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キズナアイは私たちに何を示してくれたのか?

1.ご挨拶



こんにちは、バカデカ希死念慮です。前回の更新から大分空いてしまいましたが、友達の布団に鍋の出汁を零すなどをして元気にしていました。

2.今回のテーマ



今回取り扱うテーマは「バーチャルユーチューバー」と「Vtuber」です。みなさんは普段ご覧になるでしょうか?今現在の私は切り抜きや本配信をちょこっと見る程度なのですが、そのメインストリームの動きはバーチャルユーチューバーの時代から追っています。

また、え?この二つって同じじゃないの?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、本記事では「3Dモデルを用いたyoutubeでの動画投稿をメインにする活動(者)」をバーチャルユーチューバーと定義し、「2,3Dモデルを用いた配信活動をメインにする活動(者)」をVtuberと定義します。例として挙げると、キズナアイ氏やミライアカリ氏はバーチャルユーチューバーで、ホロライブの猫又おかゆ氏やにじさんじの卯月コウ氏はVtuberといった感じです。少しご理解いただけたでしょうか?

さて、ここからはバーチャルユーチューバーとVtuberの違いとそこから見えてくる活動の方向性、また彼らは私たちに何を示してくれているのかを考察していきます。

3.本編

・バーチャルユーチューバーの始まり

バーチャルユーチューバーの始まりは、厳密に定義することが難しいです。上記で示した意味でのバーチャルユーチューバーであれば2016年のキズナアイ氏の最初の動画を原点とすることが多いと思われます。

しかし、実写の人間を用いないyoutuber活動とまで広く定義すれば、2011年から活動していらっしゃる「ami yamato」氏や、2014年ごろから活動の「アニメ娘エイレーン」氏などもこれにあたると思われます。

「ami yamato」氏のチャンネルトレーラー

「アニメ娘エイレーン」氏のチャンネルは現存していないので、ここではニコニコ大百科のページを貼らせて頂きます。

厳密な定義は、難しいように思えますが少なくとも2010年代の初期から中頃に発生し現在まで続いている文化であることは間違いありません。

また、特にキズナアイ氏の活動の影響力や反響は凄まじく、きゃりーぱみゅぱみゅ氏の音楽プロデューサーを務める中田ヤスタカ氏を客演に迎えた自身のオリジナル楽曲「AIAIAI」のオフィシャルミュージックビデオは、今現在Youtubeで1000万回を超える再生記録を誇っています。

また同時期に活動していた、「ミライアカリ」「輝夜月」「ねこます」「電脳少女シロ」を含めた五人を『五人揃って四天王』と呼ぶなど、バーチャルユーチューバー活動の勢いは大きなものになっていきました。

・当初みんなが夢見た理想の活動者、バーチャルユーチューバー

当初のバーチャルユーチューバーは、主に「バーチャルな存在なので不祥事を起こさない」「3Dアバターを用いているので中の人が変わっても活動が続く」などの理由で新たな形のタレント活動として注目を集めていました。2019年頃には魂(中の人)を入れ替えて様々なジャンルのゲームをプレイするバーチャルユーチューバー「アルカナ」氏や、キズナアイ氏の分裂騒動などもありました。
しかし、多くの人はアバターと中の人を切り離して応援するという形についていけなく、この新たな形でのタレントとしてはあまり浸透することはありませんでした。結局キズナアイ氏の分裂騒動は炎上し、新たなコンセプトで運用されたアルカナ氏もYoutubeが伸びることはありませんでした。

・現れるVtuber、配信文化によるバーチャルユーチューバーの再構築

魂問題で揺れるバーチャルユーチューバーの裏で、2018年2月ごろから活動を開始したにじさんじ一期生達が注目を集めていました。中でも異彩を放っていた「月ノ美兎」氏は活動開始から二か月後の2018年5月の段階で登録者20万人を達成、翌年10月には40万人を記録しました。

さらに同時期に活動を開始していたホロライブの「さくらみこ」氏は活動開始の2018年の8月からおよそ1年後の2019年の12月に登録者が10万人に。さらにその翌年の2020年の12月には70万人を記録しました。

この方たちの共通点として、それまでは3Dアバターを用いた動画投稿がメインだったバーチャルユーチューバーに対して、2,3Dアバターを用いた配信活動をメインとしていたことが挙げられます。

・バーチャルユーチューバーの限界とVtuberの台頭

またVtuberが伸びる中で、バーチャルユーチューバーには限界や運営側とタレント側での軋みも見えていました。

バーチャルユーチューバーは3Dモデルを用いての動画投稿なので、動画一本あたりの製作に必要なコストが大きく、投稿ペースには限界がありました。さらに、それはYoutubeでは投稿ペースが登録者者数や再生回数を伸ばす命であったことにも影響します。当時のYoutubeのアルゴリズムでは再生回数や登録者数伸び以外にも、投稿ペースがおすすめに表示される要素として加味されていて、投稿ペースが上がらないと新規獲得がしにくい状況だったのです。また、動画一本あたりの製作コストが高いので、コストの回収と利益率を考えると中々活動が厳しいものになってきます。

運営側とタレント側での軋みも見えてきました。これはある種の業界のウラ話であり確証のあるものでは無いのですが、バーチャルユーチューバーを運用する際に中の人を声優事務所から借りてきてやっていた為に、規模が大きくなるとバーチャルユーチューバーの運営側と声優事務所側、また中の人本人の給料や待遇を巡っての争いが出てきたようです。
初期のバーチャルユーチューバーでは、声優事務所から売れていない新人声優を借りてきて活動していたケースがあるようで、動くお金が大きくなると問題が顕在化してまったのでしょう。

バーチャルユーチューバーに陰りが見えると同時に、Vtuberはより一層勢いを増して、2021年ごろにはホロライブの「兎田ぺこら」氏が登録者数180万人、にじさんじの月ノ美兎氏は70万人を達成しています。さらににじさんじの運営会社である「ANYCOLOR株式会社」は2022年の6月に東証グロースに上場、また翌年の2023年3月にホロライブの運営会社の「カバー株式会社」東証グロースへの上場を果たしました。

僅か3年ほどで何故ここまで成長できたのか?、何故今も人気のあるコンテンツなのか?その強みは活動スタイルにあります。活動のメインはYoutubeでの配信です。なので動画を作る為の必要なコストが発生しなく、タレントに配信用のスマートフォンやPCを貸与すればタレント側が勝手に活動できます。3Dモデルを動かすための専用のスタジオを必要ありません。さらに配信は動画よりペースを上げることができ、より多くの人の目に留まりました。これらの理由にプラスして、Vtuber同士が配信で積極的に交流をすることで、さらに多くの層に自身の活動をプロモートする風潮ができたことも用意の一つとして考えられます。

・キズナアイは何を私たちに示してくれたのか?

キズナアイ氏は2022年2月より現在までスリープと呼ばれる活動休止期間に入っています。しかし、現在にまでキズナアイが残したものが影響を及ぼしていると言っても過言ではありません。

一つ目はバーチャルユーチューバー、Vtuberと呼ばれる活動のスタイルをしっかりと成功させた点です。キズナアイが示した可能性は現在の多くのVtuberの活躍や、海外にまでもその文化が広がりを見せた原点となっています。

二つ目はアバターを用いたタレント活動の可能性をこじ開けた点です。3Dアバターを用いた活動は、手にもつ小物や背景を簡単に変えられたり、映像的な演出の幅を広げています。従来の人間を用いたタレント活動より表現の幅が大きいのは革新的です。

三つ目はタレント活動のルッキズムからの解放です。タレント的な活動はアイドル的な要素を持たなくとも何か一芸だけではなく、どうしても容姿を求められるものです。加えて、人間の容姿というものは本人には選びようがないですし、望み通りに簡単に変えられるモノでもありません。しかし、3Dのアバターであれば技術が伴えば幾らでも好きに作ることができるので、容姿に自信がなくとも、自分の才能や一芸をより多くの人に見てもらう機会を増やすことができます。

三つ目の点は特に大きいと感じていて、二つ目の表現の幅の広がりと合わせることでさらに面白いパフォーマンスが今後現れるかもしれません。

・最後に

この頃、生成AI技術の発展によりAIタレントと呼ばれるものが出てきています。最近では伊東園のCMにこのAIタレントが起用され話題になっています。

(下記がそのAIタレントを起用したCM)

このAIタレントは当初のバーチャルユーチューバーが目指していたような、「不祥事を起こさない」「3Dアバターなので何年も同じように使える」という要素を持っています。かつてバーチャルユーチューバーが目指した方向性での活動は、生成AIというまた違う角度からのアプローチによって成し遂げられようとしているのです。

今後の未来ではYoutuberや配信者、タレントといった活動はどのように変わっていくのでしょうか?(2023年11月24日 著者:バカデカ希死念慮)


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