彼らの行動の理由 A
創作小説。自分はこういうストーリーが好きです。
たまに書きたい衝動に駆られるので、短編として色々書くかも。
(コロコロする表現やちょっとだけ体から流れる液体的な表現があります。)
ちゃき、と懐から愛銃を取り出す。
相手を冷たい目で睨みつけて、ゆっくりと息を吐く。
相手はビクビクとこちらを怯えた瞳で見るのみ。
震える唇をゆっくり開き、懇願するように困ったように笑みを浮かべる。
「た、たすけ…て?ね?た、楽しませてあげるから…っ」
「………」
「ねえ!どうせ何かの依頼で殺そうとしているんでしょう!?」
「………」
「だったらその倍…いいえ、三倍出すわ!!」
「……へぇ…」
「だから命は…命だけはぁっ!」
胸を強調し、勝ち誇ったように笑う。しかし、体が震えているのがわかる。
まさか…この女が。
「ここまで馬鹿だったとは」
「……え?」
はあ、とため息を付き、銃を向け、撃鉄を起こす。
その音に、女は目を見開く。何を驚いているのだか。
「俺は性欲や金の為にお前を殺すわけじゃねえ」
自分でも冷たい声だとは思うが、床を這いつくばり、後退りするほどか?と呆れる。
「俺は、あの人の為に殺ってるんだ…勘違いすんじゃねえ」
パン、と乾いた音が響き、カラン、と薬莢が落ちる。
そして、赤い水が流れ落ちて、その海にバシャリと倒れ込む女。
ソレに、チッと舌打ちをする。
ズボンの裾が赤く染まってしまった。折角のあの人からの贈り物を。
そのイラつきに任せ、赤く染まり、動かなくなったソレを蹴り飛ばす。
「あー、仕事終わったぞ…回収頼んだ」
『おっけー!回収行くねーっ!』
ちらりと一瞥しながら通信機の電源を入れる。
そうして、適当に言葉を放つと機械越しに明るい声が聞こえる。
明るい声に少し苛つきながらも、ため息をつくのみに留める。
先程の女と比べれば、天と地ほどの差がある。アレと比べればどうってこと無い。
「あーあ、服汚れた…」
『あの人なら、また買ってくれるんじゃない?今回仕事クリアしたし』
通信機越しに何かの操作音と先程の声がのんびりと聞こえる。
そうかもしれない。何だかんだと言いつつも俺たち構成員に甘いあの人なら。
「…最近見つけた服要求してやろうかな」
『ははははは!いいじゃんいいじゃん!僕も新しい部品頼もうかな!!』
「ああ、それもいいな…ふふっ」
人を殺した後にもかかわらず、通信機越しに笑い合う。
狂っているのは分かっている。しかし、それが俺たちの日常なのだ。
『流石だ。よくやってくれた。ご褒美は何がほしい?』
『…汚れたから、服買ってくれよ』
『…おまえ、この間買わなかったか?』
『いいじゃんこのくらいのわがまま聞いてくれよ』
『…まあ、いいか。お前には頼り切りだからな。そのぐらいのわがまま聞いてやるよ』
『わーい、やったぁ!』
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