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構造的課題

 目標を設定して、そこにたどり着く最短経路を描き、着実にこなしていく。それがプロジェクト「管理」の世界観である。

 そういうのは、まったくどうでもいい与太話なのだと、つくづく思うようになった。

 本当は、紆余曲折にこそ、価値が宿るのである。あっちこっちに迷走しているように見えても、その一歩一歩は、間違いなく前進であり、最短経路よりも長く歩いた分、獲得できる価値は増している。

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 最短経路を歩きたい人たちは、効率を求めているわりに、その結果、大いなる非効率に陥りがちである。
 たとえば、そうした方々の特徴として、若い人に日程調整を丸投げしたりするが、ああしたことも、ハッキリ言って愚の骨頂である。己の手間を惜しんで、最も大切な意図や狙いについての情報を欠損させ、余計な手戻りを増やしている。
 己が責任を負わなくてもいいために「やった方がいい仕事」という名の「やらなくてもいい仕事」を増やしたり、とか、かたやでアジャイルを求めながら翌日には真逆のことを口走ったり、内弁慶を炸裂させて部下をただただ混乱させたり、もう、邪魔になるようなことしか、していない。
 それなりの地位に上り詰めたという自負心が、かえって自分自身を、スポイルしてしまっている。

 考える順番が、致命的に違ってしまっている。公の価値から考えず、私的なコストやリスクから出発しているのだ。そのせいで、歯車が噛み合わず、ときに空回り、ときに逆回転すら起こしてしまう。
 これは個人個人の資質や努力にのみ還元すれば良い話ではなく、社会構造から考えなければならない問題である。

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