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大出産祭りレポ②ライオンキング編

前編はこちら↓


【陣痛2日目】

早朝、私と母は病院へと向かった。
出産予定の病院は各科が揃った大きな総合病院で、その日も大勢の患者でごった返していた。

前日の深夜、はいこれ確実に陣痛ねと思って病院に駆け込んだらこの陣痛はドラクエでいったらスライムベスだよと言われて家に帰された時から、ゴードンヘッドぐらいには進化している感じがした。

8:00
昨晩はスタスタと歩くことができたが、今朝は何かに捕まりながらやっと前に進めるレベルだ。
それでもまだ陣痛の波があって、波が静まっている時はなんとか歩くことができた。
腰をさすりながら産科の外来診察を受ける。
この時点で子宮口は3cm開いており、ようやく「陣痛開始」の認定をもらうことができた!やっとかよ!いい加減にしろよ!

産科のゲートの前で、入院バッグを持ってきてくれた母と今生の別れかのようにハグをした。

【コロナ禍の出産】
当時、コロナ禍真っ最中で、夫や実母関わらず出産の立ち会いおよび産後の面会は一切禁止でした。助産師さんの手を握って産むのか…と、理想の出産とはかけ離れていて不安でしたが、出産時は全然それどころではなくてあんまり個人的には関系なかった★

その日はほぼ満床だったため、個室希望を出したが入れず。まずは「陣痛室」という出産を控える妊婦さん達の部屋に案内された。
陣痛に耐えつつもスマホをいじり、連載漫画の編集者と連絡を取ったり、友達とLINEしたりしていた。
お昼はからあげ定食。古い大病院あるある、全然味がしない。
だが、なんでも美味しく食べるのが私のいいところだ。陣痛中でも勿論完食した。

ごちそうさま!と手を合わせた瞬間、
「パンッッ」と何かが弾ける感覚があった。
同時にベッドと服がビッショビショになるほどに濡れていく。
「いい大人なのに盛大におしっこ漏らしちゃった!」
と咄嗟に思った。そしてナースコール。
助産師さんは「破水ですね」と言いながら、慣れた手つきでお産パッドのようなものを取り付けて、新しい病院着を持ってきてくれた。

破水ってマジであるんだ〜と感慨に耽っていた瞬間から、急に陣痛がゴードンヘッドからキラーマシンになった。

それからはあまり記憶がない。
「オッフ」とか、「ウッ…」とかしか声が出ない。
隣のベッドの人が優しくて、声をかけてくれたことだけはなんとなく記憶がある。

相部屋で1人だけドゥフドゥフ言っていたのが相当うるさかったのだろう。
途中で「産前室」という、分娩室の隣の狭い個室に移された。

私は痛みに強い女だという自負があった。
幼少期通っていた歯医者があまり麻酔を使わない方針のクソ医者で、
ほぼ麻酔なしで虫歯治療もこなしてきたのだ。(一回だけ気絶した)

またリアクションの少なさにも定評がある。
富士急ハイランドの超有名お化け屋敷「戦慄迷宮」で一言も発さなかったため、同行した友達にはぐれたことに気づいてもらえず置いて行かれたこともある。

その私が信じられないぐらいの大絶叫をしている。
なんだこれは。
現実なのか。
絶叫が全く我慢できない。
時間の感覚がない。

気がついたら私はディズニー映画の名作「ライオンキング」の冒頭ソング(サークルオブライフ)を熱唱していた。

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