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【完結】トガノイバラ #1~#93

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【和風味吸血鬼的現代ファンタジー】 伊明と琉里は高校2年生の双子の兄妹。 変な父に振り回されつつも普通の生活を送っていた。 そんなある夜、とつぜん琉里に異変が起こる。 廻り…
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#奇襲

『トガノイバラ』完結の御礼

おはようございます。 気づけば師走、今年も残すところあとひと月、キャーイヤーとなっているのは私だけではないはず…と勝手に思い込んでいる高埜です。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。 昨日を持ちまして、トガノイバラ全93話、無事に連載を終えることができました。 ご挨拶のスキ、お返しのスキ、応援のスキと好きのスキ、そしてあたたかなコメントの数々……見に来てくださり、読んでくださったみなみなさま、本当にありがとうございました。 サポートくださった方もいらっしゃり、感謝の極

トガノイバラ#75 -4 悲哀の飛沫…16…

◇  ◆  ◇  ◆  とんでもない。  なんという無茶をするのだろうか、御影なにがしたちは。 「滅ッ茶苦茶だな、あいつら――!」  舌打ちをしながら遠野が車から降りた。おい、と声を掛けられて、呆気に取られていた伊明も柳瀬も、慌ててドアを開けて外に出る。  御木崎邸に向かう山道は、ところどころに待避スペースこそ設けられているものの、車同士では並走できない細さだった。  先頭を切っていたのは御影なにがしのバンで、遠野、御影佑征の車と続き、その後ろに残りのなにがしたちが

トガノイバラ#76 -4 悲哀の飛沫…17…

 御影なにがしたちから少し遅れて門を抜ける。  御木崎側は見事、大混乱に陥っていた。  そりゃそうだろう。とつぜん門を突き破って入ってきたバンが母屋に体当たり、わらわらと侵入してくる道具を持った無法者たち――動揺するなというほうが無理というもの。  それでも、母屋から飛び出してきた黒服たちはさすが警護部隊である。ワケがわからないなりにも対処しようとすでに動き始めていた。侵入者のなだれを堰き止めるべく、二、三名が黒い警棒を手に、ほとんどの者は果敢にも素手で向かっていく。