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小学校がシンドイ。母親目線の分析

 学ぶ母の背中を見せるべく、DATA Saverプログラムにチャレンジ中ですが、クリアすべき課題の一つにTableau Publicに自分が作成したVizを掲載するというものがあります。題材は自由、せっかくなのでモヤモヤと抱いていた疑問を探ってみました。

私のモヤモヤ

 息子は小1の4月に不登校になりました。色々なサポートを受けて小4の今はなんとか毎日通えるようになりました。でも、学校に行くとどっと疲れるのでできれば行きたくない。週3くらいがちょうどいいといいます。
 学校に行けなくなった時、頭によぎったのは年中の時に幼稚園で言われた言葉です。このままでは小学校で苦労しますよと。
 一方、幼稚園の長期休暇時に利用していた認可外保育園でこのことを相談したところ、今度は逆の意見を頂きました。
 確かに集団行動が苦手な面もあるけれど、個性の範囲。小学校に向けてはこれからですよ、一緒にがんばっていきましょうと。
 結果としては幼稚園側の予言?どおりになった訳ですが、この捉え方の違いはどこからくるのか。この違いが小学校がシンドイと感じるわが子を理解する手がかりになるのではと感じていました。
(決して保育園が正しい評価をできていないという訳ではありません。)

不登校、幼児教育

 この2つのキーワードで分析するために、都道府県別の不登校児童数と保育園・幼稚園の利用比率で何かわかることはないか、見えてくるものはないか、調べてみることにしました。
 データは統計局のポータルサイトから取得します。

<不登校児童数>
 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
 (文部科学省)

<保育園・幼稚園の利用状況>
 保育園、こども園 : 社会福祉施設等調査 (厚生労働省)
 幼稚園 : 学校基本調査 (文部科学省)

 不登校児童の数はわかるものの、都道県別・学年別はみつけられなかったため、都道県別・全学年の数字を利用することにします。
 一方、保育園、幼稚園は全体では年齢に幅があるため、5歳児に限定してデータを利用することにしました。利用状況を把握したかったので、施設側の数字をそれぞれ合算したものを5歳児全体としてみることにしました。
 ただ、これだと調査時期のずれや、我が家のような複数利用している場合はそれぞれでカウントされるので、国勢調査の数字の方が重複がなく正確だったかもと、分析した後に気がつきました。
 データは全てが揃う最新が2017年度だったため、この年度で分析することにしました。本当は時系列で分析したいところですが、傾向が見たいだけなので、2017年時点での保育園、幼稚園の状況と小学生の状況と認識した上で分析することにします。

不登校児の割合

 文科省の調査結果は都道府県別とはいえ、数表で発表されていることもあり、パッと見ではどの地域が比率的に多いのかわかりませんが、地図にプロットすることで東日本に比べ、西日本が全体的に高いことがわかります。
 2017年度の1位は島根県(9.7人)、2位は沖縄(8.6人)でした。ちなみに2021年度の調査では1位が沖縄(18.8人)、2位が島根(17.5人)と2017年度とは逆転しています。(最新データの分析は別の機会に・・・)
 不登校は首都圏の方が多いイメージがありましたが、こうしてみるとイメージでしかなかったことがわかります。

不登校児の割合

保育所利用率

 こちらも地図にプロットすると日本海側が保育利用が多いことがわかります。共働きが浸透している福井県が1位と、地域により求められる保育サービスのニーズや自治体の施策が異なることが確認できます。今回は単年度ですが、都道府県毎の女性の就業人口と保育所数の推移を比較するとより、地域性をみることができそうです。

保育所利用率

不登校児の割合と保育所利用率の関係

 今度は二つの数値をもとに、関係性がないか散布図でみてみます。ばらつきがあり、はっきりとした傾向はみられません。さらにクラスター分析を行ってみます。
 Tableauではクラスター分析が用意されており、メニューからドラック&ドロップすると自動で似ているデータ同士をグルーピングしてくれます。詳しい方法はわからなくても、Tableauにおまかせすれば、似たもの同士をわけてくれるので気軽にぽいぽいっと試せるところがストレスフリーでおススメです。
 クラスター数を自動にしてTableauにおまかせしたところ、2つのグループにわかれました。このグループがどういう特徴をもっているのか、わかりやすくするために5歳児の人数を円の大きさで表現してみます。

不登校児の割合と保育所利用率の関係

 青色クラスターは児童数が多い100万都市を含む都道府県が中心で、保育所の利用率は50%以下のグループです。反対に赤色クラスターは児童数が2万人以下の都道府県が中心で保育所の利用率が高いグループになります。

母の見立て

 散布図をみても保育園か幼稚園かどうかでは目立った関係性はありません。保育園出身だと入学時のギャップを感じやすくなるのでは?という私のモヤモヤをクリアにするような結果は得られませんでした。
 やはり、保育園、幼稚園といった分類ではなく、園の方針が自由保育主体なのか、就学を見据えて早期に集団活動を取り入れているか等で分類し、入学時に感じるギャップの強度が不登校にどの程度影響を与えるかという粒度までにしないと難しそうです。
 失敗かぁと思いつつ、ここからはデータをみながら何か見えてくることがないか想像することにします。

 こども達の環境と地域の違いを考えながら、分類されたグループについて考えてみます。
 都道府県単位での可視化に対する私の整理はざっくりこんな感じです。

  1. 小学校入学時に複数の保育園、幼稚園出身者が混在し、出身別にわけた場合数名程度の構成
    (散布図で青の大きな円で不登校児の割合が高いグループ)

  2. 小学校入学時に複数の保育園、幼稚園出身者が混在するが、卒園生がほぼ同じ小学校へ持ち上がる
    (散布図で青の大きな円で不登校児の割合が低いグループ)

  3. 小学校へは地域内の保育園、幼稚園いずれかからほぼ持ち上がり
    (散布図で赤、青の小さな円の低いグループ、5歳児人数が2万以下)

 1.が我が家のパターンです、これはこどもへの負荷が高そうです。都市部は幼稚園・保育園も多様化していて、教育内容や方針、大規模園から小規模園と構成人数も様々です。小学校はいわば異文化で育った者同士が集められる状況。
 2.は学校区が大きく、人口も多い地域によくあるパターンだと思います。私の実家のある地域もこのパターンです。異文化はあるものの、クラス内に顔見知りの仲間も多いので1よりは不安感は少ないかもしれません。
 3.は地方のケースを想定しました。学校区にある保育園か幼稚園の卒園生がそのままスライドするパターンです。保育園、幼稚園から高校まで同級生といったことが珍しくない環境です。保幼小連携の取り組みも実施しやすそうですが、苦手な相手がいたりすると逃げ場がなくなる可能性もありそうです。
 入学時のギャップと言っても、こどものおかれる環境としては数種類ありそうなことがわかりました。私のこども時代は2.のケースだったので、息子の不安感をあまりくみ取れなかったと反省しました。「就学へのスムースな移行を家庭でもサポートしてください」とは言われましたが、自らの経験だけではミスリードする可能性もありそうです。小学生になるのだからと色々ハードルを高くしてしまっていたなぁと反省。ごめんよ、息子。母さんそこまで考えてなかったよ。

 入学に対する「不安感」という面ではなんとなく、状況を理解することができましたが、もう一つ、入学後わずか数週間で「毎日がつまらない」「僕の人生はもう終わり、死にたい」というところまで辛さが加速したのはなぜなのかというところまでは探索できそうにありません。何かないかとここまで分析したところでプロの意見も確認したくなり、関連しそうなキーワードで検索したところ、息子の言葉を代弁してくれたかのような意見を発信している園長先生がいらっしゃいました。

小1プロブレムの課題と解決策!保幼小の連携を進めよう|みんなの教育技術 (sho.jp)

 ”幼稚園と小学校では「遊び」という言葉に対する認識が異なる”
 ”プレイフルな教育が小1プロブレム解決の糸口に”

 「全部先生が決めてしまう。自分で決めたいんだ」これは息子が当時よくつぶやいていたことです。 あぁ、これだと腹落ちしました。保育園、幼稚園とも、えり好みする余裕はないものの、可能な範囲で、自主性を重んじて自由な活動が多い園を選びました。集団活動があったとしても彼の許容範囲内で、なんとかそれぞれの場所で園生活は楽しんでいたのだと思います。
 その自由が突然なくなり、周りは知らない子ばかり。親はとにかく学校へ行けという。自由を謳歌していた分、制限されることへの反発は強まりそうです。

 大人で例えると、スケジュール管理もプロジェクト進行も自由にできていた会社からスキルアップを目指して転職したら、定例会議がガチガチに決められてて、毎日報告書の提出が必要で上司の許可がないと業務の手順も変えられない会社だった・・・という状況でしょうか。
 さらに同時期に転職して来た他のメンバーは違和感なく、仕事をこなしてているのに自分は上司に怒られてばかり。
 しんどいですね・・・転職したことを後悔します。でも、いろいろあって6年間は転職できない。ひたすら我慢の日々。

 確かにこの状況であれば、あの言葉が出てくるのも納得です。
 自分で考えて行動できる人になって欲しい、その思いを持って成長してくれていたのです。自由にできないこともある現実をうまく受け止められなかっただけ。そこはまだまだ発達に個人差があるのに、他の子はできているというだけで、「なぜ?」をくりかえてして追い詰めてしまっていました。
 ほんと、ごめん、息子。母さん、君の辛さを今やっと理解できたよ。

役割の大切さ

 今回私は自分の疑問をもとにデータを作成し、可視化することでモヤモヤを整理し、こどもの辛さの理解という点は達成することができました。これからの関わり方に新たな視点持つことができたと感じています。
 一方、同じデータでも幼児教育のプロが見る場合には別の課題が見えてくるでしょう。(このデータじゃ意味ないと言われるかもしれませんが)
 そしてそのデータが次の行動へのきっかけを与えたとすれば、その恩恵を受けるのは全国のこども達になる可能性があります。

 DATA Saverプログラムの中でデータとのかかわり方について、役割があることを学びました。すべての人が同じスキルレベルでデータと関わる必要はなく、それぞれの役割に応じてデータをもとに意思決定する、そういった営みを続けることがデータドリブン文化につながるのだそうです。
 データを扱える人を増やすのも大事ですが、データを見て理解した上でアクションを行う人を増やすことの方が大事とのこと。現場の先生たちのモヤモヤを今回の私のようにデータで代弁することができたら、次の行動への心強い武器になるのではと感じます。

Tableau Publicのススメ

 Tableau Publicはユーザ登録をすれば無料で使えます。機能は限定されるものの、今回のような分析をするには十分なTableau Desktop Publicエディションが利用でき、さらに作成したVizはTableau Public Galleryに保存され、共有することができます。
 ”Public”なので、オープンにできないデータを使用しないよう注意が必要ですが、統計局などのオープンデータを使って可視化してみたい場合はとても便利です。
 でも、政府の統計データって本当にわかりにくいですね・・・せっかくの宝のデータがもったいないです。定年したらビジュアル化するのをライフワークにしようかと思くくらい。
 趣味:データビジュアライゼーション
ありかな?

Tableau Public

小学校がシンドイのはなぜ?#DATASaberBridge | Tableau Public

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