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ぼくとポップと流れ星


ぼくの小さな友だちは流れ星にのってやってきた。
なまえは ポップ。

その日は特別に寒い日で、ぼくはベッドから窓の外を眺めていたんだ。
澄んだ空にきらりと光り流れる星が見えた。
「あ、流れ星。」
願いごとをしなくちゃと思っているうちに光は消えてしまった。

しばらくすると窓をノックする音が聞こえた。
何も見えなくてきょろきょろしていたら、
「こっちだよ。」という小さな声が聞こえた。
目の前にはぼくの手のひらぐらいの大きさのポップがいた。
あわてて窓を開けるとポップはぼくの部屋に入ってこう言った。

「流れ星から落ちちゃった。家に帰るのを手伝ってくれないかい?」
おいしいお菓子をあげるからさとポップは言った。
そしてポケットから七色に光るお菓子を取りだした。
金平糖みたいな味がした。

それからぼくらは来る日も来る日も、特訓をはじめた。
そう、ポップがまた流れ星にのって家に帰るための。

ぼくは折り紙でたくさんの紙ひこうきを作った。
そして近所の丘からちからいっぱいに飛ばした。
ポップはその紙ひこうきに飛びのる特訓。
これがなかなかむずかしくて、息を切らしたポップはいつも顔がまっかになった。

特訓に疲れたら、ぼくらは草の上に寝ころがって話をした。
ポップは王さまになりたいと言い、ぼくはパイロットになりたいと言った。

ポップが百発百中で紙ひこうきに飛び乗れるようになった日。
その夜はふたご座流星群が見られる夜だった。
「チャンスは今夜だ。」
真剣な顔でポップは言った。
ぼくはドキドキしながらポップを見守る。
「今までありがとう。じゃあまたね。」
笑顔で言ったポップの顔をぼくはずっと覚えている。

見たこともないくらいの流星群。
そのひとつに上手く飛びのったポップはあっという間に見えなくなった。
ポップの乗った流れ星に3回願いごとをとなえる。
「きみにまた会いたい。」

大人になった僕は夢を叶えた。
そして明日、願いを叶えるために僕は宇宙へ飛び立つ。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

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