに行くのだが、
そう簡単ではない。

もし、モラハラなんてない、
穏やか~な人と
穏やか~な暮らしをしていたら?
そんな想像を一緒にしてみた。

「なにがあっても
 『まあ、いいか』みたいなね」
「そういう人だったらどうだったかな」

うーん。
考えるふたり。

「…でも、らしくないか笑」
私が言うと
「そうだよね、それだとまだ
 全力じゃないよね笑」
と友人。

多分、彼女はこれまで、
信じられないようなモラハラ要求も
彼女の能力を全力で注ぎこみ、
実現させてきてしまったのだ。
彼女だからできたのだ。
そして要求はエスカレートした。

「…でもまあ、頑張るよ。」
と彼女。
「…うん…でも
 あんまり、頑張り過ぎないで。」
それがせいぜいの私。

彼女には彼女なりの
戦い方があるのかもな。




■ 第二賢者

このところ良く会っている。
その日も気づくと
他愛ない話を9時間(!)も
していた。

ときどきお茶したり、
ラーメンを食べたり笑、
そんなことをしながら
何駅分も歩いて、
いくつかの街を回った。

見慣れた街も、
彼女と居ると違って見える。
そしていつもなにか
いいことがある。
素敵なことが起こる、
この人と居ると。

この日も良く知っているはずの街で、
初めて見つけた可愛い文具店。
こんなところにこんな店が!?
どうして今まで見えなかったんだろう。
そして、
どうしてこの人と居ると見えるんだろう。
不思議だ。

葉っぱ草の形の付箋を買った。
たくさん本に貼ると、
草が生えたみたいになる笑

ひたすら喋って、解散。
私はからっぽになった私に、
「何を詰めよう💦!?」
を詰め込んで焦っていたけど、
笑って笑って
それがまたからっぽになった。

このからっぽに
「何を詰めよう✨??」
帰り道、そう思った。



■ 第三賢者

私の周囲には意外と
量を飲める人が居ないので、
飲むとなるとこの人。
この人に会えば飲む。
そういう人。

とても優秀な人ではあるが、
私にはどうしても
ド天然に思えて仕方ない。
まあ、
ド天然が優秀でもいいし、
むしろ
優秀な人なんてド天然な気もする。

この日も遠慮なく
私のダメな点を詰められた笑

いいところは褒めてくれる。
ダメなところは詰めてくる。

そんなことを繰り返しながら
ふたりで道に迷いながら笑、
ほろ酔い気分で
またしても何駅分も歩いた。
みんな歩くの好きだなあ笑

たくさん話して、
考えるヒマもないくらい話して、
そしたら
(私、こんなこと思ってたのか)
って自分でびっくりして、
彼女といると
いつもそんな感じ。
多分、それが楽しいのだろう。
大喜利合戦みたいなものだ。

散々戦って、相討ち。
燃え尽きた私を残し、
「じゃあね~!」
サラーっと帰って行った。





何かが見つかったような。


何も見つかっていないような。


でも、私にはいい友人が居る。
それだけはわかった。



生まれ変わった私も
楽しんでいきます。

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