ゲーム特化ブロックチェーンOasys概要
こんにちは、you425です。
今回は、先日ホワイトペーパーが発表されたOasysについて読み解いていきたいと思います。
参考・引用
HP : Oasys | Blockchain for The Games
Medium : Oasys – Medium
WP : Introduction | Oasys Documentation
1.概要
Oasysは「Blockchain for The Games」をコンセプトとするゲームに特化したブロックチェーンプロジェクトであり、業界でも有名なゲーム開発者やWeb3企業、組織によって設立されました。
Founding Teamに以下の5名が参画しています。
Gabby Dizon氏(Yield Guild Games 共同創業者)
中谷始氏(バンダイナムコリサーチ 社長兼CEO)
國光宏尚氏(gumi 創業者 / Thirdverse CEO)
上野広伸氏(double jump.tokyo CEO)
内海州史氏(セガ 共同COO)
現在多くのブロックチェーンが存在しますが、殆どが汎用チェーンであるためゲームに最適化されているわけではありません。
DeFiとゲームでは、適したブロックチェーンの機能が異なります。
DeFiとゲームでは、トランザクション頻度に大きな差が出ます。
ゲームプレイ中に様々な場面でトランザクションが必要になるため、高速かつできればガスレスで通せることが求められるでしょう。
しかし汎用チェーン(例えばEthereum)ではこのために仕様を変更することが出来ません。1アプリケーションの要求でチェーン全体の仕様を変更することは許容できないからです。
その為、アプリケーションに特化したブロックチェーンが生まれてきています。
PolkadotやCosmosはそういったブロックチェーン群のエコシステムです。
Oasysはそのソリューションの1つであり、ゲームに特化したエコシステムです。
これにより、企業や運営の要求に最適化されたブロックチェーンを作りやすくなります。
2.アーキテクチャ
Oasysは、上画像のような構造となっています。
新しい言葉が出ているため少々分かり辛いですが、Ethereumとレイヤー2の組み合わせと構造としては同じです。
ただし、現行のEthereumは自身でもスマートコントラクトの処理を多くしていますがOasys-Hubの場合は基本的にコンセンサスに専念します。
以下、詳細を解説します。
Hub-Layer(レイヤー1/セキュリティレイヤー)
PoSのEVM互換チェーンであり、Ethereumのサイドチェーンです。
最低1000万OASトークンをステーキングすることで誰でもバリデーターとして参加できるパブリックブロックチェーンです。
最初は21個のバリデーターが立ち上げに参加します。
【2022/9/12 追記】
21番目のSquare Enixが発表され、初期バリデーターは出そろいました。錚々たるメンツです。
【2023/03/16 追記】
更にSoftbankが追加されました。これに未公表の3社を加えて25バリデーターとなります。
https://medium.com/@oasys/softbank-corp-participates-in-blockchain-project-oasys-for-social-implementation-of-web3-839d1a7d6baf
基本的にはトークン、ブリッジ、ロールアップ以外のコントラクトは実装せず、Verse-Layerのセキュリティとデータ可用性を担保します。
ガバナンス次第では例外的にコントラクトを実装する可能性が有ります。
Verse-Layer(レイヤー2/実行レイヤー)
Optimismのフォークであり、Optimistic-Rollupを利用したOasys-Hubのレイヤー2です。現在はOptimistic-Rollupのみの対応ですが、将来的にはZK-Rollup等他の技術を取り入れる可能性も示唆されています。
Verse-Layerの立ち上げには100万OASが必要で、誰でも作ることが可能です。
ただし、基本的にはパーミッションレスではなく特定の企業などがOasysと協力して稼働させることを前提としています。
また、通常のレイヤー2と違いRollupする際に検証者を間に挟むことで信頼性を上げるような試みも可能です。
大きな特徴として、Optimistic-Rollupではチャレンジ期間があるため資産のブリッジに1週間ほどかかることが多いですが、パーミッションが取れているVerse-Layerの場合、チャレンジ期間を最小限に抑えられるとしています。
3.多層構造の選択
ゲーム特化のブロックチェーンを作るだけであれば、レイヤー2でやる必要はありません。
例えば、AxieのRoninはEthereumのプライベートサイドチェーンです。
ではなぜOasysは上記のようなアーキテクチャにしたのでしょうか。
それは、ゲーム毎にプライベートサイドチェーンを作るより、プライベートレイヤー2を実装していった方が合理的だからです。
レイヤー1(Oasys-Hub)がセキュリティやデータ可用性を担保することにより、レイヤー2はゲーム特化レイヤーの運営に集中することが出来ます。
更にセキュリティー部分をレイヤー1として共有することで、ゲームや企業ごとにレイヤー2を作成していってもリソースの分散化を防ぐことが可能になります。
プライベートチェーンやレイヤー1が乱立すると、セキュリティの担保をするためにそれぞれがリソースを投入する必要がありますが、Oasysのような多層構造をとればリソースの分散を避けられます。
但し、当然レイヤー1(Oasys-Hub)に何かあると全てのレイヤー2(Verse-Layer)に影響が出てしまう為、その点に関しては留意する必要があります。
4.FT/NFTデザイン・ブリッジ
Oasysでは、3種類のFT/NFTの形式があります。
・vFT/vNFT - 制限付きトークン
特定のVerse-Layer専用のトークンであり、外部と行き来することが出来ません。
・oFT/oNFT - 相互運用可能トークン
Oasys-Hub上でMint可能なトークンで、全てのVerse-Layerで利用可能です。
Ethereumなど他のチェーンにブリッジ出来ます。
・exFT/exNFT - 外部トークン
Ethereum等、Oasys外でMintされたトークンです。
ブリッジでOasys内に持ち込めます。
ブリッジはサードパーティ製(例:Multichain等)ではなく、公式で用意されます。
FTだけでなくNFTのブリッジも可能です。
初期状態では運営メンバーによるコンセンサスブリッジが運用されますが、将来的にはPoSブリッジに移行して分散されます。
5.Astar Networkとのパートナーシップ
Oasysはゲームに特化したエコシステムであり、開発者の多くはゲームのディベロッパーであることが想定されます。
そこで、Astarの様にDeFiがデプロイされているブロックチェーンとパートナーシップを組むことにより、Oasys上のトークンにユーティリティが追加されます。
ブロックチェーンプロジェクトにおいて、トークンのユーティリティは特に重要です。
ゲーム外でのユースケースが増えることは、プロジェクトにとってはプラスに働きますし、Astar Networkとしてもプラットフォームを利用されることになるのでお互いにとって利益になります。
Verse-Layer上にDeFiアプリをデプロイすることも出来ますが、Astar上のDeFiを利用した方がゲーム開発に集中できます。
Astar Networkについては過去に記事を書いていますので、知らない方は参考にどうぞ。
6.トケノミクス
OasysではネイティブトークンとしてOASを発行しますが、それぞれのVerse-Layerでもトークンの発行をして基軸通貨として利用することが可能です。
これにより、各Verse-Layerに適したトケノミクスを設定できます。
OASのユーティリティは以下となっています。
・Oasys-Hubでのガス代(Verse-Layerで設定されればそちらでも)
・PoS(バリデーター必要量は1000万OAS)
・Verse-Layer構築のためのデポジット(最低100万OAS)
・ガバナンス
・様々な場面での支払い
トークンのアロケーションは以下です。
7.まとめ
以上、今回はOasysについての記事でした。
ブロックチェーンゲームやメタバースに注目が集まる中、Oasysの様に既存のゲーム開発企業が参加しやすいプラットフォームが出来ることはいいことだと思います。
創業メンバーや開発企業に日本人が多いため、国内の企業がBCGに手を出しやすくなりそうです。
バリデーターとしてSEGAやバンダイナムコが入っているので、先導してVerse-Layerを立ち上げてBCGを出してくれると楽しそうですね。
現状だとまだどのようなゲームが出るかは不透明であるため、そこも含めて注目しておきたいプロジェクトだと思います。
ゲームだけでなく、色んな世界観のメタバース(Verse-Layer)が出来て自由に行き来できるようになっても面白いですね。
それでは、最後までお付き合い頂きありがとうございました。