「刹那を抱いて4」
誰かが自分の中に入っていりゃ、
忘れられると想っていた。
だから夢中だった。
溺れたふりをしていた。
でも結局、
セナは満たされることはなかった。
一口3000円のステーキをご馳走になっても、
最高に体の相性が良くても、
心の中にピューピュー風が吹いていて、寒かった、
本当は知っていたことだった。
前の男ともあっていた。
肉体関係を持った後,
ベットに横たわるでもなくすぐに
「you tube」について語り出した彼に、
言いようもない孤独感と焦燥感、
失望感を持ったのはいうまでもない。
セナは潔かった。
30を過ぎセナは、
長年の夢だったパティシエの道に入った。
仕事は、
中途半端ではない職人の世界。
10代の小娘に顎で使われた。
持ち前の根性で耐えた。
月の休みは4日、
一日は12時間以上の肉体労働
トップに登りつめた。
チーフを任されたのだ。
セナは、