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エピソード06 べとべとさん

06べとべとさん

足音がするのみで人に危害を加えることはない
とされるが、足音を不気味に感じる時には
道の片側に寄って、
「べとべとさん、お先にどうぞ」などと唱えれば、
ついてきた人間から離れるという。

妖怪漫画家・水木しげる氏はこの妖怪と
思われるものと遭遇したことがあると語っている。

水木の地元、JR西日本の米子空港駅の愛称が
「べとべとさん」駅である。

べとべとさんは本来音だけで姿が見えない存在だが
水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』
『のんのんばあとオレ』などにも登場する
べとべとさんは、丸い頭部に足が生えた格好で、
微笑んだような愛嬌のある口が大きく開いている。

図像化された姿は、伝承を基に水木が想像したもの
だが、水木は漫画のキャラクターとしてではなく
正式に妖怪画集でもズゾウカ・解説しており、
水木自身も少年時代の「べとべとさん」体験では、
怖くて後ろを振り返れなかった事や、
妖怪の事を色々教えてくれた「のんのん婆」
から聞かされた、出会った時の対処法も、
各漫画等の作品に記述されている。

愛らしさを感じる者が多く、
人気がある妖怪の一つであり。
鳥取県境港市の水木しげるロードには
同様のデザインのブロンズ像があり、
「かわいい」と声をかける女性もおり、
観光客がお参りに似た気分で口に
お賽銭を入れることも多いと言う。


06 べとべとさんオリジナルストーリー

夜、町はずれの藪の中に大男が立っていた

大男:
クソー、今日のばくちに全部つぎ込んだのに
負けちまったせいでもう一銭も残ってねえや
親方や兄貴たちから借りた金もとうてい返せねえ、
こうなったら追いはぎでもして
もとでぐらい稼いでやる

大男は藪の中にひそみ誰かが通りかかるのを待った

小僧:
いや~すっかり遅くなってしまった~ 
番頭さんに町はずれの庄屋さんの家に、
出来た着物を届け、代金をいただいてこいと
言われたのだけど 庄屋さん年のせいか話が長い、
しかも同じ話をシャッフル&リピートしてくる
それだけならまだしも
「今年はうちのナスが豊作でな、
このナス漬食べてけ」
とお茶うけに沢山出される
気を悪くしてはいけないと頑張って食べると
「そんなに好きならまだまだあるぞ」と出そうとする
「すいません、本当はナス漬とくいじゃないんです」
と言うと

「そうかスマン、
早く言ってくれよ私も察しはいい方なんだから、
じゃ麻婆茄子でどうだ」とニコニコ大盛出してくる
「ありがとうございます」て食べたけど、
そもそもぼくはナスが苦手なんだよ~  
そんなこんなで遅くなってしまった、急いで帰ろう

小僧さんがあぜ道をしばらく歩いていくと
後ろから何かがついてくる、
怖がりな小僧さん勇気を振り絞って振り返ると

...猫

小僧さんお土産にともらった魚の干物を一ッ匹
ポーンと投げると猫は消えていった。 
「ぼく猫アレルギーなんだよ」

また少し歩いていくと、
また小僧さんの後ろから何かがついてくる、
しかし今度は動物のような気配ではないし、
なにか弾むような足音
今度は小僧さん怖くて振り向くことができない

小僧:
「な、なんだろー とても人や犬猫じゃないぞ、
どうしたらいいんだよ、助けて~」

こちらは大男:
おおやっと人が来た、
しかもどうやらどこかの呉服屋の小僧らしい、
これならちょっと脅せば有り金全部いただけそうだ

小僧:
まったくなんなんだよ~
...あ、
もしかしてこれが昔おじいさんに聞いたことのある
妖怪「べとべとさん」なのか?
どうすればいいんだっけかなーたしか
......思い出したぞ

大男:
よし、小僧は目の前だ大声でビビらせてやる! 

小僧:
べとべとさん、お先にどうぞ  

小僧さんは横によけた  
そこに大男が大きな声で飛び出てきた!

ポヨ~ン  
なんとも間抜けな音とともに大男は吹き飛ばされ、
小川に頭から落っこちた

小僧さん何が起こったのか解らなかったが、
とりあえず怖さはなくなったので
速足で無事お店に戻った

大男の方はといえば、
風のうわさでは心を入れ替え、
あの晩の体験をもとに大きな体を生かして
相撲界に転身し立派な関取に
なったとか、ならなかったとか......

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