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【活動紹介】「過疎地域の子どもたちにも自由に野球を楽しんでもらう場を作りたい」~特定非営利活動法人ノースオカヤマベースボールコミュニケーション~

 様々な社会のニーズ・課題に取り組むNPO法人や、コミュニティ活動に積極的に関わっている団体の活動をご紹介します。今回は、岡山県北部を中心とした子どもたちを対象に、安全に楽しく野球ができる場を提供するなど様々な活動を行っている「特定非営利活動法人ノースオカヤマベースボールコミュニケーション」さんについてお届けします。お話は副理事長の田村さんにお聴きしました。

「どのような団体ですか?」
 私たち「ノースオカヤマベースボールコミュニケーション」は、岡山県北部を中心とした未就学児や小中学生を対象に、野球ができる場を作ることと、もっと技術力を向上させるための練習がしたい!と思っている子どもたちにケガのないよう指導していくことを目的に活動している団体です。

「法人を立ち上げようと思ったきっかけは何ですか?」
 転機は、私自身が小学生の時に加入し、また私の子どもたちも入っていた地元のスポーツ少年団が消滅し、地元の中学校野球部も部員数減で廃部が決定的になったことです。過疎地域では野球という文化がなくなってしまうのではないかという危機感が生まれ、何かしなければと考えました。また、国が休日の部活動の指導について、教員から地域のスポーツクラブなどに移行する方針を示したこともきっかけの一つです。
 そして、過疎地域では、スポーツをしたい!と思ってもする場所がない・・・専門的な指導を受けることができない・・・といった悩みを持つ子どもたち、保護者が今後ますます増えていくのではと考え、スポーツを楽しむための根本となる指導や場を提供したいと思いました。また、正しい知識がなく経験だけの指導が行われ、その結果ケガをして野球ができなくなった子どもたちを見て、誰もがケガなく楽しく上手にプレーできるように指導したいと思っていました。

~中学1年生対象「基礎練習会」での守備練習~

「現在、どのような活動をしていますか?」
 主に、①野球遊び教室、②野球塾、③正規の部活動の指導アシスタント、④正規の部活動とは別の基礎練習会、⑤部活動を引退した中学3年生が対象の練習会、⑥女子部員を対象とした女子練習会、⑦中学校の生徒・先生方対象のトレーニング講習会の開催等を行っています。
 ①野球遊び教室は、未就学児や野球チームに所属していない子どもたちに安全に野球を楽しんでもらえるよう、柔らかいボールや大きいボールとプラスチックのバットを使っています。ボールを投げたり捕ったりに慣れてもらうことを大切にしており、子どもたちの集中力を考えて1時間程度で行っています。
 ②野球塾は、もっと上手くなりたい!と考えている小中学生を対象に野球技術向上のため、平日夜に週1~2回、室内で2時間行っています。スペースに限りがあるので6人までの少人数で行い、正しい身体の使い方、ボールの投げ方、捕り方、バットの振り方を丁寧に教えています。

~「野球遊び教室」でのボール投げ~

 ③正規の部活動の指導アシスタントと④正規の部活動とは別の基礎練習会は、中学校の先生方と協力しながら行っています。学校の部活では顧問の先生が1人で指導されている学校が多く、選手の技能の差も大きいので、1人1人に合わせた練習が難しいという課題があります。そこで、我々が先生方のお手伝いをさせていただくことで、部活動で野球をしている中学生たちの技術力向上の一助を担っています。
 ⑤部活動を引退した中学3年生が対象の練習会は、引退すると野球をする機会を失ってしまう中学3年生に野球をする機会を設けるために行っています。中学校の部活は軟式野球ですが、高校はほとんどが硬式野球です。高校でも野球を続けてもらうためにも重要な場であると考えています。
 ⑥女子部員を対象とした女子練習会は、女子野球部がなく、いつもは男子に混じって野球をしている女子中学生たちのために行っています。野球は男子だけのスポーツではなく、女子も野球ができる環境を整備したいと考えて行っています。
 ⑦中学校の生徒・先生方対象のトレーニング講習会は、子どもたちがケガをせず、存分に野球を楽しむためには、身体についての正しい知識が必要です。そのために我々のネットワークを使ってトレーニングなどの専門家に来てもらい講習会を開催しています。

~中学3年生対象「硬式野球に慣れる会」での打撃練習~

「苦労や発見などはありますか?」
 我々は自前のグラウンドを持っていませんので、会場(場所)の確保には大変苦労しています。また、広範囲から子どもたちが集まってきますから、どうしても保護者の方に送迎をしてもらう必要があります。会場の使用料等費用もかかります。また、コロナ禍では、市町村を越えての集まり(練習会)や学校訪問に制限がかかることがあります。
 それでも「野球がやりたい」「もっと上手になりたい」と思う子どもたちが大勢いることを励みに、工夫しながら活動しています。

「今後の抱負はなんですか?」
 まだ具体的な計画はできていませんが、休日を利用して行っている野球遊び教室をより多くの場所で開催していきます。保育園や小学校を実際に訪問し、まだ野球をしたことがない子どもたちに、まずはボール遊びから一緒にできる場をもっと作りたいと思っています。
 次に、活動エリアもより広くしたいと考えています。地元に野球チームがない、中学校に野球部がない地域で、練習会を開催し、住んでいる場所を理由にスポーツすることを諦めてしまう子どもたちを減らしていきたいです。
 また、中学校の部活動が地域移行されますが、その動き次第でチームの結成も検討していきます。(今のところはチームとしての活動ではなく、誰もが自由に参加できる練習会を継続して行っていく方向です。)
 加えて、女子野球の普及にもより力を入れていきたいです。みなさんご存じでしょうか。国体種目で「女子」のカテゴリーがないのは野球と相撲だけです。女の子が普通に野球をやり、大人になっても野球ができ、自分の子どもとお母さんが家の前でキャッチボールをして遊んでいる風景があちこちで見られるように(昔、お父さんと子どもがキャッチボールを普通にしていた頃のように・・・)、女の子にも野球ができる場を提供していきたいです。

~女子中学生対象「女子野球練習会」でのトレーニング講座~

「自由にアピールをどうぞ!」
 中学校の部活動がなくなってしまうと、野球をするには休日に保護者が送迎をしてお金を払い、保護者が何らかの役割を担うクラブチームが増えることでしょう。そうなると、私が住んでいる公共交通機関もほぼないような過疎地域の子どもたち、保護者に経済的・時間的な余裕がない子どもたちは野球(スポーツ全般)をやりたくてもできなくなってしまいます。子どもたちや保護者の負担が少なく、それでいて正しい指導を行い、野球が上手になる喜びや楽しさを知ってもらえるような活動をしていこうと思っています。野球文化を継続していくための一つのピースに私たちの活動がなれたら幸いです。
 スタッフは全員無給のボランティアです。何の見返りもありませんが、私たちと一緒に活動してくださる方、トレーニングなど技術指導以外の分野で協力してくださる方、賛助会員として財政協力をしてくださる方をお待ちしています。

特定非営利活動法人ノースオカヤマベースボールコミュニケーション
〒707-0124 岡山県美作市大町1895番地
電話:090-9067-9175(田村携帯)
メール:hi24ri11ma14ko24yo2@gmail.com


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