メンターの話#8 【Houston, we have a problem.】
“Houston, we have a problem.”
このセリフは、映画「アポロ13」でトム・ハンクスが宇宙船の酸素タンク爆発時に放った一言です。何気ない一文ですが、切迫した状況を短文と現在形という時制によりまざまざと表す名台詞です。
そして、私たちが住んでいるこの宇宙船地球号もまた、かなり切迫した状況にあることをお伝えしたい。
次に示すのは全てではありませんが、主な世界の諸問題一覧です。
例として挙げたのは僕の知っている限りのものですが、一言でまとめている課題や僕の知らない課題がたくさんあることを考慮すると、これ以上に様々な課題があることは、想像に難くありません。
世界は僕たちが思っている以上に「ヤバい」のです。
これだけの課題があると全部解決するのは難しいと思う一方で、いつか解決するという楽観的な思考では手遅れになってしまう課題が山ほどあり、そうも言っていられないと強く思います。
しかも、一つ一つ解決が容易ではないのですから、めちゃめちゃ厄介です。
最も恐ろしいのは、挙げた課題がいつ自分に牙をむいてもおかしくないという点です。
昨今のウクライナとロシアの情勢もこうした社会課題の一つですが、今まで鳴りを潜めていた問題が表面化したに過ぎません。
ウクライナとロシアはその歴史的背景を見ればわかるように、前から緊張状態にありました。今や第三次世界大戦が起こるのではと危惧されるほどに問題は肥大化しています。コロナも一部の生態学者は危惧していましたが、ほとんどの人は予測できていませんでした。
こういうことが今後突然のように起きて、僕たちの生活を脅かし得ます。それもだいぶ低くない確率で。
それは50年後かもしれないけど、10年後かもしれないし、1年後かもしれない。1週間後かもしれないし、明日かもしれない。言うなれば、今の社会はいつ発作を起こしてもおかしくない状態です。
しかも、その原因となる「腫瘍」みたいなものが身体中にできている。
話は少し変わりますが、私の高校時代のある先生が
「人からもらうだけでなく、人に与える人になりなさい」
とよく言っていました。
また、別の先生は「人のために働きなさい」と言いました。
これはもっともなことだと思います。でも、現状それだけでは、先に列挙した課題は絶対に解決しません。
だから、これからは全員が課題のどれか一つにでも、何らかの形で貢献する義務があると僕は思っています。今までの大人はそんなことしてないし、そんな余裕は自分にないという意見もよくわかります。人間一つの仕事をするだけで精一杯でしょうし、自分に経済的に余裕がなければそんなことできるわけありません。
それでいいと思います。まずは自分や家族、大切にしたい人のことを優先して、その次でいいんです。でもその次には、課題に何かしらの形で関わることを優先してほしいと勝手ながら思ってしまいます。
僕がこの場を借りて、こんなに面倒臭いことを言うのは皆さんが比較的良い環境を与えられているからです。僕も比較的裕福な環境に生まれたからこそ、環境問題について考える余裕があるいう自覚があります。
ある研究(出典忘れました、ごめんなさい)では、頭の良さ以上に親の金銭的援助の有無が将来の社会的成功に寄与することがわかっています。それだけ、環境の影響は大きいのです。
洋々に通っているというだけで、一般的家庭よりも金銭的に恵まれた家庭であると断定できます。そんな、将来的に何か成し遂げうる皆さんにだからこそ、今の世界の凄惨さを知って欲しかったのです。そして、これからの世界を一緒に少しでもよくしていきたいと思っています。
僕が今話したのは「noblesse oblige」という道徳観に極めて近いものです。
それが綺麗事であるのは重々承知しています。そんなの知ったことじゃないという意見もその通りです。
先人は数々の遺産を僕達に残してくれました。だからこそ、今の豊かな生活がある。しかしながら、先人たちは負の遺産として、たくさんの諸問題も遺してしまった。でも、それを理由にこれを放置すれば、その先人たちに仲間入りするだけでなく、もっとひどい状態で次の世代に引き継がねばならなくなる。そして、それは先人たちの恩恵にだけ預かり、負の遺産を肯定することになる。
言いたいことは全部言いました。この文章を読んでくれる人が少ないのも、まだまだ僕に思慮に欠ける部分もたくさんあります。
だからこの勢い任せの文章を読んでくれた人が1人いるだけで御の字です。
僕も、この場を借りて言いたいことを言えたので、これだけの大口を叩くに見合うだけの努力をしようと思います。
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
次回は、僕がなぜこんなにも焦っているのかを、エントロピー増大の法則とは別の、僕の考える法則によって説明したいと思います。
執筆 メンター:あおた
編集 メンター:仁珠