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エピソード60 木の子

60 木の子

木の子(きのこ)は、近畿地方に伝わる妖怪。
奈良県の吉野地方や兵庫県の山間部や森の中にいると
される妖怪で、同じく山にいる妖怪である山童
(やまわろ)の一種。

外観は2,3歳から3,4歳ほどの子供のような姿で、木の
葉で作った衣服、または青い色の衣服を着ている。
人間がその姿を見るとまるで影のようで、いるかいな
いかはっきりしないという。
普段は群をなして遊んでいる。
きこりや山で仕事をしている人々にはその姿をたびた
び見かけられており、彼らにとってはそれほど珍しく
ない存在という。
しかし油断をしていると、弁当を盗まれるなどの悪戯
をされてしまい、そんなときには棒を持って追い払う
という。


60木の子 オリジナルストーリー

大和国の山の中、木こりが息子と森の中で木を切って
いた。

父:
おい、松太郎元気なのはいいがあまり遠くに行くなよ
迷子になるからな。

松太郎:
大丈夫だよ父ちゃん、この山はいつも来ているんだか
らオラの庭みたいなものさ。迷子なんてならないよ。

松太郎はどんどん森の奥に入っていった、するといつ
もと違う場所に出たここは今まで来たことのない場所
だ、さらに行けば行くほど分からなくなる。

いよいよ迷子になった。松太郎は父を呼ぼうと木に上
り、ありったけの声で叫んだ!

松太郎:
父ちゃん、父ちゃん、ごめんオラ迷子になっちまった
助けておくれよ~!

松太郎の声を聞いて父は急いで声のする方に走って行
った。やっと松太郎を見つけた時、松太郎は松の木の
てっぺんの方まで上っていて降りられなくなっていた

木登り名人の父はあっという間に松の木を上り松太郎
を捕まえた。 

父:
もう大丈夫だ。じっとしてろすぐに下に降ろしてやる
からな。

父が松太郎を抱え松の木を半分まで降りてきた時、
つかんでいた枝が折れて地面に落ちてしまった。

松太郎:
父ちゃん、大丈夫か? え、父ちゃんの足変なかたち
に曲がってる!ど、どうしよう。

父:
松太郎、父ちゃんは大丈夫だ、ただ歩けない。...
松太郎、里まで下りて誰か呼んできてくれ、頑張れお
前なら出来る。  頼んだぞ。

こうして松太郎は一人で山を下りようと歩いて行った
しかしいつもの見知った道が出てこない、またもや森
で迷ってしまった。

松太郎は泣きべそをかいて歩いていくと、木の陰から
松太郎より小さい子供が出てきた、でも少しおかしこ
の子供全身木の葉の服を着て心なしか顔も茶色い。

木の子:
お前どうした?道に迷ったのか?
だったらこっちにおいで。  

子供は松太郎の手を引き森の奥に引き込んだ。
するとそこには同じような子供たちが30人以上いて
松太郎の身体をペチペチ叩いて歓迎してくれた。

木の子:
あんちゃん一人なの?
だったらオイラ達と遊んでおくれよ! 
なにする、なにする。じゃじゃじゃ、どんぐりコマし
ようよ!

子供はどんぐりでできたコマを持ってきた。
松太郎にコマを渡すとその子供は大きな切り株にどん
ぐりコマを回し投げてきた、条件反射的に松太郎もコ
マを回して投げた。

あっという間に松太郎のコマが相手のコマを弾き飛ば
した。
実は松太郎は里でコマ回しをしたら誰にも負けない強
さだった!

木の子:
あんちゃん強いな~よしオイラ達の強い5人に勝った
ら何でもあんちゃんの言うこと聞いてあげるよ。

こうして松太郎と木の葉の子供たち5人とのコマ回し
対決が始まった! 
しかし、あっという間に松太郎は5人を倒してしまっ
た。

木の子:
あんちゃんほんと強いな~!
じゃあ約束通りあんちゃんの言うこと聞いてあげるよ
何だい?

松太郎:
実はオラの父ちゃん木から落ちて足を怪我しちゃった
んだ。それで里に下りて誰か助けを呼んできたいんだ
けど、道に迷っちゃったんだよ。助けてくれよ。

木の子:
そんなことかい、わかったじゃじゃじゃみんなで父ち
ゃんを助けに行こう!いいかいみんな! おう!!

木の葉の子達は松太郎に案内されもしないのに松太郎
の父が倒れている場所に来て、大きな松太郎の父を
20人くらいで持ち上げおみこしの様にかついで山を
下り始めた。

松太郎も父もあっっけにとられ声も出ないまま、あっ
という間に里の近くまで下りてきていた。

木の子:
よし、ここまでくればあとは里の仲間でなんとかなる
だろう。よしオイラたちに勝った記念に大切なうんま
い団子をやろう、松太郎、次はコマの勝負負けないぞ

木の葉の子達は二人に団子を渡すとお礼も聞かずに
ガヤガヤガヤガヤ山に帰って行った。
お腹がすいていた二人は早速もらったちょっと変わっ
た味の団子を食べた。

するとさっきまでの記憶はなくなっており、松太郎の
父の足も元通りになっていた。   

松太郎:
あれ~オラたちなんでここにいるんだろう?

ぼーっと立っている松太郎の手にはどんぐりのコマが
握られていた。

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