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メンターの話#8 【Houston, we have a problem.】

“Houston, we have a problem.”

このセリフは、映画「アポロ13」でトム・ハンクスが宇宙船の酸素タンク爆発時に放った一言です。何気ない一文ですが、切迫した状況を短文と現在形という時制によりまざまざと表す名台詞です。
そして、私たちが住んでいるこの宇宙船地球号もまた、かなり切迫した状況にあることをお伝えしたい。

次に示すのは全てではありませんが、主な世界の諸問題一覧です。

環境問題:
気候変動(海面上昇、高波・高潮リスクの上昇、異常気象、生物の生息域の変動、農作物の不作、養殖業への打撃、ヒートアイランド、砂漠化の進行、海水の酸性化、気温・海水温の上昇、河川流況の変化、熱中症の増加)、不適切な再生可能エネルギーの使用、不必要な大規模開発、人獣共通感染症の拡大、遺伝子汚染、感染症の拡大、森林伐採、マングローブ林の減少、湿地の減少、半自然草地の減少、単一種での植林、過剰漁獲、密猟・密漁、混獲、外来生物、プラスチックごみ、その他様々な廃棄物の生態系拡大、過剰な農薬の使用、集約的農業、里山生態系の衰退、伝統的景観の損失、生物保全意識の低迷、生物恐怖症の拡大、獣害、バードストライク、鉱山採掘による水域の汚染、畜産業の大規模拡大による温室効果ガスの発生、アニマルウェルフェア、フードロス、フードマイレージ、国内林業の衰退、スギ花粉、不適切な護岸工事・埋立て、ダイオキシンなどのPOPs、重金属の流出と蓄積、PM2.5、化学物質の曝露による胎児への健康被害、グリーンウォッシュ・SDGsウォッシュ、船舶による海洋での音害、光害、宇宙ごみ

社会問題:
貧困(子供の貧困から大人の貧困まで)、貧困の連鎖、奨学金制度、少子高齢化、衆愚政治、ポピュリズム、投票率の低下、研究費の削減(基礎研究で顕著)、優秀な研究者の国大流出、各種産業の高齢化・後継者不足、LGBTQ、同性結婚、様々な性被害、保育士・介護士の減少・低待遇、教員数の減少、教員の劣悪な労働環境、ブラック企業、孤独死、地域コミュニティの崩壊、年金をはじめとする社会保障制度の欠陥、運動不足、食料問題(食料不足、肥満・生活習慣病)、食料自給率の低下、世界的な人口爆発、いじめ問題、各種ハラスメント、性差別、人種差別、階級差別、死刑制度、多重国籍に対する配慮の欠落、児童労働、モノカルチャー、原発問題、ゴミ埋立地の減少、常任理事国制度、紛争・内戦、領土問題、外国人による国土の売買、他国との歴史的軋轢、情報統制による権利侵害、地方の衰退、過疎過密、多額の税金の冗費、医療体制の脆弱性、医療体制の地方格差、デジタルディバイド、発展途上国におけるインフラの不整備、災害対策の不足、引きこもり、自殺、家庭内暴力、モンスターペアレンツ、食物の原産地偽装、古典的規制の存続、夫婦別姓、代理戦争、大国の利害、国家間不公平

例として挙げたのは僕の知っている限りのものですが、一言でまとめている課題や僕の知らない課題がたくさんあることを考慮すると、これ以上に様々な課題があることは、想像に難くありません。
世界は僕たちが思っている以上に「ヤバい」のです。

これだけの課題があると全部解決するのは難しいと思う一方で、いつか解決するという楽観的な思考では手遅れになってしまう課題が山ほどあり、そうも言っていられないと強く思います。
しかも、一つ一つ解決が容易ではないのですから、めちゃめちゃ厄介です。

最も恐ろしいのは、挙げた課題がいつ自分に牙をむいてもおかしくないという点です。

昨今のウクライナとロシアの情勢もこうした社会課題の一つですが、今まで鳴りを潜めていた問題が表面化したに過ぎません。
ウクライナとロシアはその歴史的背景を見ればわかるように、前から緊張状態にありました。今や第三次世界大戦が起こるのではと危惧されるほどに問題は肥大化しています。コロナも一部の生態学者は危惧していましたが、ほとんどの人は予測できていませんでした。

こういうことが今後突然のように起きて、僕たちの生活を脅かし得ます。それもだいぶ低くない確率で。
それは50年後かもしれないけど、10年後かもしれないし、1年後かもしれない。1週間後かもしれないし、明日かもしれない。言うなれば、今の社会はいつ発作を起こしてもおかしくない状態です。
しかも、その原因となる「腫瘍」みたいなものが身体中にできている。

話は少し変わりますが、私の高校時代のある先生が
「人からもらうだけでなく、人に与える人になりなさい」
とよく言っていました。
また、別の先生は「人のために働きなさい」と言いました。

これはもっともなことだと思います。でも、現状それだけでは、先に列挙した課題は絶対に解決しません。
だから、これからは全員が課題のどれか一つにでも、何らかの形で貢献する義務があると僕は思っています。今までの大人はそんなことしてないし、そんな余裕は自分にないという意見もよくわかります。人間一つの仕事をするだけで精一杯でしょうし、自分に経済的に余裕がなければそんなことできるわけありません。

それでいいと思います。まずは自分や家族、大切にしたい人のことを優先して、その次でいいんです。でもその次には、課題に何かしらの形で関わることを優先してほしいと勝手ながら思ってしまいます。


僕がこの場を借りて、こんなに面倒臭いことを言うのは皆さんが比較的良い環境を与えられているからです。僕も比較的裕福な環境に生まれたからこそ、環境問題について考える余裕があるいう自覚があります。

ある研究(出典忘れました、ごめんなさい)では、頭の良さ以上に親の金銭的援助の有無が将来の社会的成功に寄与することがわかっています。それだけ、環境の影響は大きいのです。
洋々に通っているというだけで、一般的家庭よりも金銭的に恵まれた家庭であると断定できます。そんな、将来的に何か成し遂げうる皆さんにだからこそ、今の世界の凄惨さを知って欲しかったのです。そして、これからの世界を一緒に少しでもよくしていきたいと思っています。

僕が今話したのは「noblesse oblige」という道徳観に極めて近いものです。
それが綺麗事であるのは重々承知しています。そんなの知ったことじゃないという意見もその通りです。
先人は数々の遺産を僕達に残してくれました。だからこそ、今の豊かな生活がある。しかしながら、先人たちは負の遺産として、たくさんの諸問題も遺してしまった。でも、それを理由にこれを放置すれば、その先人たちに仲間入りするだけでなく、もっとひどい状態で次の世代に引き継がねばならなくなる。そして、それは先人たちの恩恵にだけ預かり、負の遺産を肯定することになる。


言いたいことは全部言いました。この文章を読んでくれる人が少ないのも、まだまだ僕に思慮に欠ける部分もたくさんあります。
だからこの勢い任せの文章を読んでくれた人が1人いるだけで御の字です。
僕も、この場を借りて言いたいことを言えたので、これだけの大口を叩くに見合うだけの努力をしようと思います。

最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
次回は、僕がなぜこんなにも焦っているのかを、エントロピー増大の法則とは別の、僕の考える法則によって説明したいと思います。

執筆 メンター:あおた
編集 メンター:仁珠


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