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エピソード77 砂かけ婆

77砂かけ婆

砂かけ婆は、奈良県・兵庫県・滋賀県に伝わる妖怪。
人に砂を振りかける妖怪といわれる。
しかし誰も姿を見たことがないといわれ、古典の絵巻
などにも描かれていないために姿形は不明とされるか、
もしくは姿を持たない妖怪とされている。自分の醜さ
を嫌って姿を人前に現さないという説もある。

昭和・平成以降には、水木しげるによる漫画「ゲゲゲ
の鬼太郎」で鬼太郎と共に戦う正義の妖怪としての活
躍により一躍、全国的に有名な妖怪となり、水木の妖
怪画にある、和服の老婆姿が一般的なイメージとなっ
ている。


77砂かけ婆 オリジナルストーリー

ここはとある奈良の神社である。二人の男女が神社の
境内を歩いていた。

男:
今日さ、棟梁から俺の仕事の腕がかなり上がったから
来月から屋根の責任者にして給金も上げてやるって言
ってくれたんだよ。

女:
え~ほんと?良かったわね~。
ねえねえ、あんた~。
そうしたらそろそろあたし達も身を固めてもいいんじ
ゃないかい? ねえねえってば~。

その時境内横の竹やぶからこの二人に向けて砂が小雨
のように吹き付けられた。

女:
なに、これ~?砂まみれになっちゃうじゃない。
いや~。

二人は走って逃げた行った。

砂婆:
なんじゃあいつら、神聖な神社の境内でイチャイチャ
しおって。うらやましい...いやいや、不謹慎なやつ
らじゃ! まったく...。

それから一時が過ぎ、誰もいなくなった神社の境内を
そろりそろりとやってきた男がいた。

泥棒:
しめしめ誰もいねえな。
最近この辺の家は空き巣に入ろうとしても戸締りがし
っかりてやがるからぜんぜん入れねえんだ。
そろそろ俺の懐もすっからかんになっちまうから、
今日はこの神社の賽銭でも拝借して、急場をしのがせ
ていただきますよ。へへへへへ。

また境内横の竹やぶから砂が吹き付けてきた、今度は
さっきよりかなり強く、当たると痛いほどである。

泥棒:
うわ~痛ぇ、痛ぇ!
天狗様かい、それともお稲荷様かい?
わかった、わかりました、悪さはしませんから許して
くださいよ~。
賽銭泥棒は逃げて行った。

砂婆:
なんだい今日はろくでもない奴ばかり来るね。
罰当たりどもめが!

夕刻となった。
境内はシ~ンと静まりかえっていた。
そこに若い娘が走ってきた、どうやら誰かに追いかけ
られているようだ。

しばらくすると人相の悪い二人の男が境内にやってき
た。娘を見つけてニヤニヤ笑っている。

悪人:
嬢ちゃん、こんなところに逃げてきて神様にでも助け
てもらおうってのかい?そりゃ無理だ俺たちからは逃
げられねえよ、観念しな。

娘:
どうして、どうして私が借金の方に身売りしなけりゃ
いけないんですか?
亡くなったお父っつあんはまっとうな商売をしていて
あなた達に借金なんか無いはずよ!

悪人:
そんなこと言ったって、おめえの親父はエッチな浮世
絵・春画1000枚の代金、この支払いの証文に署名
しちまったんだからしょうがねえ~よな。
いいから、嬢ちゃんさっさと俺たちと一緒に来るんだ
よ。

娘:
たしかにうちのおとっつあんは抜けてるところあった
わ、でもそんなの詐欺じゃない!私行かない!誰か助
けて~~~!

すると今度は竹やぶからすごい勢いで砂の竜巻が起き
て悪人二人を巻き上げ、空中に放り投げた。
悪人が持っていた証文もズタズタに引き裂かれた。

地面にたたきつけられ腰や肩を痛めた悪人二人は奇声
を上げて逃げて行った。

娘:
神様。
私を助けていただいてありがとうございました。
これからはもっとお詣りに参ります。

娘は神社で深々と頭を下げると帰って行った。

砂婆:
いや~よかった、よかった。可愛い娘を助けられて。
この間鳥取砂丘に行ったとき教わった必殺技サンドス
トームがやくに立ったわい。

でも、ワシもず~っとこの竹やぶに居るのは飽きてし
まった。誰かワシをハラハラドキドキの冒険に連れて
行ってくれる殿方でもおらんかね~。
この際爺さんでもいいからさ~。

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