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エピソード50 おとろし

50 おとろし

おとろしは佐脇嵩之(さわきすうし)の「百怪図巻」
などの妖怪絵巻や、
鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にある妖怪。

江戸時代の「百怪図巻」「画図百鬼夜行」では長い髪
におおわれ、顔に前髪をたらした姿で描かれている。

昭和・平成以降の妖怪関連の文献や児童向けの妖怪図
鑑でおとろしは、神社で不心得者や悪戯をする者を見
つけると突然上から落ちてくると解説されている。
また、作家・山田野理夫は「東北怪談の旅」に
「オトロシ」と題し、福島県で一度も寺の参拝などを
したことのない不信心な者が、母の葬式に寺の門をく
ぐろうとしたところ、突然太い腕に捕まえられて吊し
上げられたという話を収録している。


50 おとろし オリジナルストーリー

ここはとある神社の境内、何やら今日はいろいろな事
が起こるような気配がしていた。

おや、前からすねこすりがこちらにやって来るどうし
たのでしょう?

おやおや後ろから輪入道が追いかけて来ます!
すねこすりは神社の賽銭箱の前まで来てしまいました
逃げ場が無いどうするすねこすり?

お!空から何かがやって来ました。一反木綿です。

一反木綿:
おい、お前ワシの背中に乗りんしゃい。

すねこすりは夢中で一反木綿に飛び乗りました。
輪入道はさすがに空は飛べませんすごすごもと来た道
を帰って行きました。

よかったよかった。

おや、また前から誰かが走ってきます誰でしょう? 
あ、河童です。
河童がどうやら泥田坊から逃げているようです。

河童:
ごめんよ泥田坊さんついつい美味しそうなキュウリが
生っていたんでちょっとだけいただいちゃったんだ
よ~。許しておくれよ~。

泥田坊:
キュウリを返せ~
オレが丹精込めた家庭菜園から勝手にキュウリ盗みお
って、許さんぞ~  

とはいっても河童の方がすばしっこい、河童が逃げ切
ってしまうかと思ったところに、

ぬりかべ:
ぬりかべ~!  

おっと河童がぬりかべに激突し気を失った~!
相撲が得意な河童でも不意を突かれた大きな壁に倒さ
れました~。
お、そして泥田坊に足を引きずられ退場していきまし
た。

ん、今度はこの神社の境内に誰かが話をしながらやっ
て来ましたよ。 いったい誰でしょう。

化け草履:
提灯お化けさんお久しぶりですね~。
もう100年ぶりくらいかしら?

提灯お化け:
そうだね~今年は2000年だから明治の中頃に会っ
て以来だからそんなもんかね~。

化け草履:
それにしても私たちの仲間、付喪神も減ってきちゃっ
たわよね~。私の仲間の草履たちも晴れの日ぐらいに
しか見なくなっちゃったしね~。

提灯お化け:
お前さんたちはまだいい、オレの仲間なんかお祭りで
もなきゃ外にも出してもらえないしな。

化け草履:
もう2000年だって時が経つのは早いわね~。
そういえばノストラダムスの大予言ってのも外れたら
しいわね。      やれやれだわ。

提灯お化け:
ああ、世間を騒がしていたが恐怖の大王なんて降って
こなかったな。
それにしてもワシの燃料の油が欲しいな~。
ど~れ、ここの賽銭箱から少し借りるとするか。

化け草履:
やめなさいよ、バチが当たるわよ。

そういっていると何かが神社の屋根の上から落ちてき
た!
長い髪をたらして赤鬼のような大きな顔だけの
「おとろし」である。

化け草履:
あぁ~あ、つぶれちゃった。よせばいいのにね~。
私は帰りましょ。

つぶれてただの壊れた提灯にもどった提灯お化けを残
して化け草履は帰って行った。

ん?おやおやまた誰か来ましたよ。

子泣き爺:
心を入れ替えて赤ん坊のふりをして人間を驚かすのを
辞めたわ良いが、なかなかいい相棒がみつからないな
美人の妖怪なんてぜいたく言わないから、ババアでい
いから現れてくれないかな~。

ところで妖怪古伝を聞いてくれてありがとうよ、
やっと半分の50話だ、どうかこれからもこの馬鹿話
につきあってくんね~な。

じゃあな。

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