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世界初のレイプ犯は何者か?

超古代の地球は「女だけの街」だった論

以下の記事を読んだ。紹介されている動画も観た。

率直に言って、動画の『超古代の地球は「女だけの街」だった』という表現はかなり面白かった。
出産の能力の有無によって雌雄を定義するのであれば、原初の地球は間違いなく女だけしか存在しないし、地球上に雄が誕生した経緯を土木工事や清掃のためと表現するのも頷ける。

世界初のレイプ犯は何者か?

世界初のレイプ考

野生下において、交尾が強姦であることは珍しくない。地球発の交尾に同意も何もないだろうから、当然世界初の交尾はレイプと言える。

では、世界初のレイプ犯は何者なのだろうか?
記事では、この辺りの話における強姦の定義を以下のように定めている。

ここで言う「強姦」の定義は、男性器を女性器に無理矢理挿入することのみを指す。

「キモい」という感覚は男性には理解できない

ただし、ごく初期のレイプ現場に男性器とか女性器といった器官が整備されていたとは考え難い。
以下のように読み換えるのが妥当であろう。

強姦とは、同意なく自らの遺伝子を使用して生殖を行うように他者に強要することである。

図らずもある種の代理出産を強姦と呼称できるような定義となってしまったが、今回の話には無関係なので、割愛させて頂く。

さて、ここまでの定義に従えば、強姦の被害者は必ず女性である。何故なら、出産能力を有しているのは女性のみなので、女性以外に出産を強要することは不可能だからだ。

では、強姦の加害者は必ず男性だろうか?
いや、そうとは限らない。反例を挙げよう。蝸牛だ。蝸牛が雌雄同体であることは有名な話だ。ただし、前述の定義に従えば、蝸牛はその全てが女性である。つまり、蝸牛に限って言えば、強姦の加害者は常に女性である。

察しの良い方は既にお気付きだろう。

レイプ犯に生殖能力は存在したのか

世界初の有性生殖が行われた際に、男性は存在したのだろうか?

話題の番組『チコちゃんに叱られる』が分かりやすさやキャッチ—さを優先するあまり、正確性が犠牲になっていることはよく指摘される。

実際、どのように有性生殖が誕生したかは現代でも判明しておらず、まして生物自身が多様性を確保しようという意図をもって有性生殖を開始したなんてことはあり得ない。
下記は現状で有力とされる仮説である。

これは仮説であり、証拠が存在しない話ではあるものの、有力とされるだけの説得力がある。
すなわち、初期の有性生殖は雌雄同体によって行われていた、つまり、女性同士による生殖だった。

世界初のレイプ犯は女性である。

とまあ、ここまで長々と綴ってきたが、全てはレトリックである。
所詮は定義の問題に過ぎない。
遺伝子を(男性器を)挿入する側を男性を定義するなら、世界初のレイプ犯は男性だ。出産能力がないことを男性と定義するのであれば、世界初のレイプ犯は男性ではない。それだけの話だ。

全ての交尾は強姦か?

フェミニズムの文脈?でよく見られる論理展開に以下のようなものがある。

メス(女性)にとって、「地球史上最初の交尾=地球史上最初の強姦」だった。

故に、生物史上最初の交尾から現在に至るまで、「全ての交尾が強姦である」と言える。

「キモい」という感覚は男性には理解できない

皆さんはこの論理展開に頷けるだろうか?
私は論理の飛躍を感じる。

前段はいい。
女性にとって地球最初の交尾は強姦だった。理解できる。

後段が分からない。
地球最初の交尾が強姦であることが、何故全ての交尾が強姦である根拠となり得るのか。
分からない。

地球最初の交尾が強姦であることは、全ての交尾が強姦であることの必要条件である。
地球最初の交尾が強姦でないとしたら、強姦ではない交尾が存在することになってしまうので、全ての交尾が強姦であるためには地球最初の交尾は強姦である必要がある。

一方で、地球最初の交尾が強姦であることは、全ての交尾が強姦であることの十分条件ではない。
その後に地球で行われた交尾に強姦でない交尾が存在することを否定しないからだ。
否定しないと思う。
するのだろうか?

この論理が本当に分からないので、お分かりになる方は教えて欲しい。

「キモい」という感覚は男性には理解できないのか?

西本氏の主張によれば、男性には「キモい」という感覚が理解できないらしい。
女性はレイプされる性なので、レイプ犯に対して「キモい」と感じるようになっていると言われれば、まあそういうものなのかもしれない。

だが、「キモい」という感覚が女性特有のものであることや、生物の本能に根差していることは、そうした「キモい」という感覚を何ら正当化しない。

この部分についてご理解いただけるだろうか?

他者に「あなたはキモい」と表明することは、日本の法律では侮辱罪にあたる。
犯罪である。
また、仮に西本氏の主張するように、この「キモい」という言葉に「言われた瞬間自サツしてくれ」(原文ママ)という意味があるのだとしたら、これは「死んでくれ」と言ったも同義であり、自殺教唆罪や自殺幇助罪といった罪に問われる可能性すらある。

そうした罪に問われた時に「キモい」という感覚が女性特有であることや生物の本能に根差していることが認められたとしても、そのことによって罪が軽くなったり、放免されることはない。

男性の性欲が女性には理解しがたかったとしても、そのことによって男性による強姦や浮気が正当化されることはないのと同じである。

無論、日本国民には内心の自由があるので、表に出さない範囲で「こいつキモいなー」と感じるのは自由だ。
ただし、それが表に出してはならない反社会的な感情であるという認識は持っておきたい。

私は決してあなたの「キモい」という感情が間違っているとは言わない。
それは理由のある感覚で、本能の警告なのかもしれない。
だが、差別だ。
表明すれば、否定されうる。
その感覚を大切にしたいのであればこそ、「キモい」は秘すべきである。


以上、面白い記事を読んで色々考えたので、言語化してみた。

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