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なぜアルケミーは人気がないのか?~800試合を終えて考える~


皆さん、こんにちは。

最近、あまりMtgに時間を割けていなかったのですが、7~8月にかけてアルケミーを熱心にプレイする機会があり、この2ヵ月のゲーム数が800試合超えました。

久しぶりに、やり込んだと胸を張れるだけプレイすることが出来ました。

最近は、Mtgに関する記事を余り書けていなかったこともあり、せっかくの機会なので、アルケミーに関する記事を書きたいと思った次第です。



1.初めに



先程も少し述べましたが、この2ヶ月間で

①ランクマッチと構築イベントを合わせて、アルケミーBO3を220試合、BO1を590試合の計810試合


②両月のランクマッチで、アルケミーを中心にプレイし250以内でMCQWの権利を獲得


③アルケミーの構築イベントでプレイインポイントを45pt獲得

を達成することが出来ました。

試合数に関しては、アルケミーというフォーマットだけに限れば、恐らく平均と比べてもかなり多いと思います。


これだけ試合を行ったのも、ひとえに試合が楽しかったからです。

少し話は変わりますが、アルケミーは来月24~25日に開催される、アリーナチャンピオンシップ1にて構築フォーマットとして採用されています。


先月にアルケミーホライゾン:バルダスゲートがリリースされており、現在Wotcが最もアリーナにて力を入れているフォーマットは、アルケミーと言っても過言ではないように思われます。


そんなアルケミーというフォーマットですが、私は楽しめていた一方、ユーザーからの人気はイマイチで、プレイしている人が少ないように感じられます。

以下からは、アルケミーは本当に人気が無いのか?についての客観的、主観的な話が続くので、興味が無い方は 2.なぜアルケミーは人気がないのか?まで飛んで頂いて大丈夫です。


日本公式のサイトでは、アルケミーのプレイ人数、割合に関する具体的な数値を見つけることが出来ませんでした。
そのため、Mtgアリーナのトラッカー(情報を記録する外部ツール)として、メジャーなMTGA Untappedのデータを調べてみました。


MTGA Untappedにて無料公開されているデータによれば、



参考:https://mtga.untapped.gg/meta/cards



アルケミー、及び同じくアリーナ限定フォーマットであるヒストリック、エクスプローラーにおける、ブロンズ~プラチナ帯における試合数を集計しました。


フォーマットによって、データの集計期間が異なるため、可能な限り近い期間になるように範囲を選んだ上で集計しました。


そのままでは比較しづらいため、期間中の1日あたりの平均試合数も算出しました。

MTGA Untappedを利用している人のみのデータで、全体の一部のみのデータとなりますが、フォーマット、形式間の人気の参考程度にはなるかと思います。



アルケミーBO1、BO3共に他フォーマットの半分以下の試合数であり、アルケミーの人気が無いことについて、客観的に正しいと言える可能性が高いように思われます。
特に、BO3に関しては、アルケミーとエクスプローラーで1日あたりの試合数に8倍以上の差があります。


主観的な話ですと、私の個人的経験からも同じ傾向が感じられます。
例えば、

①ミシック状態のランクマッチでは、月初でないにも関わらず、1/2程の頻度で下のランク帯とマッチング。ダイヤ、プラチナどころか、ブロンズとすらもマッチングする。

②構築イベントではラダーよりプレイ人口が少なく、BO3では待ち時間2~3分が当たり前で、10分待ってもマッチングしないことも。

③ランクマッチ、構築イベントの両方でプレイ人口が少ないため、同じ人によくマッチングする。1週間ほどやればマッチングする人の6~7割の名前に見覚えがある。

といった感じです。




2.なぜアルケミーの人気が無いのか?



ここからは、アルケミーの人気がない理由と思われる点(個人的な不満点)に関する、主観的な意見をあげていきます。

大きく分けると、4つの理由があげられます。

①過度にデザインされた環境

②雑なデザイン、バランス調整

③カードの入手の困難性

④デッキリストが少ない

個別に詳しく解説していきます。


①過度にデザインされた環境


そもそもの話になりますが、アルケミーのオリジナルカード(以下「オリカ」という)が、スタンダードのカードと比較して、強過ぎることが問題の1つとしてあります。


アルケミーのカードプールは、スタンダード+オリカから構成されています。
スタンダードでリーガルなカードとなると、カードパワーもある程度限られている為、オリカと比べた際のカードパワーの差が著しいです。

例えるなら、スタンダードのカードは1+1=3と言った形で、少しずつライフやハンドアドバンテージを稼ぎますが、オリカは1+1=10の様なアドバンテージの稼ぎ方をします。

4T目までに手札総数を1枚増やしながら、盤面に3/4と5/6飛行護法2(タップイン)?!



そのため、必然的にアルケミーにおける強いデッキ≒強いオリカを活かせるデッキとなってしまいます。


現在のアルケミーにおいて、個人的にTierに挙げられるデッキは

エスパー、ジャンドお祭り騒ぎ、ナヤお祭り騒ぎ、赤単、ラクドス(サクリファイスとミッドレンジ)、イゼットアグロ、ジェスカイ日向


の7つ、及びそのバリエーション程度です。
最後の3つは数が少なく、ラダーでは前から4つが大半を占めます。


現在のアルケミーを定義するカードとして、独断と偏見で選べば以下の12枚が挙げられます。


これらのカードは、スタンダードのカードとは一線を画すパワーを持っており、先程述べた7つのデッキは基本的にいずれかのカードを採用しています。

(アルケミーをやったことが無い場合、«表現の反復»、«鏡割りの寓話»クラスと同等、もしくはそれ以上だとイメージして頂ければ)

個人的なアルケミーを代表する12枚



このように、勝とうと思ってデッキを作るなら、特定のオリカを強く使える構築であることが求められます。

また、バランス調整(ナーフ)や禁止に特定の意図があるように感じられます。
具体的には、開発が意図しない利用のされ方をする事を嫌っており、逆にエスパーの様にシナジーが強くなるようにデザインされたデッキは、他のデッキより明らかに強くてもバランス調整をされていません。


こういった、特定のオリカを使うことの半強制、意図的に思われるバランス調整により、開発が望ましい環境にされている感があり、開発によってデザインされた環境で遊ばされている感が否めません。


Mtgの他のTcgの違いの1つとして、クラン制でない事があげられます。
デザインされた感により、このクラン制でないとうオリジナル製が低下してるように思われます。

もちろん、特定のオリカを使わないでデッキを作ることは可能ですが、特定のデッキの下位互換のような形になってしまい、オリジナルデッキではなく、オリジナルなクソデッキとなってしまいます。


②雑なデザイン、バランス調整


①でオリカが強過ぎると書きましたが、本当に飛び抜けて強いものが存在し、ちゃんと考えてデザインしたのか疑わしいレベルの物が存在します。

例えば、«痛ましい絆»というカートが存在します。

現在の«痛ましい絆»



しかし、このカードは以前は全く逆の効果でした。


バランス調整前の«痛ましい絆»



このカードがバランス調整(ナーフ)された際の、公式の説明です。

引用:https://mtg-jp.com/reading/publicity/0035993/


個人的には、これを見てなるほどな~?とはなりませんでした。
同じアルケミーのパックで2マナ最強除去の«溶鉄の衝撃»が出たり、イニストラードで相性の良い敵対者サイクルが出ていたりした事も大きいです。


また、①で挙げたこのフォーマットを定義する12枚ですが、«血塗られた刷毛»、«街追いの鑑定人»、«査問官の隊長»、«舞台座一家のお祭り騒ぎ»の4枚はバランス調整済みであり、それでもスタンダードのカードとは比較にならないパワーを持っています。


ちなみに、右端の6枚はアルケミーホライゾン:バルダズゲートで追加されたカードですが、公式によればかなりデザインを頑張ったようです。




良くも悪くもダイナミックなプレイ
引用:https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036164/



また、こちらはアルケミーホライゾン:バルダズゲート前に«にやにや笑いのイグナス»が禁止になった際の理由です。

引用:https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036164/



«にやにや笑いのイグナス»が悪いのではなく、アルケミー:ニューカペナで追加された«ゆすり屋のボス»、«舞台座一家のお祭り騒ぎ»が悪かったのですが、禁止されたのは«にやにや笑いのイグナス»でした。
(«マインコシスの格子»と«大いなる創造者、カーン»みたいな関係です。もちろん、«にやにや笑いのイグナス»が«マインコシスの格子»です)

結果として、バルダズゲートで追加された«ゴブリンの罠探し»によるデッキの強化もあり、この1ヶ月後に«ゆすり屋のボス»と«舞台座一家のお祭り騒ぎ»はバランス調整されることになりました。

この様な雑なカードデザイン、バランス調整から、アルケミーのプレイヤーは、時間とお金(ワイルドカード)を払ってテストプレイ、デバッグをしていると揶揄されることがあります。

もちろん、挑戦する上での失敗はしょうがないことであり、過度に開発を叩くのは間違いですが、それは前提として開発がデザイン、テストプレイに十分をコストをかけているならです。

現状では、運営が思いつきでカードデザインし、テストプレイをユーザー任せにしているように感じてしまいます。





③カードの入手の困難性

アルケミーのパックは、基本的にリミテッドで開封、及び報酬として入手することが出来ません。

そのため、基本的にはショップでジェムやゴールドを用いて購入するか、ワイルドカードを用いてクラフトすることになります。

しかし、アルケミーでは(実質的に)禁止の代わりに、バランス調整という名のナーフが存在するため、せっかく手に入れたカードもバランス調整されてしまえば、基本的には使えないも同然になってしまいます。

バランス調整の頻度ですが、オリカに対するナーフのみに絞っても、

1/27、5/5、8/11

の3回であり、他フォーマットと比べると頻度が高いです。

7/5の«にやにや笑いのイグナス»禁止も、アルケミーカードが直接的な原因であるため、これも含めれば4回となります。

基本的には、アルケミー:〇〇、及びアルケミーホライゾン1つにつき1回のナーフが行われています。

スタンダードと比較すると、ただでさえ入手が難しいカードが、実質的に禁止されても補填が無く、ユーザーに優しくないのが現状です。

また、ナーフとは別にバフも行われており、アルケミー限定効果を持つカードについて、全て把握している人は恐らくこの世に存在しません·····。




④デッキリストが少ない

恐らく、人気やプレイ人口の少なさが原因と思われますが、アルケミーの大会は非常に少ないです。

MTG Meleeで調べると、この2ヶ月間に行われたアルケミーの大会は2つのみで、片方は参加人数30人程度のカジュアルなものです。


そのため、リストが出回ることが少なく、基本的には自分でTwitterを使って探す必要があります。


また、プレイ人口、及び大会の少なさから、リストについての研究もあまり進んでおらず、それが原因でリストが出回らず、プレイ人口が~という負のスパイラルに陥っているように思われます。





3.終わりに


このように、アルケミーはいくつもの問題を抱えているように思われます。


もちろん、全てのフォーマットが何かしらの問題を抱えいますが、アルケミーではその問題に対するユーザーの不満が強いように考えられます。

②で書いたのは、あくまでもアルケミーがプレイされていない原因と思われる理由であり、ミシックチャンピオンシップ等の大きな大会でのプレイを考えた場合、抽出元のカード群やドラフト元のカード群が分かりづらい、俯瞰した画面では付与された効果が分からない、等の様々な困難を抱えているように思われます。


個人的には不満もあるものの、プレイしていて面白いと感じるので、少しずつ改善されていけば嬉しいです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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