見出し画像

もはや運ゲーではない?!~BO3の«ティボルトの計略»コンボ~

9/11:4.にミラーを追記。また、全体的に4.を分かりやすく加筆修正。

9/17:7.イニストラードの新規カードの評価について追記

9/30:7.にスローランドサイクルについて追記。無料部分を拡張。

5/9:たまに購入してくださる方が居られますが、現在ヒストリックでは禁止なので、値段を250→100円に値下げ。

皆さん、こんにちは。

私は以下のブログで、言語化を意識したmtgの記事を書いていた、アイヤイヤーというものです。

https://youmoulove.hatenablog.com

本記事では、「ヒストリックBO3」における«ティボルトの計略»デッキ(続唱デッキ)、特に«出現の根本原理»型について書いていきます。


mtgの実績が、特にある訳ではありません。
その上で、本記事の信憑性となりそうな根拠としては、

mtgアリーナにおける、9月のランキングで«出現の根本原理»型の計略デッキを使用し、ミシック帯のランクマッチ(BO3)で勝率78%で最高順位137位を記録した点です。



しがないプレイヤーが書いた記事ですが、上記のブログや、以下の元有料記事を参考に購入を判断して頂ければ幸いです。
また、記事の大半は無料となっており、採用されなかったカードとその理由、各デッキを相手にした際に意識する点やサイドボード等一部有料となっています。


1.そもそも計略(続唱)デッキとは? 


ヒストリックにおいて、ヒストリックホライゾンによって追加された«混沌の辛苦»の続唱により、デッキ内で唯一3マナ以下の«ティボルトの計略»を唱え、スタック上の«混沌の辛苦»を打ち消すことで、デッキ内の«混沌の辛苦»以外の呪文をランダムに唱えるデッキです。

画像8
画像7

ランダムとはいえ、«ティボルトの計略»と«混沌の辛苦»以外は7マナ以上の呪文から構成されるため、4マナからは考えられないほどの呪文達が飛び出してゆきます。



2.運ゲーではない?各種確率について


運ゲー、ガチャゲーと揶揄されることが多い計略デッキですが、実際に確率を見てみると、運の比重がそれほど多くないことが分かります。


まずは、ゲームの1番最初であるマリガンについてです。


60枚のデッキに«混沌の辛苦»が4枚入っているため、初手で手札にある確率は4割となります。
しかし、ロンドンマリガンにより見る枚数が減らずにマリガン出来るため、

0マリ 40%
1マリ 64%
2マリ 78%
3マリ 87%
4マリ 92%
5マリ 95%
6マリ 97%

とドンドン確率は上昇していきます。流石に5~6マリではキープ出来ても厳しいですが、逆に言えば土地3+«混沌の辛苦»でキープ出来るトリマリまでならほぼデメリット無しであり、かつトリマリまでに87%というほぼ9割の確率で«混沌の辛苦»を見つけることが可能です。


もちろん、土地0~2+«混沌の辛苦»という可能性も含まてれていますが、土地が半数以上を占めるこのデッキでは稀であり、トップから土地を引きやすいため、問題になりづらいです。



次に«ティボルトの計略»で«ティボルトの計略»以外のカードを唱えられる確率についてです。
こちらはデッキリストにより少し確率が異なるため、今回は後で紹介する私のリストを使用します。

«ティボルトの計略»が4枚、«ティボルトの計略»と«混沌の辛苦»以外が19枚であり、«ティボルトの計略»1枚は続唱によって既に唱えられているため

14%で«ティボルトの計略»を引くことになります。

以外に高いように感じられますが、これを先程の«混沌の辛苦»キープの確率と組み合わせると、


トリマリまでに«混沌の辛苦»を見つけ、1回目の«混沌の辛苦»で«ティボルトの計略»以外の呪文を唱えられる確率は75%となります。

仮に«ティボルトの計略»を«ティボルトの計略»から引き当てても、次のターンが回ってさえくれば«混沌の辛苦»の回顧を唱えることが出来ます。


つまり、計略デッキは分の悪い賭けどころか、分の良い賭けであるわけです。



ちなみに先程の«ティボルトの計略»から唱える呪文の確率についてですが、

«ティボルトの計略»を3枚、«ティボルトの計略»と«混沌の辛苦»以外の呪文を20枚にすると

«ティボルトの計略»を引き当てる確率は9%となります。


この差は5%(厳密には4.5%)となり、これだけみると«ティボルトの計略»を4枚入れるメリットが無いように思われますが、この数字にはトリックがあります。


これは«ティボルトの計略»を3→4にすることで«ティボルトの計略»が失敗する確率であり、次のターンに回顧で唱えれる可能性がある以上、そのまま負ける確率とは言いきれません。

打ち消し、素引き、«ティボルトの計略»の1~3枚落としで«ティボルトの計略»が落ちることを考えれば、デッキの中に«ティボルトの計略»が存在せず負ける確率が存在します。そのため、これらにより本来勝てなかったところから勝てることにより、勝率が4.5%以上上昇するなら4枚入れた方が良いということになります。

また、アグロのような1回目で«ティボルトの計略»以外を引き当てなければ、次の回顧の機会が無いよう相手には、サイド後«ティボルトの計略»を1枚減らすことが可能です。
これにより、2回目の«混沌の辛苦»を唱えることが許されない試合において、«ティボルトの計略»から«ティボルトの計略»を引き当てることにより負ける可能性を4.5%と下げることが出来ます。


つまり、«ティボルトの計略»を4枚積むことにより、«ティボルトの計略»で«ティボルトの計略»を引き当てることにより負ける可能性の増加は、«混沌の辛苦»の回顧が許されないような早いデッキ相手の1マッチ目に限られることになります。


対面する相手によるため、厳密な確率を算出することは難しいですが、4枚目が不要な早い相手と4枚目が欲しいカウンターを用いるデッキの比率は、少なくとも95:5程偏ってはいないと感じているため、私は4枚目の«ティボルトの計略»は(少なくともBO3においては)積むべきだと考えています。

また、副次的な効果ではあるものの、«出現の根本原理»を使用する場合、単色の呪文の種類が必要となりますが、«ティボルトの計略»が3枚では«混沌の辛苦»を選択肢の1つとして選びづらいので、«全知»を入れる場合が見受けられますが、«全知»通ったけどマリガンでハンドがスカスカで負ける事も起こりえます。その様な負けの確率を減らしていることにも繋がっていると感じます。



計略デッキには大きく分けると«発生の根本原理»型、«出現の根本原理»型の2つがあります。

画像20
画像19

私はより運に依存しない«出現の根本原理»型を愛用しています。

では、«発生の根本原理»型の方が運への依存度が高いか?を確率的に考えてみます。



サンプルリストとしては、MPLであるAndrea Mengucci選手のリストを使用させて頂きます。

画像44

«混沌の辛苦»→«ティボルトの計略»→«発生の根本原理»と捲れたとすると、«発生の根本原理»から«星界の大蛇、コーマ»2、«精霊龍、ウギン»4、«絶え間ない飢餓、ウラモグ»4のいずれか1枚以上が捲れる確率は単純計算で

61%となります。


これはあくまでも、«発生の根本原理»から当たりを引く確率のみのため、«混沌の辛苦»をキープ出来る確率、«ティボルトの計略»から«ティボルトの計略»を引かない確率をそれぞれかけると


87%×89%×61%=47%

となります。


また、«発生の根本原理»は唱えている訳では無いため、«絶え間ない飢餓、ウラモグ»の誘発をトリガーさせることが出ません。

盤面を展開し終えたアグロ相手に«星界の大蛇、コーマ»+トークン1体や10/10破壊不能では4ターン目のアクションとしては物足りない考えます。

コントロール相手でも、1回殴られても致命傷にならない«絶え間ない飢餓、ウラモグ»は«ドミナリアの英雄、テフェリー»で十分に対処が間に合う存在です。


これらの理由から、カードパワーと安定性の両面において、«出現の根本原理»は«発生の根本原理»に高い確率で勝ると考えています。


3.リストと各カード解説


画像45

インポート用

デッキ
4 ティボルトの計略 (KHM) 153
4 世界樹 (KHM) 275
4 絶え間ない飢餓、ウラモグ (BFZ) 15
1 タラスク (AFR) 207
1 セラの使者 (MH2) 30
1 失われた宝物庫の学者 (JMP) 14
1 アールンドの天啓 (KHM) 41
4 出現の根本原理 (IKO) 185
2 精霊龍、ウギン (M21) 1
4 マグマ・オパス (STX) 203
1 初祖スリヴァー (MH1) 200
4 混沌の辛苦 (MH1) 150
1 ストーム・ジャイアントの聖堂 (AFR) 257
4 バグベアの居住地 (AFR) 254
4 河川滑りの小道 (ZNR) 264
4 蒸気孔 (GRN) 257
1 天啓の神殿 (M21) 252
3 這い回るやせ地 (ZNR) 262
4 光輝の泉 (M21) 248
7 山 (ANA) 7
1 島 (ANA) 3

サイドボード
1 這い回るやせ地 (ZNR) 262
1 神々の憤怒 (AKR) 138
2 創造の発露 (STX) 171
2 ボジューカの沼 (WWK) 132
1 原初の潮流、ネザール (RIX) 45
1 原初の潮流、ネザール (RIX) 45
2 思考のひずみ (M20) 117
2 不屈の巡礼者、ゴロス (M20) 226
3 サメ台風 (IKO) 67


各カード解説

メインデッキ

呪文

«ティボルトの計略»

画像6

コンボの核でありながら、変則的なカウンターとしても優秀なカードです。相手の致命的なカードに当てれば、大抵はよりマシなカードになります。
素引きや«記憶の欠落»により手札に重なれば、相手の呪文に対応することで«混沌の辛苦»を介さずにコンボをすることが出来ます。


«混沌の辛苦»

画像9

ヒストリックホライゾンで追加され、本デッキを運ゲーから脱却させた、実質的な1枚コンボのカードです。
回顧によりハンデス、«ティボルトの計略»が失敗してもやり直せる非常に強力なカードです。


«初祖スリヴァー»

画像10

5枚目の«混沌の辛苦»として採用しているカードです。
マナベース上、«世界樹»を介さなければ手札から唱えられないため、6t目からしか唱えられません。
採用を疑問に思われることが多いこのカードですが、特にサイド後はハンデス+墓地対策や名前指定等により«混沌の辛苦»がプレイ出来ないことが起きえ、そういった特定のキーカードを狙ったマリガンによりスローになった試合展開で活躍するカードです。
また、«混沌の辛苦»→«ティボルトの計略»から捲り、«混沌の辛苦»を続唱で引き当てることが出来れば7/7バニラがオマケでついてくることになります。


«セラの使者»

画像13

主に生物デッキ相手に«クリーチャー»を指定して殴り勝ちます。
コントロール相手には«インスタント»や«PW»を指定することが多いですが、ほぼ7/7飛行の役割しか待てません。


«アールンドの天啓»

画像11

基本的に盤面を展開しないデッキのため、追加ターンで«混沌の辛苦»を回顧するのが主な目的です。予顕込みならかなりプレイしやすいカードです。
«出現の根本原理»から持ってくる有力な選択肢の1つです。


«失われた宝物庫の学者»

画像12

最適でも«混沌の辛苦»を、上手く行けば«マグマ・オパス»や«出現の根本原理»を踏み倒すことが出来ます。
«出現の根本原理»から持ってくる有力な選択肢の1つです。


«出現の根本原理»

画像18

2.の確率のところでも触れましたが、提示する3択をこちらで選べるため、比較的運に依存せず相手に苦しい選択を迫れる優秀なカードです。
アグロ、コントロールの両方に優秀なため4枚採用しています。


«精霊龍、ウギン»

画像14

アグロに対しては効果的なことが多い反面、コントロールに対しては+で相手のライフを削った後、«ドミナリアの英雄、テフェリー»の-3で対処されやすいカードです。
«セラの使者»等に比べれば、奥義の存在からアグロとコントロールの両方に対して、最低限以上の役割を持てるため、メインの高マナ呪文の枚数確保のために入れています。


«マグマ・オパス»

画像15

«ティボルトの計略»から唱えるカードとしては些かパワーが低いですが、1ターンを稼げる確率は高く、2ドローにより回顧の種を確保しやすいカードです。なにより、手札から捨てることで宝物トークンを生成する唯一無二の性能で変えが効きません。


«タラスク»

画像16

横展開してくる相手には弱いものの、アグロとコントロールの両方に対してそれなりの活躍が期待でき、«アールンドの天啓»等と合わせることで«出現の根本原理»の有力な選択肢となり得ます。


«絶え間ない飢餓、ウラモグ»

画像17

4t目に唱えられた際のバリューが非常に高く、破壊不能と山札追放によりフィニッシャーとしての信頼性も高いです。


土地

土地の総数としては32~36枚位が適正だと考えています。

マリガンによりキープ出来る手札の枚数が減りやすく、3~4枚目の土地をトップに依存しやすかったり、«混沌の辛苦»回顧によって下手な呪文より土地の方が欲しいことが多かったり、サイド後にしっかりと土地を伸ばして«世界樹»込みで各種呪文を手打ちするためです。

画像21


メインの«マグマ・オパス»、及びサイドの«創造の発露»の起動能力を2T目に安定して使うため、赤及び青マナが出る土地を22枚採用しています。
2tまでのタップインを«天啓の神殿»1枚にすることで、22枚どの組み合わせでも2t目に起動できるようになっています。

その他の土地としては、追加の勝ち筋であり、コントロール相手に有効な«這い回るやせ地»。

画像22

土地でありながらライフゲインが出来る«光輝の泉»。

画像23

土地6枚以上で全マナが出るようになるため、ロングゲームでの呪文の手打ちを可能とする«世界樹»。


全体的に4(3)枚目のセットランドがタップインすることにより、«混沌の辛苦»を唱えられることが起きないようタップインの土地の枚数を最低限に絞っています。



サイドボード

«神々の憤怒»

画像24

アグロ相手に効果的な1枚となります。
3マナのため、運良く«混沌の辛苦»とキープ出来れば、«神々の憤怒»→«混沌の辛苦»と動くことが出来ます。
白絡みのヘイトベアーも一掃することが出来ます。
緑絡みの相手には、3tの時点でタフ4を出されることがあるため、サイドインには注意が必要です。
«混沌の辛苦»から«ティボルトの計略»の代わりに捲れる可能性もあり、その際に受け入れらるか?がサイドインの基準となります。
場合によっては自分の首を絞めかねないものの、«マグマ・オパス»や«創造の発露»とあわせて、本来4t目が回ってこないような状況から可能性を作り出す1枚です。
1~2枚が適正枚数であり、1枚はサイドボードの幅を大きく広げるため採用し得だと考えています。


«不屈の巡礼者、ゴロス»

画像25

カード名指定等の様な対策やコントロール相手のサイド後で活躍するカードです。
«世界樹»を持ってくることで、1~2t後に起動能力の起動が見込め、放置されれば起動能力を、対処されても伸びたマナから手打ちを狙うことが出来ます。
5t目から仕掛けられ、圧力をかけながらマナサポートを可能な点で独自の強みを持っています。


«思考のひずみ»

画像26

サイド後にカウンターを増やし、構える形を取るコントロールに非常に効果的な1枚です。
場にPWが定着していたり、2枚目以降は腐りやすいのが難点です。
ミラーにおいても、これを捲ればほぼ勝つことが可能です。
2~3枚が適正枚数だと考えます。


«サメ台風»

画像27

以前はこの枠に«終局の始まり»を採用していましたが、相手の«覆いを割く者、ナーセット»が対処しづらく、ドロー出来ない状況が弱かったためこちらにしました。
呪文でないため、«暗記+記憶»に当たらないのも独自の強みです。


«原初の潮流、ネザール»

画像28

コントロール対して非常に効果的な1枚です。
既に着地している«ドミナリアの英雄、テフェリー»には弱いため、各種ミシュラランドでサポートが必要です。


«創造の発露»

画像30

既に述べましたが、4t目を迎えられない試合で活躍します。
とはいえ、«ティボルトの計略»で当てた際は7マナとは思えないほど弱いため、相手のデッキをしっかりと見極め1枚等だけにする様な可能性を考えることが求められます。


«這い回るやせ地»

コントロール相手の追加のミシュラランドです。
早いアグロ相手には、«世界樹»と入れ替えることでタップインランドを減らします。


«ボジューカの沼»

画像29

土地枠でありながら墓地対策が可能であり、赤黒系相手の減速、コントロールの«アズカンタの探索»、«暗記+記憶»や«奔流の機械巨人»対策が可能です。
ミラーにおいても«混沌の辛苦»の回顧を阻害でき、1回目で決めきれなかった相手への切り札となり得ます。


ここから先は有料部分となっています。

各対面毎のサイドボードとプラン、苦手なカードやこのデッキの倒し方、採用されなかったカードとその理由についてが書いてあります。上記までの無料部分を参考にして判断して頂けますと幸いです。



4.各対面へのサイドボードとプラン

ここから先は

3,172字 / 21画像

¥ 100

もしサポートして頂ければ、MtgArenaをプレイする用のPC、及びその周辺機器の購入費用に、有難く使わせて頂きます。