扇風機の微風が届く場所で
なぜだか
寝付けない夜だった
延々と寝返りを
繰り返すと
意識は少年の頃に戻っていた
その頃いつも
寝付けなかったのは
波の音のせいだった
ぎりぎりまで耐えて
砕けて落ちる波の音は
何もない砂浜じゅうに響き
30mしか離れていない家の
あらゆるすき間から入り込んで
僕の全身を揺らした
つむった目に見えるのは
海底の波なみ模様の砂
どんなに進んでも
終わりがなかったのは
知らない間に寝ていたから
そう思えば
この寝室は静か過ぎて
僕に何も見せてくれない
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