短編小説色々

ほんわか小説まとめです。書きたいところだけ。
大体日常系かNL系です。学園モノっぽい?



本を読む少年


「なあなあ!」

本を読んでいると、横から声をかけられる。
ちらり、声の方向を見ると、自分に何故か関わろうとしてくる変なやつ。

「…なに」

本のページをぺらりと捲り、不愛想に言葉を返す。

「何の本読んでるんだ?面白い?」

言葉を返したことが嬉しかったのか、俺の机に身を乗り出し、本の背表紙を見ようとしてくる。
それに怪訝な表情を返し、本を動かし見えないようにする。

「君にとっては面白くないんじゃない?」

言外に、「だから俺に関わるな」という思いを込めて吐き捨てるように言う。

「えー!読んでみたい!貸して!!」

そう言い、キラキラとした目をこちらに向けてくる。
その様子に、わざとらしくため息を付き、本を渡す。
どうせ飽きてすぐに返してくるだろうし。そう考えて。
しかし目の前の男は嬉しそうに本を持ち、自分の席に戻る。
あれ、読むんだ。と少し驚いたが、まあ、いいかと目をそらす。

机から他の本を取り出し、パラパラとめくる。


さて、彼はどれだけ集中力が続くのか?



作者は犬好き


わふ、と私の体に乗りかかってくる毛むくじゃらに驚きつつ、手をのばす。

頭を撫でると、目を細めて舌を出す犬に自然と自分の口角も上がる。

「可愛いなあ」

ニコニコとしながら、散歩中に走ってきたワンコを撫でる。
最近は勉強、勉強で疲れていたし、癒やし効果がすごい。
人懐っこいこの子の頬をワシャワシャと混ぜるように揉むと、犬の顔もぐにゃぐにゃと歪む。
可愛いなあ、と何度も呟く。しかし、そういえば、と気になる。


この子は、何処から来たのだろう?




でも猫も好き


にゃーお、にゃー、と猫達ののんびりとした鳴き声が聞こえる猫カフェ。

「やっぱりアニマルセラピーでしょ」

ニッコリと微笑む姉に、わざとらしく肩を揺らす。
自分が疲れているだろうから、と猫カフェに連れてこられたが、
明らかに自分が一人で入るのが嫌だっただけだろうことはよく分かっている。姉は中途半端に恥ずかしがりなのだ。

「まあ、癒やしではあるけどね」

困った笑顔を浮かべながら、自分の隣に座っている猫の頭を撫でる。
猫はちらりとこちらを見た後、そのまま丸まって寝てしまったので、許可は得られたのだろう。ゆっくりと撫でる。

「やっぱり猫は最高よねー!!」

嬉しそうに猫を撫でようとする姉はことごとく猫に逃げられている。
姉は昔から動物大好きだが、動物に嫌われている。

「もーっ、ツンデレさんったらーっ!!」

姉の甘ったるい声も意に介さずに逃げ惑う猫達を可哀想に思い、姉に声をかける。

「姉さん、猫普通に逃げてない?」
「えっ」

絶望したようなその声に、絶望した表情に、思わず笑ってしまう。
猫に嫌われていることに気づき、本気で絶望しているようだ。





可愛い


「なあ、お前って可愛いよな」

勉強中、前に座ってきたと思えば、頬杖を付き、ため息を付きながら、そう言う彼氏に、困惑する。

「あ、ありがとう?」

そりゃあ、「好き」と言われて付き合い始めたのは確かだが、まさかそこまで褒められるとは思っていなかった。

彼はクラスで「冷たい」と言われるほど、笑わない、表情を買えない人だったのだ。
しかしある日、校舎裏に呼び出されて告白された。
勿論こちらの返事はOK。だが、その時の真顔だったし、最悪罰ゲームかなとも思っていた。

…まあ、今となれば、ソレはない、と言い切れるのだが。

「なあ、なんでそんなに可愛いんだ?俺を可愛さで殺す気か???」

何故か可愛いからとかいう理由で怒られるとか理不尽極まりない。

「ごめん、って謝ったほうが良いかな」
「いや!!お前の可愛さで死ぬんだったら本望だ!!!」

急に立ち上がり拳を振り上げる。
周りから、「何やってんだこいつら」という目線を頂いているので、すぐに止めてほしいが、ここまで可愛いと言われると、正直嬉しい。
が、まあ、流石にやりすぎだ。


「思いは伝わったから!!落ち着いて!!座って!!」
「はーい」










特に意味のない、中途半端にしかできなかった作品集です。
この作品の続きはきっと多分無いと思います。


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