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そうだ、ヒッチハイク、しよう⑨ 高知編 前編


四国第二の県、高知の夜

高知自動車道、南国サービスエリア

栗林公園の散策を終え、いよいよこの辺りで見るべきものも見尽くした、と語る家出さん。となればこの奇妙な二人旅の舞台を、ここ香川から次の県である高知へ移すべく高速をひた走る。
四国の高速はトンネルが異常に多い。というのも四国のど真ん中は山なので当然っちゃ当然なわけだが、そのトンネルの多さを開き直ったのか、各トンネルの入り口にはここが目的地までのうちに通る全○○本のトンネルのうちの○本目だよ!と親切に教えてくれるトンネルカウンターが存在する。
最初のうちこそ二人で、うおおお!○本目通過!これであと○本ですよ!などとトンネルを通過する度にその数字に盛り上がっていたのだが、次第に変わりばえしないトンネルの景色に飽きて押し黙った。

高知県高知市にあるひろめ市場

立川PA、南国SAでの休憩を挟みながら高知に20時前に到着。ホテルに荷物を置いて早速街へ繰り出す。
ひろめ市場は、四国、いや日本中の飲兵衛が集まる酒の聖地。中にはカツオのたたきを始めとした高知の名物からインド料理まで幅広い飲食店が立ち並び、客は食べたい物を買って好きな席に座って食べることができる。一見フードコートに近いが、酒が飲めるというのが大きな違いで中で売っている食べ物も飲酒を前提としたようなものが多い。
時間帯にもよるだろうが、席は客の数に対して余裕十分とは言えず、必然的に知らない人との相席になるというのもここひろめ市場の魅力だと言える。

高知と言えばやはりカツオのたたき
意外と美味しかったウツボ

カツオ、クジラ、今日屋島の水族館で見てきたばかりのウツボなんていう変わり種をもビールで流し込む。カツオにクジラが美味しいのなんて当たり前だが、このウツボがまた結構美味しくて、フグに続いて私がこの旅で克服した食わず嫌いに名を連ねることとなった。

藁焼きの実演なんかもやっていてエンタメ性も高い

せっかく高知に来ているというのに、インド人の上手な営業に乗せられてチーズナンやラッシーまで注文してお腹いっぱい。市場もそろそろ営業時間が終わるというので、お酒もだいぶ回っていた私はこのままホテルに帰ってもいいくらいの満足度だったのだが、家出さんはどうもまだまだ飲み足りない様子。
というのも、時刻はまだ23時。酒飲みにとってはまだまだ夜はこれから、という早い時間に閉まってしまう。その後は各自好きに居酒屋なりバーなりで飲んでくださいね、ということなのだろう。
それでは何故ここひろめ市場が酒飲みの聖地と呼ばれるのか。それは朝8時という営業開始時間に由来する。日曜日に至っては朝7時から酒が飲める。高知の人たちは朝っぱらから酒を飲んでいるのだ。


高知の夜はまだまだ続く

岡山のミックスバーが凄く良かった、という話は既に家出さんに聞かせていたので、どうやら高知にも存在するらしいミックスバーを求めて、夜の高知を彷徨い歩く私たち。
だがGoogle先生に聞いてもちゃんとした場所が分からない。無料案内所の人に尋ねてみると、案内所のおじさんも自信はないけれどこの辺りにそういう系のバーがあった気がする、とだいぶ曖昧な案内をしてくれた。
その案内に従って行ってみるも、やはりそれらしき看板は見当たらない。
家出さんはよほど飲みたかったらしい。もうここでいい、と言い放つと目の前のビルにある手品バーへと吸い込まれて行ったので私も慌てて後を追った。

手品バーに入るのは私も家出さんも初めて。
正直、二人が二人とも素人の手品の延長みたいなものを想像していたのだが、その手品バーをやっていたのは意外にも本格的なプロのマジシャンで、シンプルなテーブルマジックから始まり、鳩を出して見せたりなんていう少々派手なマジックまで披露して楽しませてくれた。

店に入る前の期待のハードルを軽々と越えてくれた手品バーに気を良くした私たちは、三軒目にその手品バーのすぐ隣にあったシーシャバーへと流れ込む。
時間も時間だったせいか客は私たちの他にはおらず、店員はまだ20になったばかりにも見える若い女の子が二人ほど。
どうやら店はこの若者グループの溜まり場になっているらしく、身内のような数人が出入りを繰り返す中で、私たちはシーシャをぷかぷかしたり、お酒を飲んだりして過ごした。
いい感じで酔いが回り始めた家出さんが若者たちの内輪の会話の端を捕まえて何度か絡んだりもしたが、やはりどこか居心地は悪く、一時間ほどで退店。
だいぶ酔いも回ってきたしそろそろ帰るのかなと思いきや、帰り道にコスプレバーを発見し家出さんも半ばヤケクソのようなノリで四軒目へと突入していく。

店内にはメイドの格好をした女の子が二人と男性店員が一人。これが今流行のコンカフェというやつか。チェキやオムライスといったメイドカフェでお馴染みのメニューもある。
すっかり酔っぱらった家出さんは若い女の子たちに政治やら何やらの話題を吹っかけて困らせており、最初に会った夜からなんとなく気付いてはいたが酔うと結構面倒臭いタイプだな、と思ったが金を出してもらってる以上は私より家出さんが楽しむことの方が優先なので、女の子たちには申し訳ないと思いながら見ないフリ。
女の子の片方はオタクで腐女子というとても分かり易い子で、この面倒臭いおじさんよりも私に興味があるよという視線をひしひしと感じる。
家出さんも若い子と合わない話をするのがつまらなかったらしく店を変えようとしていたので、私はこの店に残って家出さんだけが同じビルの別の階にある店に移動することになりそのまま別行動となった。
正直ホッとした。そんな表情をしていると、どうやら女の子の方も同様だったらしく二人で顔を見合わせて笑う。そのまま閉店の4時過ぎまでダラダラと女装の話やら何やらをくっちゃべり、楽しく話せたお礼に記念のチェキも注文して退店。
帰りに泥酔状態の家出さんを拾ってホテルへ帰ると、二人してそのまま昼まで泥のように眠った。


坂本龍馬に会いに行く

太平洋に面した桂浜は月の名所としても有名

14日目。
予想できた結果だが、二人とも二日酔いでグロッキー。
死にそうな顔をしながらもなんとか風呂と洗濯を済ませて、昼過ぎから桂浜に坂本龍馬を見に行くことに。やはり高知と言えば坂本龍馬は外せない

ホテルを出て車を走らせること30分弱。
到着した桂浜公園は、タイミングの良いことにちょうど先月にリニューアルオープンしたばかり。施設はピカピカで観光客も大勢いて賑わっていた。

太平洋を見つめ、海の彼方に思いを馳せる龍馬像

ついに龍馬像がお目見え。
通常、このように高い位置にいる龍馬を見上げることしか出来ないのだが、なんと期間限定で象の真横に設置された特設展望台を登ることで、龍馬と同じ目線に立つことが出来るとのこと。
私なんかが坂本龍馬と同じ目線に立つというのも烏滸がましい話だが、期間限定という言葉にめっぽう弱い私たち。

ええ、登りました。これが龍馬の目線。
世界に目を向け、その果てにさらに日本の未来を見つめる龍馬の横顔をしっかりと間近で見ることが出来る。
この旅が無事に終わるその時、それが夕方由美子の夜明けぜよ!



今回の移動まとめ

四国縦断
  • 高松(香川)-高知 続ヒッチハイク(家出さんの運転)

  • 高知-桂浜(高知) 続ヒッチハイク(家出さんの運転)

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