見出し画像

エピソード44 すねこすり

44すねこすり

すねこすり(脛擦)は、岡山県に伝わる妖怪。
犬のような姿形をしており、雨の降る夜に現れ、夜道
を歩いていると足の間をこすりながら通り抜けるとさ
れる。

岡山県井原市の井領(いろん)堂という辻堂のそばに
現れ、夜に通行人のすねの間をすり抜けたといい、や
はり犬の姿形をしていると語られている。
高梁市(たかはしし)でも、夜道でひとの脛をこすって
通り抜ける「脛こすり」や、股を何度もくぐりぬけて
ゆく「股くぐり」と呼ばれるものがよく出没すると語
られていた道があった、などの民俗調査報告があり
「夜間に出没する」という点も含めて共通した内容が
語られていることがわかる。

犬の姿形をしたものが通り抜けるといわれるが、有漢
町(うかんちょう)では脛こすり・股くぐりのような妖
怪は「狸のしわざ」であると言い伝えられていた。

44 すねこすり オリジナルストーリー

江戸の麻布の町外れ一人の若い侍が剣術のけいこをし
ていた。この侍の刀には殺気がこもっていた。

村正:
我が父の仇、又右エ門の居場所をやっと突き止めた。
しかし、オレは「村正」なんて、たいそうな名前だが
剣の腕前はからっきしなんだ。
どうしたら奴を倒せるんだ。

悩んでいる村正の足元に何やら小犬ぐらいの大きさの
毛の長い生き物がまとわりついてきた。
しかもこの生き物姿が見えたり消えたりする。

村正:
なんだこいつは!もしやモノノケか?
そのわりには全然怖くないな、お~よしよしハハハ。
ほらマリだ取ってこい。...
お~賢いなちゃんと取って持ってきた。

まてよ!オレは母方の血が濃いせいか他の人が見えな
いものが見えるが...もしかして又右エ門にこいつは
見えないか?
ならばこいつ敵討ちに使えるんじゃ...

その村正のことを近くの木の影から見ている男がいた
男は風丸という伊賀忍者であった。

風丸:
村正めこんなところで何をしている?
さては我が妹・風花と待ち合わせだな、許さん! 
絶対に妹は奴には渡さんぞ。 
しかし、奴の名前からするとかなりの剣の腕前のはず
必ず隙を見つけて暗殺してやるぞ!

それから数日後、村正は又右エ門に果たし状を送りこ
の町外れで又右エ門がやって来るのを待っていた。
やって来た又右エ門はニヤリと笑って村正に声をかけ
てきた。

又右エ門:
フフフ、お前がワシに果たし状をよこした村正か?
お前もワシが切ったお前のオヤジのようにまったく剣
の腕は無いようだな。構えを見れば一目でわかる。
 ど~れ、お前もワシの刀の錆にしてくれる。
さあ、かかってこい。
どうした?来ないならワシから行くぞ。オリャ~!

又右エ門はすごい気迫で村正に迫って来た。
その気迫に圧倒され村正はおびえて蛇に睨まれた蛙の
ように身動き一つ取れない。
迫る又右エ門、刀を大きく振りかぶった。

その時どこからともなく例の毛の長い生き物が現れ
又右エ門の足元に立ちふさがった。
又右エ門にはまったく見えないのか足を引っかけ思い
っきり倒れた!

固まっていた村正だったが、生き物との事前打合せが
思った以上の成果なのに気およくして、又右エ門に切
りかかろうとした。

又右エ門:
くそ、卑怯だぞ!

又右エ門もあわてて立ち上がろうとしたが、村正の方
が早い。 
又右エ門打ち取ったり!
と思った瞬間、ほめてとばかりに例の生き物が村正の
足元にまとわりつき、村正も倒れた。

その瞬間を見逃さず又右エ門が立ち上がると上から
村正めがけ刀を振り下ろした。

しかし、次の瞬間又右エ門が崩れ落ちた。
額には手裏剣が刺さっていた。

風丸:
なんてこった!村正が倒れちまったから拙者が投げた
手裏剣があの悪そうな侍に当たってしまった。
なんて悪運!やはり村正の名前はだてじゃない!

今度は例の生き物は風丸の方に走って来て風丸にまと
わりついた!

風丸:
なんだこれは見えない何かが拙者のまわりをグルグル
回っている、あ~恐ろしい、助けてくれ~!

風丸は逃げ出した。

こうして村正はなんとか父の敵討ちを果たした。
そしてこの生き物を「すねこすり」と名付け一緒に暮
らした。そしてすねこすりはこの後も何度も村正を助
けたという。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?