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数学を苦手とする高校時代の自分にアドバイスするなら

私は数学が苦手である。面白い学問であるとは思うし、論理を極めて重んじる点や有用性が非常に高い点も理解している。だが、難しい。高校生の段階から徐々に難しいと感じ始めて、大学での数学はかなり難しいと感じた。

はるか昔、私が受験生だった頃には数学の試験はそれなりの点数さえ取れればいいという思いで受験に臨み、実際に平均より劣る点数だったと記憶している。他の教科でカバーすれば大学に合格できるだろうという算段を立てていたのである。
ただ、もしも数学が苦手で仕方がなかった高校生の自分に対して現在の立場からアドバイスをするのであれば、どのような言葉をかけるだろうかとふと思った。本稿では今の私が過去の自分に数学のアドバイスをするならこういうことを言うという内容を記述する。

私は教育の専門家ではない。また、本稿の範囲は大学受験程度までの数学の問題と如何に向き合うかという内容であり、数学という学問との向き合い方ではない。
だが、とある意図をもって本稿を書いた。参考になれば幸いである。



アドバイス その1 受験に関して信頼できる人に相談しよう

いきなり突き放すようなことを言うが、大学に合格するという目的だけを果たすためだけであれば、受験に精通しており、かつ信頼できる人に対して「数学が苦手なんだけど、どうしたらいいか?」と尋ねるのが良い。

なぜこんなアドバイスをするかといえば、日本の受験業界は十分発展しており、こと大学受験に関しては効率的に勉強するための方策が確立されているためである。勉強するのはあくまでも自分自身だが、勉強の方針やスケジュールを提示してくれる先導者がいるのであれば、その方策に乗っかるのは賢い選択である。学校や予備校の先生や部活の先輩でもいいが、実績のある信頼のおける人がいいだろう。

ちなみに高校時代の私にはそういった存在はいなかった。先生は多忙で、私一人のために時間を費やさせるのは心苦しかったし、部活の先輩も私の志望校に詳しい人はいなかった。なのでこのアドバイスは一般論としては有用だが、過去の私にとっては無意味である。
アドバイスを列挙するという本稿の主旨とは話は逸れるが、そもそも過去の自分は何故数学があんなにもできなかったのかを分析したうえでアドバイスその2に移ろうと思う。

横道 過去の自分はなぜ数学を苦手としたのか?

(1)概念の理解が浅く、演習不足だったから

当時の私はインプット(理解)もアウトプット(演習)も両方とも不足していた。教科書に書かれた内容を自分で説明できるまでの理解をできていなかったし、同時に理解するためには多量の演習が必要だと分かっておらず、演習を怠った。

学校で配布される問題集は確かに進めていたのだが、簡単な問題集だと理解や演習ではなく訓練や写経になっている。写経自体は有用だし、数学に慣れ親しむうえでも必要な時間なのだが、それだけでは数学はできるようにならない。
概念の理解をしたうえで演習をすべきだったのにしなかった。それが第一の敗因である。

(2)教科書で取り扱う問題と入試問題のギャップがあまりにも大きい

教科書に載っているような問題は入試問題としてはかなり簡単な部類である。学校では全ての学生のための授業になるため、基礎的な演習を重要視せざるを得ない。仮に授業で入試問題を取り扱ってしまうと多くの脱落者が出てしまう。
教科書で取り扱うような問題を解けて、テストでそこそこの点数を取って満足しているようでは受験時に苦労するということを当時の私は理解できていなかった。第二の敗因である。

以上の2点を踏まえて、高校時代の私にアドバイスをするのであれば以下の二つの言葉を贈ろうと思う。

アドバイス その2 数学ができないのなら勉強時間を確保しよう

模試では入試問題クラスが扱われることも多いだろう。その時に自分は数学ができないと自覚する。その際に、この言葉を覚えておいてほしい。
できない奴は勉強に時間を人一倍使おう。

秀才たちは数学の書籍に書かれた文章を一瞥して理解するが、私はそういったことはできない。そして、不得意な科目をできるようにするためには人一倍時間をかけるべきである。

受験勉強において推奨されやすい参考書に青チャートがある。

残念だが、数学を苦手とする当時に私にとっては青チャートは難しすぎる。前述のとおり、概念の理解が浅かったし、青チャートで取り扱われている問題は入試問題に近いため授業とのギャップがあるためである。
「できない奴は勉強時間でカバーせよ」という方針に則ってもっと簡単な参考書からスタートすべきである。例えば基礎問題精講であれば、授業と入試のギャップを埋めてくれるだろう。

志望校合格のための通説として青チャートやフォーカスゴールドといった網羅系でインプットを終えないとならないのであれば、基礎的な参考書でインプットを終えたうえで臨むべきである。
インプット終了後に入試問題を使っての演習が必要なのであればチョイスなどはどうだろうか?ここら辺は本人のレベルとも相談である。

時間が足らない?数学ができない現状からできるようになるためにはどうしても演習に割く時間が必要なのである。そして、時間に関してはアドバイスその3が関係する。

アドバイス その3 スケジュールを意識しよう

受験勉強を開始してからいざ受験に至るまで、スケジュールが余裕しゃくしゃくだったという人は少数派だろう。大多数の人は時間が足りなかったと言うはずである。

高校生に求めるのは酷かもしれないが、スケジュールを意識して勉強した方が良い。一つの参考書を終えるまでどれくらいの時間がかかるのだろうか、受験まであと何日なのか、体調不良で勉強できない日はどれくらいあるだろうか、一つの問題にどれくらいの時間をかけるべきか等々、時間とうまく付き合って勉強するというのは非常に重要だ。

目の前の参考書を3周することに躍起になって、受験に落ちるようでは本末転倒である。残り時間を意識したうえで、合格に必要な時間を確保し、スケジュールを立てて勉強しよう。(そうはいっても難しいのでアドバイスその1で書いたように先導者がいると楽である)

なぜこんな記事を年老いた今になって書くのか

私は数学は苦手だ。そして自分が数学を苦手と自覚したうえで勉強する術を理解している。
数学に限らず、苦手なものと割り切って付き合っていくのは年老いた今になっても実行している。それを自覚したタイミングがあったのでこの記事を書こうと思い立った。

なぜこんな記事を年末に書くのか

過去の自分にアドバイスするなら…とぼんやり考えてアドバイス2,3が頭に浮かんだ。そして、そのアドバイスは今の自分への戒めでもある。

私は自分を凡人であると理解している。理解しているからこそ、他人よりも時間を使って勉強するべきだ。時間は限られているのだから、年末年始だからといって(注 本稿は2023年12月29日に投稿)怠惰に過ごすのは凡夫がとるべき行動ではないという戒めをこめて本稿を書いた。少し早いが、新年の抱負としよう。

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