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レディースアイテムに込められた想いと8cmの苦悩

1月某日、社内向けに22SS(2022年春夏)レディースの商品説明会が実施されました。

そこで紹介されていたフレッシャーズ向けブラウスへのこだわりが大変興味深く、気になったので大先輩にお時間を作っていただきインタビューをしてみました。

みなさんはご入学・ご入社の際、どのようなお召し物で参加されましたか?スーツにベーシックなブラウスでしょうか。それともフリルのある華やかなものでしょうか。ファーストスーツを洋服の青山で購入経験のあるお客様も多いのではないでしょうか。

もしかしたらそのアイテム……今回ご紹介する方が携わったものかもしれません。

今回は洋服の青山で10年レディースアイテムのバイイングをしているスタッフと、2021年4月から着任した新人バイヤーのお話です。

手に渡ってもドキドキワクワクしてもらえる商品でありたい

バイヤー(白﨑・田中)

レディス事業部 マネジャー 白﨑夢子(左)
2008年入社。THE SUIT COMPANYで販売職を経験。その後、東日本エリアの教育マネジャーとして活動し、2021年4月よりレディス事業部へ異動。

レディス事業部 グループ長 田中美穂(右)
2008年入社。洋服の青山で販売職を経験後、2012年広島県本社商品部へ異動。担当していたレディースアイテム拡大ともに、2015年東京オフィスへ異動。2021年4月より新設されたレディス事業部へ異動。レディースアイテム全般のフォロー・企画を担当。

-田中さんが入社した当初は、今のように豊富にレディースアイテムがそろっていなかったと伺いました。

田中:私が入社した当初は今と比べるとレディースアイテムは少なく、就活用のスーツがメインでした。商品部着任当時は少人数で企画・バイイングを担当。販売員としての知識はあるものの、バイイングは未経験。0から勉強の日々でした。まだまだヒヨコでしたね。後に女性の社会進出と共にビジネスキャリア向けのアイテムが求められるようになり、そのタイミングでオフィスも広島から東京へ移動。徐々にアイテムを拡大し現在の展開となりました。当時はスーツやブラウス、カットソー、洋品と全般を担当していましたが、現在はメンバーに任せフォローに回っています。

-2021年4月にレディス事業部が新設されました。お二人の意気込みや、仕事に対する想いを教えてください。

白﨑さん

白﨑:私は商品に携わって1年弱……。まだまだ語れることは少ないです。ただ、自分も販売をしていたので、お客様の手に渡るストーリーはしっかり考えたいなと思います。手に渡ってからもずっとドキドキワクワクしてもらえるような商品であったらとても嬉しいですね。何か煌びやかなものというよりは、ベーシックなものや冠婚葬祭であっても長く愛してもらえて、レディースチームのコンセプトである「すべての女性の人生に『服』で安心を与える」ものを作っていきたいです。

田中:白﨑さんの言う通りだと思いますね。私は自分が作った商品を全部自分の子どもだと思っています。企画から携わっている分、愛着めちゃくちゃ湧くんです。産んだ子たちがお客様の手に渡った時に喜んでいただけると良いなと思います。
あとは……私達も該当するかもしれないけど、お客様は購入した際に「思ったのと違うな」「買ってみたけれど上手く着こなせない」と感じてもわざわざその店舗にお伝えすることってないと思うんですよね。お客様の声を私たちは直接拾えない。知らない内に2回目、それ以降通っていただけなくなってしまうこともある。正直そのように思っていただきたくないんです。「やっぱり青山さんだね」「このスーツすごいな」「着やすいな」「洗濯しても型崩れしない」などなんでもいいのですが、買って良かったと思っていただけること、ファンになっていただける愛されアイテムを産んでいきたいです。

苦悩の半年間と8cm

-ここからは、こちらの新作ブラウスについて教えてください。

ボウタイシャツとラッフルフリルシャツ
2WAYボウタイシャツ(ホワイト/ピンク/サックス) ¥4,290(税込)
2WAYラッフルフリルシャツ(ホワイト/ピンク) ¥4,290(税込)

白﨑:今回のブラウスは、企画を立案してから完成まで約半年間。他のブラウスと比べると2~2.5倍の期間を費やしました。サンプルが出来上がっては実際にトルソーに着せて実証し、ああでもないこうでもないと悩みながら今の形になりました。すべての商品に言えることですが、これで決めていいのか毎回不安になります。非常に勇気が必要な決断が多いです。

-実際どのようなことが課題でしたか?

白﨑:ボウタイシャツは定番の人気商品でしたが、改良検討が必要なアイテムでした。市場調査や定期的に行われる現場のレディス担当を交えた会議、店舗へのヒアリング、本部宛のメッセージにひとつずつ目を通し、調査結果を振返ってみると華奢見えすること、華やかさがポイントでした。
何をどうしたら華奢見えするのか?ラインを崩さすきれいに見せるには一体どうしたら良いのか?全体を細くするのか?カーブ部分を細くするのか?リボンの羽部分に合わせて、全体を細くするのか?短くするのか?と悩みながら、0.5cmずつ細さや長さを変えたボウタイのサンプルを20本以上用意していただき、1本ずつトルソーに巻き付け、どのように結ぶのが一番美しく見えるのか実証。一番きれい見えるのがリボンの輪になる部分が片方8cm。たれた部分を内巻きにすることでした。

田中:ボウタイがオフィスに届いた時、その量に驚いたよね。(笑)

2WAYボウタイブラウス実証の様子
リボンの輪になる部分をやや細く変更し、結びやすいように改良。リボンの輪になる部分が片方8cm~10cmになる長さを意識していただくとバランスがとりやすいです。

白﨑:ラッフルフリルについては全体のボリュームをどのようにしたら抑えられるのか、かなり考えましたよね。

田中:フリルの長さは前作と比べボタン間隔1つ分短くし、ジャケットを着用した際でもすっきりとしたシルエットになるようにしました。フリル部分を開いてあげることでより煌びやかな印象になります。襟の形は開いても閉じてもきちんと見えるように角度と大きさを細かく調整し、襟のポイント部分を全てトルソーに着せて実証しました。
今回の新作ブラウスのこだわりは社内の教育ツールやSNSで情報発信をするので、気になるお客様はぜひスタッフに聞いてみるか、SNSの情報をチェックしてほしいです。

2WAYラッフルフリルシャツの比較
新作では取り外しできるフリル部分を、ジャケット着用した際でもスッキリとしたシルエットになるようにボタン間隔1つ分短く改良しました。旧作と比べやや濃いピンクにしています。

白﨑:そして素材も毎年メーカーさんよりご提案いただいたものを基に、常に新素材とトレンドと掛け合わせています。

-すこしずつアップデートされているんですね……!

白﨑:そうなんです。実は毎年変わっているんです!ブラウスの色は前作のものと比べやや濃いはっきりしたピンクに。その色に合うようにラメボタンも変更しました。色が異なるものや、ラメ配分が異なるもの、ボタンの上半分はラメで下半分は無地のものだったり、上下の装飾が異ったものなど10個程サンプルを作ってもらい選びました。「ボタンってこんなに種類あるんだ」って思いましたよ。
ボウタイシャツには爽やかなサックスも追加しました。もちろん定番のホワイトも用意していますよ。

ラメボタン
キラリと光るラメボタンが可愛らしさを演出します。晴れの日におすすめです。

ひとりひとりのストーリーがお客様に伝わる

-最後のお二人の夢や、目標を教えてください。

白﨑:私はもっともっと青山の良さを広めていきたいですね。同じ青山商事という会社に勤めていましたが、勤めていた業態が異なっていたこともあり知らないことが多くありました。n♡lineのスマートブースト(※1)を知った時は感動しました。「こんな画期的な商品があるの!?」ってビックリしましたね。作った人に会わせて欲しいなって。(笑)
商品企画に携わってキャリアの浅い私がブラウス1枚でこんなに話すことがあるということは、1着1着にものすごいストーリーが込められているはずなんですよ。まずはそこを知り、そこから見つけられる・見えるものがあるのかなと思っています。

スマートブースト
※1 スマートブースト
パンツウエスト部分にゴムを入れることでウエストの窮屈感を緩和し、タイトフィットながら程よい動きやすさを与える機能。
田中さん

田中:すごい……!嬉しい言葉ですね。現在、私を含め限られた人数でレディースアイテムのバイイングを行っています。そのメンバーの経歴は様々で、半年の方から20年以上の方も……。そのメンバーひとりひとりにストーリーがあって、こだわりを持って楽しく、ワクワクしながら仕事をして欲しいです。もちろん楽しいだけでは務まらないのですが、バイヤーたちがイキイキと楽しく仕事ができれば、その商品がキラキラしていきますから。そのメンバーたちの想いはお客様にも伝わると思います。バイヤーたちが産んだ子どもたち(アイテム)をバイヤー同士で「かっこいいね」「かわいいね」と言い合えるチームのもとでやっていきたいと立場的にもずっと想いながらやっています。
商品の展望としては、もちろんレディースの売上を上げることを使命にしています。今、世の中には高品質で素晴らしい素材や最先端技術使用した機能がたくさんあり、私たちは多くの選択の中から「お客様が求めているものとは何か?」を常に探しています。バイヤーが良いと思う素材と機能を詰め込むと、どうしてもバイヤーよがりの商品で押し付けになってしまいます。決してそうであってはいけない。私たちはお客様が何を欲しがっているのか、当社には何が足りないのか、見えないニーズを見極めつつバイイングし、常にアンテナ持ちながら、最終的にレディスの売上に繋げていきたいです。

最後に……

今回はレディースアイテムを企画するベテランバイヤーと新人バイヤーの2人にお話しを伺ってきました。
終始楽しそうに話す2人に強いチーム愛を感じました。

今回のインタビュー中、田中さんは手元に用意した【シャツノート】を振り返りながら楽しそうにお話しをしてくださいました。
そこには打ち合わせの記録だけでなく、アイデアがたくさん。
「メンバーにはパソコンをノート代わりにしている方もいるんだけど、浮かんだアイデアをすぐメモしたいからアナログなんだよね」と。

シャツ以外のアイテムにもそれぞれノートを作成し、打ち合わせをしているそうです。

思い入れのブラウスを持ったオフショット

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