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エピソード42 百々爺

42 百々爺

百々爺(ももんじい)は、鳥山石燕による江戸時代の
妖怪画集『今昔画図続百鬼』にある妖怪。

石燕は百々爺のことを「未詳」としながらも、原野に
出没する老人の妖怪としており、通行人がこれに出遭
うと病気を患うものとしている。
また、文中にある「もゝんぐは(モモンガ)」は実在
の動物の名前であると同時に、関東地方で化け物を意
味する幼児語であり)、顔つきや体で怪物のような仕
草をして子供を脅かす遊びをも意味しており、「がご
し(ガゴジ)」も同様に徳島県などで妖怪の意味で用
いられる児童語である。

石燕は百々爺のことを、これら「モモンガ」と
「ガゴジ」の合成語と述べている。
本来「モモンジイ」とは「モモンガ」や「野衾」の異
称であるとともに、前述の「モモンガ」「ガゴジ」と
同様、東京都、神奈川県、静岡県、山梨県東部で妖怪
を意味する児童語でもあり、聞き分けのない子供に対
して「モモンジイに食わせるぞ」などと言ってしつけ
る地方もある。

他人を罵倒したり、自分自身を卑下したりする意味で
「モモンジイ」と呼ぶこともある。
また、江戸時代には毛深い獣や尾のある獣が嫌われ、
そうした獣や鹿肉・猪肉のこともモモンジイと呼ばれ
た。
この「モモンジイ」がこのような妖怪として描かれて
いるのは、鹿肉や猪肉をキーワードとした何らかの絵
遊びで描かれたものと見られている。
日本で獣肉を食べることが禁止されていた時代には、
薬食いと称して獣肉の食事を提供する店が「ももんじ
屋」と呼ばれていたが、百々爺に行きあうと病気にな
るとされているのは、この薬食いに対する皮肉との見
方もある。


42 百々爺 オリジナルストーリー

ここは昭和の片田舎の小さな町の夕暮れの街角。
一郎は家路を急いでいた。

一郎:
コージ君ちでファミコンしててすっかり遅くなっちゃ
ったな~。
母ちゃんにまた怒られちゃうよ~。それにばあちゃん
が言ってたな...。

祖母:
いいかい一郎、あの山の中には百々爺という化け物が
おってな。悪い子や親の言うことをきかない子を山か
ら降りてきて食っちまうんだ。  わかったかい。

一郎:
オイラもうそんな小さい子じゃないからそんな話信じ
ないけど、さすがにこんなに暗くなるとちょっと怖い
な~ 急いで帰ろう。

一郎がひとっこ一人いない街角にさしかかると街灯の
下にボロボロ服を着た老人のような者が立っていた。

一郎は怖くなり引き返し違う道を通って帰ろうとする
と、また街角の下にさっきの老人が立っていた。

一郎:
どういうことだ? なんでオイラより先にこの道に来
ることができるんだ? どっちにしても気味が悪い、
別の道をで帰ろう。

しかし一郎が何度も何度も 違う道を通ろうとしても
街角にはさっきの老人が待ち構えていた。

一郎:
もうダメだ駆け足で走り抜けよう!ばあちゃんが言っ
てたのはウソに決まってるんだから。

一郎が老人の横を駆け抜けようとすると、老人は大き
な両手を広げ一郎を止めてこう言った。

百々爺:
まて小僧。そんなにあわてなくていいだろう、ワシと
少し遊ぼうじゃないか。
いいだろう。

一郎:
わぁ~、わかったからオイラを食べないでください。
オイラは美味しくないよ。

百々爺:
まてまて、人間達からワシはそんな風に言れているの
は知っているが、ワシはけっして人を食ったりしない
ぞ。

ワシはは山の中でずっと一人で暮らしていた、その頃
は野衾というムササビのような妖怪で山の中を飛び回
っていた。ワシのことを人はもちろん動物たちも怖が
って一緒にいてくれなかった、ずっと一人じゃったそ
して100年が過ぎワシはは人間に化けることを覚え
たのだが、でも人もワシの相手をしてくれんのじゃ。

一郎は話を聞いているうちに百々爺がかわいそうにな
ってきた。

一郎:
わかったよ百々爺。あなたは悪い妖怪じゃないようだ
でも今日はもう遅いから母ちゃんに怒られちまう。
じゃあ来週の土曜日..って言ってもわからないか、
次の満月の次の日の昼まオイラが山に遊びに行くよ、
約束だ。
そうだ約束のしるしにばあちゃんにもらったお守りの
鈴をあげるよ、大事にしてくれよ。

二人はそう約束をして別れた。
振り返った百々爺はうれしそうな顔をしていた。

数日後、5歳の女の子が山の中で親とはぐれ迷子なっ
た。
夕方になっても見つからないため警察、消防団、猟友
会の捜索隊が出た。
なぜか一郎は胸騒ぎがして山に向かう。

山のふもとで銃声が聞こえた、一郎がその場所に駆け
付けると猟師が女の子を連れていた化け物を撃った音
だったことが分かった。
猟師は迷子の女の子を抱きかかえ、何故か撃たれた生
き物がムササビのようになって倒れているのを確認し
て街に降りていた。

一郎はその倒れている生き物に駆け寄り抱き起した。
生き物の腕には鈴がついていた。

一郎:
百々爺はオイラが来るのを待ちきれずずっと山の入り
口でオイラを待っていたんだ。
そしてたまたま迷子の女の子を見つけ街に届けようと
したんだ! 

ごめん百々爺もっと早くオイラが駆けつけていればこ
んなことには、...ごめん、ごめん。   

百々爺の腕の鈴が悲しそうに鳴っていた。  

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