うつ病日記:再起

 僕にとっての失敗は立ち上がれなくなること。過去に自ら何もかも諦めて不登校の引きこもりになった時期がある。未来を諦めて、精神崩壊でもして介護されてそのまま死ねればいいと思った。何もかも分からない赤ん坊に戻ればいいと。
 ある日僕は食べ物が食べれなくなった。固形物は完全に喉を通らなくなった。無理に飲み込むと吐き出す。なので、食事は1日1食、コーラとじゅくじゅくに伸び切ったチキンラーメンだけだった。あとは水を吐き気を耐えながら飲む。あまり入らないのでゆっくりと染み込ますように飲む。
 母が末期癌で亡くなる前、水すら飲めない時に僕は湿らしたガーゼをその唇にあてがった。それしか母はできなかった。当時の僕は美味しいご飯を食べると母に申し訳なくて涙を堪えていた。
 それがその数年後には何も食べれなくなった。神経性胃腸炎らしく体には何も病気はない。
 天罰だと思った。
 いや、むしろ餓死で死なせてくれるのだから願いが叶おうしているのかもしれないとも。
 ある日、祖父が夢に出てきた。
 山伏の格好をして僕に飴をくれた。その飴を舐めると喉がスゥっと安らいだ。以来、僕はまた飯が食えるようになった。
 お化けは信じてないけども、あの時に神や先祖の霊はいると思った。
 何か大きな力が僕に生きていいと教えにきたと思えた。
 僕は立ち上がることにした。
 大学に行き、教職課程を履修して教師になる。
 大学で教職課程を終えて教師になった。
 過労でうつ病になって教師を辞めた。
 けれども、なんとか生きた。
 転職して給与が下がって色々と悲惨な目に遭った。
 落ち込んで喧嘩して転職した。
 今の会社でまたいじめられてうつ病になった。
 死ぬんじゃないかな?と思った。
 今の俺には家族はいないから。
 役所や友達、知り合った人々……。
 いろんな人と話した。
 変な話、俺はどんどん人と繋がっていることに気づいた。家族を失っても優しくしてくれる方々。俺なんかに友愛を向けてくれる方々がいる。
 受けた御恩に報いるも悪くはない。ただ、それよりも今は俺のやりたいことをやりたい。
 
 たくさんの不幸に出逢ってきたが、どん底の中だからこそ人の真心や本当の優しさに触れ合えた。
 俺は憧れの師匠に弟子入りをお願いした。
 何があって今の自分はどんな状態か。
 俺の信念。
 俺の考え。
 俺の過去から導き出した求める未来。

 弟子入りは認められた。
 そこまでの過程には友達とどんな仕事をするか、どんなお願いの仕方をしたらいいか相談した下地がある。
 家から歩いて40分の神社で真剣に神様にお願いして仕事守も買って家で何度も何度も拝んだ。
 この成功は俺の力でなく、運の良さ。良き人たちに恵まれた俺の運の良さによるものだ。

 これからの人生も色々と苦しむだろう。
 なんなら今も金のことで四苦八苦している。けれども仕事が変わること。憧れの先生の弟子になれたことは素直に嬉しい。
 この心に満ちた喜びで俺はまだ生きていける。
 しばらくの間またしてもドン底の中にいた。けれども、俺はまた立ち上がれた。
 これから先も何かあるだろう。
 その度に屈しても再起してやる。

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