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2021年7月に摂取したおもしろのまとめ

先月こんなnoteを書いたんですが、

7月もまだまだたくさんおもしろ摂取したなーという充実感があったので、またやりたいと思います。

今回も映画やらマンガやら雑多にいきます。

ゴジラvsコング

本国からかなり遅れての公開でしたね。

モンスターバースは「髑髏島の巨神」の日本版ポスターのあまりの良さ(「総天然色」っぷりが素晴らしい)にひかれて見に行ったのが最初に見たで、その後配信でさかのぼってギャレゴジを見たり、KOMを映画館で見てぶっ飛んでその日のうちに2回見たりとかなり楽しんでいるシリーズです。

特に前作KOMがいろんな意味でぶっちぎった超娯楽作品だったので否応なしに今作の期待値も挙がっており、今年の1月にこの予告が公開された時は「うおおお!それが見たかったんだよ!」と盛り上がったものです。

巨大怪獣の殴り合い最高。

はてさて実際に見てどうだったかというと、これでもかとばかりに怪獣たちは暴れまわり、前作KOMも顔負けの狂った画面がひたすらに繰り出され、ゴジラもコングも互いの格を下げることなくしっかりと雌雄を決するバキバキの怪獣バトル映画でキャッキャしながら楽しみました。

カメラはグイングイン動き回るし、コングの戦略的な戦い方に対してとにかくパワーとフィジカルでゴリ押し(ゴリラじゃない方なのに)するゴジラという徹底されたバトル展開そのもののおもしろさだけでも白飯がすすむんですが、それ以上に「いやそうはならんやろ」な絵面がバカスカ繰り出されて「???」となっているうちにどんどん話が展開していくので、もうそれが気持ちいい。

あえて言うならばもうちょっとそこは丁寧にやるべきじゃない?さすがにシナリオが荒すぎないか?というかぶっちゃけマディソンちゃんとか芹沢息子はもうちょっとキャラポテンシャルを発揮できたのでは??みたいに思うところがあったのは事実なんですが、それを上回る映像のプラスがバカでかかったので総合的には満足でした。

ブラック・ウィドウ

ナターシャ、MCUの中でもかなり好きなキャラなんですよね。超人・伝説・超科学まみれのアベンジャーズの中で活躍する生身で強い普通の人間大好き。同じ理由でクリントも大好き。

MCU、実は映画館で一つも見たことがなくて、昨年たまたま1か月無職の期間があったので、そこでアイアンマンからファーフロムホームまで23作一気見して、もちろん超楽しんだんですけどそれ以上にうわー映画館で見たかったーってなってたんですよね。特にエンドゲーム。

そんなわけで「ブラック・ウィドウ」は初めてMCUを映画館で見られるぞ!っていうワクワクと共に公開を待っていたんですが、見事に1年以上待ち続ける羽目になりました。もう映画館で何度予告編を見たことか。

で、いざ見てみての感想ですが、もうマジでうっすい感想になっちゃいますけど「いやーMCUを見たなー」っていう嬉しさというか、久々に来たお気に入りの定食屋のメニューをしっかり堪能できた、みたいな確かな満足感がありました。

ナターシャのアクションのカッコよさは主人公として君臨した今作において存分に発揮されてて大満足。ラストバトルのパラシュートのシーケンスはウヒャーそんなのありかよ?!って叫びそうになりました。

っていうか本筋に絡む部分の感想書こうとすると何を書こうにもネタバレになっちゃいますねこれ!なにしろ今までぼんやりとしか過去設定が明かされていなかったブラック・ウィドウのオリジンの話なので。

核心をよけつつそれっぽくまとめると、ナターシャにとっての「家族」の話というかなりウェットなテーマを、しっとりしすぎず、それでいて決してドライではない、とてもいい塩梅でパッケージしてくれた良作だったと思います。

そんでやっぱMCUはエンドクレジット後のワクワク感がたまらんなというのも久々に体験できてよかった。あれがあってこそよな。

そういえばディズニー+でやってるドラマシリーズを未見なんですが、本来の公開順で見る準備が整ったともいえるので、いい加減見始めようと思います。月も変わったしな!

100日間生きたワニ

こちらもまたちょっと違った意味でいろいろあった映画ですが、実際見てみたら素直にいいじゃん……ってなりました。

「きくちゆうきマンガの映像化!」っていうテンションで行くと正直期待していたものになるかは微妙だと思うんですが、純粋に一本の映画としての満足度はかなり高かったなと。

今回の映画はかなり大胆に原作をカットし、ワニが死んだその後をオリジナル要素としてつぎ足すというアレンジを加えているんですが、これが実によかった。

ワニが死んだ花見の日から100日後がちょうど夏の始まりあたりになること、ワニの代わりに街にやってくる空気の微妙に合わないカエルという配役、このあたりをうまーく組み合わせてきれいに落とし込まれていたのが実に脚本の妙!という感じでした。タイトルがアレンジされたのも納得。

ネタバレ含む細かい感想は例によって見た当時のふせったーで。

ところでこれは完全なる蛇足なんですが、自分は100ワニに対してはそこまでの思い入れはなく、むしろきくちゆうきマンガと言ったらSUPERどうぶつーズだろというひねくれオタクスタンスでした。

こういうタイプのエッジがきいたマンガを描く人という印象だったので、ツイッターでバズったり朝のワイドショーで取り上げられるレベルの盛り上がりにはオイオイまじかよとなっていたんですが、この話題は多分もう散々いろんなところでされてると思うのでおしまい。

サイコ・ゴアマン

↑ドメインがシンプルすぎてびっくり。

サイコ・ゴアマン、怪作でした。これは映画館で見られて本当によかった。

先述の「ゴジラvsコング」の上映前にみた予告編で「な、なんだこの見るからにチープだけど妙に気になる映画は……?」となっていた作品、サイコ・ゴアマン。

これから最強のVFX映画を見ようとしてる気分の人間にこれを見せるか……?いやまあ結果的にここに一人ホイホイ見に行ったやつがいるので正解なのかもしれないですけど……

簡単なあらすじとしては、稀代のクレイジー少女が銀河を滅ぼすレベルの怪物を好き勝手あやつり、家族や友達や銀河に多大な迷惑をかけながら怪物退治にやってきた正義の味方を迎え撃つという規模が大きいんだか小さいんだかよくわからないSFゴアコメディです。いやー笑った笑った。

恐るべき力を持つ怪物、サイコ・ゴアマンはマジで凶悪なんですが、うっかり彼を操る力を手に入れてしまった主人公の少女ミミちゃんがもうとにかく最悪(誉め言葉)。劇中で何度 "Crazy" "Mad" が連呼されたことか。

「物怖じしないいたずら少女」みたいな枠組みは完全に超えていて、周りで誰が死んでいようが尊厳を奪われていようが自分が最強であれば関係なし!というもう行くところまで行き切ってしまっている倫理観の持ち主で、ニタ = ジョゼ・ハンナの怪演ぶりもすさまじく作中最凶の人物でした。こんな8歳児は嫌だ。

尊厳の奪われっぷりでいうと一応ラスボスとして設定されているパンドラという女性型天使モチーフのキャラがいるんですが、あれはもう見る人が見たらスケベなレベルの尊厳の奪われ方だったので、そういう需要も満たせそうでした。何の話?

とにかくミミちゃんのやることなすことすべてが最悪で、物語はどんどん悪い方に転がっていき、ラストは本当に最低の極みなんですが、不思議と鑑賞中も見終わった後もさわやかな気分だったんですよね。振り切った最悪はいっそすがすがしい。

あと出てくるクリーチャーたちのデザインが実によく、かっこいいというか妙になじみ深い意匠をしてるんですよね。実になじみ深い。なんなんだこの見たことないはずなのに見覚えある感じは??と思ったら、どうやら監督がスーパー戦隊をはじめとする特撮好きらしく、今作も真・仮面ライダーからの影響があったとのことで大納得。

PG12レベルの(っていうかサイコ・ゴアマンの略称がPGなのってそういうことか!?今気づいた!!)ゴア表現はあり、実際自分もその手のは得意ではないものの、それを笑い飛ばせるレベルの狂気とギャグの切れ味で埋め尽くされているので全然問題なく見られました。あと多分ポンポさんが好きそうだなと思いました。ポンポさんはB級映画が大好きなので。

めちゃくちゃ語ってしまった。最高の映画体験でした。

天穂のサクナヒメ(サウンドトラック)

ちょっと変化球ですがゲームのサントラです。

デラックス版にはすでに同梱されていた音源ですが、単品での販売は権利周りのいろいろで調整に時間がかかったそうで7月に待望のリリース。CD版も未確定ながらリリースが予告されています。

天穂のサクナヒメ、ここ数年でベスト級に好きなゲームなんですが、その要因のかなりの部分を占めているのが音楽でした。

プレイを開始して早々にあーこれはBGMがいいなーやってて気持ちいいぞとなるレベルで各楽曲がよかったんですが、それ以上に曲そのものが物語に欠かせない演出装置としても機能しているんですね。なので何の気なしにサントラを流し始めると物語の終盤を思い出してうっかり目に水分がたまってしまったり。

そうそう、サントラにも収録されたこのゲームの核となる楽曲、ヤナト田植え唄なんですが、歌唱を担当されている朝倉さやさんによるスタジオライブも公開されており、これがまた圧巻。

民謡日本一の生歌唱ってスゲーとなるので必聴です。

潮が舞い子が舞い(6巻)

ここからはマンガのターン。

潮が舞い子が舞い、連載当初から大好きな作品で、新刊が出るたびこれまでのおもしろさをさらに上回ってくることに驚きと喜びを覚えながら楽しんでいたんですが、6巻は一つの白眉といってもいいほどのおもしろさを湛えた巻でした。いや、すごかった……

5巻から本格的に参戦してきた水木くんのバイト仲間で(見た目には)クールすぎる恋する乙女、氷室さんのたまらないかわいさだったり、作中屈指のいじられキャラ右佐くんに唯一敗北する後谷さんのいじらしさだったり、空回りしつづける車崎くんへの様々な反応だったり。

いろいろと語りたくなるエピソード満載のなかで、特に圧倒的だったのが60話。バーグマンと刀禰くんが再び雨宿りする回です。

もうちょっと何を語るのも野暮なんですが、この回を読んだときはあまりの良さに気圧されてしまって、次のページをめくるのにしばらく休憩が必要になりました。前作「月曜日の友達」でも発揮された画面と言葉の美しさ力(パワー)が垣間見えた回でした。

っていうかこの回以外にも刀禰くんはあちこちにフラグを立てているので、なんだ君はラブコメ主人公のつもりか。この愛され男め。

あと元々その拗らせっぷりが好きだった柿境さんが今回の車崎君の一件でさらに好きになりました。最推しです。よろしくお願いします。

ルックバック

このマンガについてはもういろんな人がいろんなことを語っていてどれも興味深く、先に好きなレビューを二つ紹介しておきます。

そっかー確かにすぐ寝るべきだよなーとはなりつつも、実際のところ読んだ直後はいろんなことが頭をグルグル巡って全然眠れなくなり、夜中にもかかわらずDiscordで友人と感想戦をはじめてしまい、その時考えたことなどは翌日にふせったーにまとめたりしました。失われた昼休み。

公開されてからまだ2週間ほどですが、この記事を書くために改めて本編を読み返してみたところ、やっぱりいつ読んでもすごいな、雨の中藤野が走るシーンは何度見ても好きだな、物議をかもしたあの部分は確かに適切な表現ではないかもしれないな、でも万人にやさしい表現にすることでこの作品の本質は保てたのかな、などなど再び頭をいろんなものが巡ってしまいます。

ひとつ確かなのは、これを10年後・20年後に読んだときに自分がどう感じるのか、世間がどう評価するのかなという、そういう風化しないものをこのマンガから感じるということでした。

ところで突然話は変わりますが

藤本タツキ先生も先述したサイコ・ゴアマンを応援しています。見よう!サイコ・ゴアマン!

純情戦隊ヴァージニアス

終わってしまった、ジャンプ+で一二を争うほど好きなマンガの一つが……

純情戦隊ヴァージニアスについては以前もnoteで感想を書いたことがある程度には大好きだったんですが、この度、二年余りの連載を経て遂に完結してしまいました……

どういう作品かについては上記記事を参照してほしいんですが、フォーマット的にはいくらでも続けられる、というかいつまでも読んでいたかった作品なので、終わってしまったのが本当に悲しい。でも最後まで”らしさ”を保ったまま走り切ったラストだったのでその点では大満足です。

確かな輝きと強い拗らせとエッジのきいた性癖を併せ持った愛すべき作品でした。でもやっぱりヴァージニアスのない木曜と日曜(水曜と土曜深夜)はさみしい。

福岡太朗先生の次回作を心から期待して待っています。

期待して待っています!!!

廃バスに住む(1巻)

こちらは待望 of 待望の1巻が発売したマンガです。

諸事情でアパートを出ていかざるを得なくなった教師の雨森さんが、なぜか空き地の廃バスでの生活を始めるという一風変わった車中泊コメディ。ComicWalkerで連載されています。

前作のおとなのほうかごに出てくる天野さんをはじめとして、イチヒさんの描くちょっと不思議なマイペース美人が以前から大好きだったんですが、今作の主人公、雨森はづきさんはまさにその系譜を受け継いだヒロインで最高最高(消失する語彙)

教え子に間違えて「姉ちゃん」って呼ばれたら「……ナイショにしようって言ったじゃん」って無駄に意味深にしてみたり、夕飯をトマト鍋にするかカレーにするかをチョロQ走らせて決めたり、強い栄養ドリンク飲んでるときに「眠れなくなりますよ」っていわれたら「私が?夜眠れなく?」って謎の自信を発揮して結局眠れなくなったり、何を考えているのかわからない、多分何も考えていないやりとりがおかしくもいとおしく、気づけば雨森先生のことが好きになっている。恐ろしい女。

そんな雨森先生をうっかり「姉ちゃん」と呼んでしまった張本人にして廃バスを秘密基地にしていた人物、大家くんが翻弄されていく様もまたかわいらしく、つまり読んでいる間ずっとかわいいがそこにあります。

最新話が更新されるたびに「もうこれ以上このマンガのこと好きになったら負けだ」と謎の対抗心を抱きながら読むんですが、結局いつも、あ、好き……と敗北します。そろそろ敗北が気持ちよくなってきました。

みなさんもぜひ敗北してください(どんな推薦だよ)

メイドインアビス(10巻)

現行連載作品の中で一番好きといっても過言ではないマンガの一つ、メイドインアビスの10巻が先日発売。今作最長のエピソードとなった成れ果て村編がこの巻を持ってついに決着を迎えました。いやーーーーよかった……

メイドインアビスのことはマンガよろず感想やるぞ!と思って始めたブログがいつの間にかメイドインアビス一色になってしまうくらいには好きで。8巻あたりの内容までは1話更新されるたびに毎回長文感想を書いていました。気合がすごい。

最近は色々やってるのもあって長文感想を書く気力も減ってきてしまったためブログ自体も放置気味ですが、今回お話の方も区切りがついたので久々に感想を書きたくなった次第です。

改めて壮絶だった成れ果て村編を振り返ってみると、意外と一番好きだったキャラはワズキャンだったりします。ヒロイン的な意味ではヴエコが圧倒的に大好きなんですが、それとはまた別の尺度として。この人頑張ってたなって。上に貼った51話の感想でも書いたんですけど、軽薄かつ不遜なように見えて実はめっちゃ泥臭く頑張ってたっていうのが分かってからどうにも愛すべきやつになってしまったんですよね。

未来を見通せる神がかりの能力に決して甘んじることなく、憧れのために一切の妥協をせず、それでいてヴエコからの糾弾に後ろめたさを見せ、村への思わぬ来訪者に恐れるという、底が知れないようで絶妙に人間臭いやつだったなと。

そんなワズキャンが最期に残した、この大穴の底を目指すために必要なのは「積み重ね」である、という言葉は非常に印象的でした。

メイドインアビスって最近の作品らしく明確な善悪を設定するのが非常に難しいのですが、ワズキャンのいう「積み重ね」の考え方にのっとれば、一面的な善悪を設定すること自体が、この大穴について語る上ではスケールが小さすぎるからなのかもしれません。

そんなこんなで明かされた秘密も失ったものもたくさんありましたが、先行しているとみられる白笛たちの行方を始め、この先の旅路もまだまだどうなるかわかりません。わかりませんがさすがにそろそろ終盤なんだろうなーという気もしています。

いやマジで早く続きが読みたいよ……。

おしまい

疲れた。今月はこのあたりで。

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