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【注釈2020*vol.10】 ひじタッチ !

バブル経済のまっただ中、日雇い労働者が集まる大阪・あいりん地区を取材した。警察署の重くて大きな扉はひじで押せ、と先輩記者に教えられた。地区の衛生状態は劣悪で結核患者が増えていた時期。多くの人がさわるところに手のひらをつけると、うつる恐れがあるということだ▼先日、駅ホームで電車待ちしていると、自動ドアのボタン式スイッチをひじで突いて、待合室に入る客を何人か見かけた。心の中の感染防止センサーが働いたのだろう▼日経ビジネスニューヨーク支局長の現地ルポを読むと、メディアは握手でなく、ひじをぶつけ合うあいさつを勧めている。ひじてつを食わせるという言葉もある。身を守るのに、ひじは案外大事な部位のようだ。(2020/03/19記)