おしゃれが大好きなわたしがおしゃれをできない仕事に就いたわけ
わたしは保育士をしてます。職業を名乗ると大抵「大変ですね」と言われがちなあの保育士です。
なりたいと思った最初のきっかけは、小学3年生の頃。バレエの習い事をしていたわたしは、発表会の日にガヤガヤとした楽屋で「おしっこ、いきたい」と3歳の女の子に話しかけられました。
家では姉がいる末っ子、親戚の中でも一番末っ子なわたしはいわゆる小さい子と関わることは一切なく、「お、おしっこ?!」とすごく戸惑ったことを覚えています。
あたふたしながら一緒にトイレに行っただけなのに、勝手に「さっちゃん、さんさい」「あとでね、ひよこさんおどる」などとペラペラしゃべる3歳の女の子に、何とも言えないときめきが生まれた瞬間でした。
その話を母に話した時に「小さい子が好きなら、保育士さんになれそうだね」と言われて、ビビッときました。それからわたしの将来の夢は保育士になりました。
それから今までずっと諦めずに保育士を志したと言えば美談になるのですが、実は途中で一度諦めています。
というのも、保育専攻の大学に進み、本格的に保育の勉強をしたときに人様の命を預かる責任感や一緒に遊びながらも子ども一人ひとりの気持ちを汲み取りながらその子に合わせて関わる大変さ、日々の保育をするにあたっての計画や記録などの仕事量の多さを実感しました。
「子どもが好き、愛おしい」という感情以上に、こんな仕事を日々していたら子どものことが嫌になってしまうのでは?と危機を感じたからです。
それとタイトルにある通り、自分を着飾ることが昔からすごく好きで、大学時代にアパレルのアルバイトをしていた関係でお客さんにそのお手伝いをするのをすごく好きになったことも大きな理由でした。
自分の好きな服、好きな化粧、好きなネイルをして働くことが、保育士という職業よりも魅力的に見えたのです。
そんなこんなで大学2年生から3年生にかけては、わたしは保育士資格は取りつつ、アパレル企業への就職を志していました。
そこからまた保育士に戻っているわけです。
大学3年生で、初めての保育園実習に行きました。すごく良い保育園で、良い先生たちでした。
わたしが右も左も分からないまま実習をするなか、当時の実習担当の先生に「保育園の先生を目指してるの?それとも幼稚園?」と聞かれました。
わたしは本当のことを言ったら失礼になると思い、「まだ迷っています、、」と答えると、その先生が察したのか、
「一般企業も考えてるなら、絶対もったいないよ。よく周りも見れてて、子どもたちも先生が来てくれてすごく嬉しそう。いい保育士さんになるよ、わたしが保証するから。」
と満面の笑みで言ってくれたのです。その言葉が、実習中に「ああ、やっぱり子どもはかわいい。でも、、」とゴニョゴニョ言い訳をしながら実習していたわたしの背中をドンッと押してくれました。
単純な人間ですが、「子どもはかわいい!面白い!だからとりあえずこの世界に飛び込もう!」「おしゃれは休日にすれば良い!」と思えたきっかけになりました。
わたしが保育士になれた本当の理由は、実際働く保育士さんからの背中を押す言葉でした。
今では、わたしがそんな風に保育士を目指す学生たちの背中を押す側になっています。
たしかに皆さんが思うように、この仕事は大変です。仕事量も多いです。残業だらけで仕事量と給料が見合っていない世界ではあります。
ですが、いい意味でそんなことはお構いなしに子どもたちは毎日とっても可愛いです。どんなにわたしたち保育士が疲れていても、苦しくても、辛くても、子どもたちは毎日元気に保育園に来てくれています。
だからわたしも頑張ろうと思えるわけです。世の中に一生懸命働くお父さんやお母さんがいる限り、わたしも大事なお子さんをお預かりし、「今日も保育園楽しかったよ」とお家で話してもらえるような保育ができるよう、全力で働いています。
お父さん方、お母さん方、毎日お仕事ご苦労様です。