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エピソード38 面霊気

38 面霊気

面霊気(めんれいき)は、鳥山石燕による妖怪画集
『百器徒然袋』にあるお面の妖怪。
石燕による解説文には「聖徳太子の時、秦の川勝が沢
山の仮面を創った。まるで生きているように見えるの
は、川勝の創った仮面であるからだろうと思った。」
とある。

泰河勝(はたのかわかつ)は飛鳥時代の人物で、能・
狂言の原型となった芸能・「申楽」の始祖であったと
伝えられる。
そのような、面をつかう芸能とゆかりのある秦河勝の
つくった面がこの「面霊気」であろうかと石燕は述べ
ている。

神々をまつる六十六番の神楽(かぐら)に使うため、
聖徳太子が秦河勝に六十六の面を作らせたことが、の
ちの申楽(猿楽)の元祖となったという伝説があり、
この伝説を素材として石燕は能・狂言の面の妖怪とし
て創作した妖怪である面霊気の解説文部分を執筆した
と考えられている。

古くなったお面や優れた作品の面が魂を宿して妖怪化
した存在。即ちお面の付喪神で、人気が無い夜に動き
出したり、持ち主に大切に扱ってくれと頼んでくると
されている。



38 面霊気 オリジナルストーリー

今夜はこの地区の納涼盆踊り大会。小学生の則之は父
に連れられこのお祭の場所に来ていた。妹が風邪で熱
を出してしまったため母と妹は家で留守番である。

則之:
母さんたちもお祭り楽しみにしてたのに来られなくて
残念だな~。 よし、帰りに色々お土産買って行って
あげよう。

祭りの会場には色々な屋台が出ていて則之は父と一通
り見て回った。
すると父は知り合いに声をかけられ、則之にこの会場
からは出るんじゃないぞと言って友人たちの宴会の輪
に入って行った。

しかたないので則之は一人で屋台見物を続けていた、
すると則之は一つの屋台の前で引き寄せられるように
足を止めた。
そこはお面屋の屋台だった。

その中の一つのお面に則之の視線は釘付けになった。
定番の仮面ライダー、ウルトラマン、有名アニメキャ
ラ、ゲームキャラのお面が並ぶ中、則之が見つめてい
たのは鬼の面だった。

最近流行っているゲームの中に出てくる適役ボスのお
面、、、のような、でもどこか違っているような。 
則之は不思議な違和感を覚えた。 

店主が話しかけてきた。

店主:
ぼうや、君は見どころがあるね~だいたい普通の子は
ヒーローやアニメ人気キャラを選ぶのに、この鬼の面
が気になるのかい。

則之:
ぼく、別に欲しいわけじゃないんだけど、なんだかと
っても気になってしょうがないんだ。
どうしてなんだろう?

店主:
それはきっとこのお面が君のことを呼んでるんだよ、
めったにないことさ、気にいった、君には特別に半額
の500円にしてあげるよ!

則之が我に返るとどうやらお金を払ったらしく鬼のお
面を持っていた。
屋台の店主はうすら笑いをしている。
もしかしたら売れ残りを買わされたのかと則之は思っ
た。

それから少し歩いてゆくと学校でいつも則之をからか
ってくる3人組が前からやって来た。
則之が一人なのを見ると3人はここぞとばかりにから
んできた。

悪ガキ:
おい、則之じゃねえか。お前一人ぼっちじゃつまんね
んだろうから俺たちが一緒に遊んでやるよ。
さあこっちに来いよ。

3人は則之を囲むと会場のすみの大きな木の下に連れ
てきた。則之は頭は良かったがどんくさいので3人に
は格好のいじめの的となっていた。

10分後則之は泥だらけになっていた。

悪ガキ:
ほんとお前はつまんねえ奴だな~、
少しぐらい俺達に反抗してみろよ。

悔しくて則之が涙を流していると持っていたお面が心
の中に語りかけてきた。

お面:
ぼうず、悔しいのか?悔しいのなら俺を顔にかぶれ、
あいつらに負けない力が欲しいのだろう。 

力が欲しいか 力が欲しければ...くれてやる!!!

則之はお面に言われるがまま顔にかぶった、
次の瞬間則之の体は大人ほどの大きさになり、
その体でのタックルで3人組は吹き飛ばされた。
そしてリーダーを片手で持ち上げた。

則之:
ふふふ、よくも僕をやりたいだけいじめてくれたな。
いまの僕にはお前達じゃ歯が立たない。
二度といじめることが出来ないようにその腕を折って
やるよ。

悪ガキ:
則之ごめん、俺たちが悪かった!もう二度といじめな
いから助けてくれよ。 お願いだ~。

則之:
ダメだ絶対許さない。罰を受けるんだ。

その時木の陰から誰かが飛び出してきて、持っていた
棒で則之のかぶっていたお面をはじき落した。 
お面をはじき落したのは屋台の店主だった。

店主:
すまないぼうや、
どうやらこの鬼の面は妖怪「面霊気」になってしまっ
ていたらしい。
このお祭り会場のいろんな人達の負の感情が呪いとな
ってこのお面が吸収し呪いの面「面霊気」になってし
まったようだ。 
本当にすまないことをした。
このお面はおじさんが引き取るから。
みんなが大けがする前にまにあって良かった。

悪ガキ3人組はあわてて逃げて行った。

則之は店主にお礼を言った後、少し酔っぱらった父親
を迎えにゆき、一緒に母と妹のお土産を買って帰って
いった。

店主:
ふふふ、あぶないところだった。
相手に大けがでもさせたりしたらオレの正体を警察に
調べられちまうからな。

それにしても弱い奴がオレが作った面をかぶると豹変
するのは面白い2000年やっててもほんと飽きないわ。

さて今度はどんなお面を創ろうかね~。

屋台の明かりがお面屋のニヒルな笑い顔を照らしてい
た、地面に照らしだされたお面屋の影には腕が
6本生えていた。

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