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詩:10920
200
人間の目には灰色にしか見えない
表層とは海水さえ交わらない
深所に
死骸の雪が降る
600
殆ど光の届かない
もっとも酸素の少ない
冷たく圧縮された緩やかな流れの中で
死骸の雪が降る
1000
太陽の光は決して届かず
発光器官で語り合う魚達
その光に わずかに照らし出され
死骸の雪が降る
2000
高温の噴水に寄り添うチューブワーム
太古からの細菌を餌にする海老
それらで食い繋ぐ 生き物たちのコロニーへ
死骸の雪が降る
4000
死んだ鯨を消費して育つコロニーに未来はあるのか
奇妙な姿の海綿動物達
眠るタイタニック号の上にも
死骸の雪が降る
6000
餌を待ち続け 三本足で立つ魚
世界を見上げる 巨大な目の魚達
そのレンズに
死骸の雪が降る
10920
最も深い海の底
生産者のいない
母なる海に舞い降りる 数少ない恵み
死骸の雪が降る
海の中
静かに 降り積もる
永遠に続く
マリン スノー
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