うちの先生は天然!!
チャイムが鳴った。始業を知らせる音。
高校卒業まであと一ヶ月。あと何回この音色を聞けるのだろうと速水孝太郎はぼんやりと思う。机に頬杖をつきながら、窓の外に想いを馳せながら。
一限目は国語の授業、のはずだった。国語の教員は、速水たちの担任である櫻井だ。しかし、授業の時間から五分ほどが経っているがとうの櫻井は現れる気配はない。
「なあ、櫻井先生遅くない……?」
「もしかして、体調悪いとか……? 今日やすみだったっけ?」
担任の来ない教室はざわざわと憶測が飛び交い始める。あくまで憶