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rainy

この記事は2024年6月16日(日) shibuya gee-ge.にて開催された「こばやしゆうと 1st ワンマンライブ『轟 ~序章~ はじまりの物語』」の第一部のセットリスト紹介です。
"音楽×朗読"をテーマに、楽曲の背景・世界観を拡張するべく、プロットを歌詞ではなく脚本として新たに書き上げました。
今回は『rainy』という楽曲の語り部分と歌詞の掲載になります。


"知らなかったのは、たった一つ、好きな人だけ。"

【語り】

廊下のガラスを覆う水滴が憂鬱な気分にさせる。天気予報を見ずに家を出た日にかぎって、都合の悪い方に天気が傾くのはなぜだろう。濡れて帰ることに、諦めと覚悟を持って出ようとする僕を、呼び止める声に振り返る。

状況を察してか、傘を片手にニヤニヤしてる顔を見て、ほんの少しだけ腹が立った。

「一緒に帰ろう。」

少し恥ずかしさもあったけど、友達からの提案を断る理由が見つからなかった僕は、傘を受け取る。君に任せたら、きっと僕側に傾けるだろうと思った。知っていたんだ、君が優しいことを。それだけじゃない、好きな歌も、好きな料理も、好きな本も……全部知ってた。知らなかったのは、たった一つ、好きな人だけ。

「彼氏がさぁ……。」

内容は覚えてない。ただその単語を聞いて、酷く落ち込む自分に驚いた。そうか、僕はこの子が好きなんだ。

自覚が心を締め付ける。

「分かるよ、顔に書いてる。顔に出やすいって自覚ないの?」

一緒に帰ろう、そう誘ってきた君が10分前に言っていた言葉を思い出す。バレちゃだめだ。逃げられない傘の下の絶対領域が、二人きりという幸せと背徳感に侵食されていく。

まだ友達だったときに戻りたいとか、彼から君を奪いとか、そんなふうには思えなかった。ただ、今このときを、ただ今この瞬間を、この感情もろとも、傘の外の喧騒みたいに消して欲しかった。

『rainy』

『rainy』LIVE映像

【歌詞】

rainy 雨音が耳に栓をした
街のざわめきもかき消していった
rainy 傘の下君とふたりきり
誰も邪魔できない 絶対領域が

こんなにも心地よくて場違いなのは
彼の影が君の瞳をちらつくから

想定外だった 君を好きになって
理性のブレーキがかからない
正しい恋心 上書きしてよ
何もいらないから
ただこの時を ただ今この瞬間を消して


rainy 土埃を洗い流すように
僕の心も綺麗にしてくれ

愛し合えないことは分かりきっているのに
君の影がどの景色にもちらつく

想定外だった 君を好きになって
雨の日でさえも輝いて
これ以上僕に優しくしないで
何もいらないから
ただこの時が ただ今この瞬間が好きだよ


どうしても君に笑っていてほしい
どうしても君に幸せでいてほしい
どうしても君の最後になりたいけど
どうしても彼じゃなきゃ 君はダメなんだろう?


rainy 雨音で全部かき消して
君の優しさも この恋も
rainy 冷たさで洗い流して
何もいらないから
ただこの時を ただ今この瞬間を消して

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お楽しみに!!!!