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女装沼。その深い魅力の根源。

女装には計り知れない魅力があるそうで、男性の1/4は興味があるらしい。一方、私は女性だけれど『ジェンダーレス』や『多様性』が叫ばれる以前から女装男性が好きだった。

時に女友達、時に姉妹、時に親友のように付き合えて、いざとなればパートナーシップも結べる魅力的な存在。
いつから気になっていたんだろうと考えてみると、10代の頃に付き合っていた人が、普通に女装が似合う人だった。

互いの身長がほぼ同じだったので、服をスイッチして写真を撮ってみるとか、私の服を着せてメイクもしちゃうとか。そういえば、私のワンピとミュール&軍パンを交換してコンビニに行ったりもしたっけ。

さらに古い記憶をたどってみると、私はママゴトや着せ替えなどをやらない子どもで、カンケリとか、ケイドロとか、いつも男子とばかり遊んでいた。髪もショートでスカートも履かなかった。

ボーイッシュでは済まされないほどがさつで「うるせぇな! ○○しろよ!」とか平気で相手をこき使うちょっと怖い女子。それが私だった。

そんな頃。同じクラスにゆうくんという子がいた。色白で、線が細くて、とても静かに話す子だった。「消しゴムかして」と差し出される手は、泥団子で汚れた私の手と違って、指が細くて、真っ白で、雑に扱ったら折れてしまいそうなほど華奢だった。

夜にひっそりと咲く白い花のような彼を、私はいつもきれいだなぁと思っていた。フリルやレースがついたような服はゆうくんのほうが絶対に似合う! そんな彼には、乱暴に話しかけちゃいけないような、何だかとても大切に扱わないといけないような気になったのを覚えている。

きっとその頃から、ジェンダーではくくれない何かを感じていて(実際、フリフリした服を着て学校へ行くぐらいなら、鼻でスパゲッティを食べたほうがましだと思っていた)自分の持っていないものを持つ「綺麗な彼」に憧れていたんだと思う。

そして……卒業してから十数年後。「あいつのオヤジと兄ちゃんて、ヤク○だったんだよ」ってと聞かされた時は、死ぬほど驚いた。彼は今頃、ネオンの街で咲いているんだろうか。散ってなければいいのだけれど。

(みづき)

#ハマった沼を語らせて


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