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『会社』と『社員』の距離のおき方。

昭和発想的な終身雇用を前提とした『社員は家族だ』という時代から移り変わり、現在では転職は普通のことで『会社』と『社員』の間は若干距離をおく関係になって両者の立場はどんどん対等(ドライ?)になっています。

これは良くも悪くもという面があり、会社側も社員側も一生続く関係ではない(かもしれない)という考えから相手に対するコミット感は薄れていきがちです。社員としては自分にメリットを感じなくなったらあっさり転職するのでしょうし、会社としてもそうなるリスクを想定して極力特定の社員への依存度を減らして代替がきくような構造にしなければいけなくなります。
※良い悪いではなく、時代の流れとそれへの対処をしている、というだけ。

以前は『会社側』の方が有利な立場だったのでしょうが、いまや時代は『働く側』が会社を選ぶ時代になりました。

社員側からするとひとつの会社に依存せずに自分のやりたいことを追求できる(適宜会社を選択できる)環境になったという点ではよかったと思いますし、会社側も胡坐をかかずに社員に向き合う必要(そうしないと去られてしまう)がでてきたということでいえば全体的には良い方向に向かっているといえるのかもしれません。


うちの実家は左官屋を経営していまして、毎年年末年始には職人さんたちが集まって宴会をやっているような典型的な『昭和経営』な会社でした。
子供の頃はその宴会にもよく参加していて、僕からすれば社員の方たちは遠方に住むおじさんみたいな感覚でとらえていたことを覚えています。その様子をみるに、社長(父)と部下の関係値も上下関係というよりは単純な『仲間』という感じでした。このときの体験が残っているからなのか、個人的には『昭和経営』に対して良い印象をもっています(笑)。
※『昭和経営』って言ってもいろいろあるのでしょうが。

やっぱり同じハコのなかで一緒に働いているのであれば、同じ目的のもとに良いことも辛いことも分かち合いながらみんなで進んでいくっていうのが個人的には理想の形だと思うんですよね。そして『終身雇用』っていうのもいまの時代に合ったカスタマイズができれば変わらずしも悪いものではないと思います。安心してずっと働ける環境があるっていうのは素晴らしいことだと思うので。
もちろん、時代性というのもあるので人によって理想の形は様々だと思いますが、自分が経営やマネジメントをする会社ではそのような会社でありたいと思います。

幸いにも『多様性』というのが叫ばれるようになり、何かひとつの形だけが『正解』であるという時代ではなくなりました。みんな自分に合った仕事や職場を選べばいいし、選びやすい時代です。自分に合ったモノやハコはきっとどこかにあるはずです。『職業選択の自由』と言われるように、自らの道は自ら選択して創れるのだから、できる限りミスマッチが起こらないようにするためにも事前の情報収集はより重要性を増していくと思います。


『昭和経営が好き』といっていますが、そうはいいつつも僕は『会社』と『社員』は一定の距離があった方が良いと思っています。やっぱりどこまでいってもそれはやはり互いに独立した『個』の存在なので、どちらも一生を捧げてコミットすることなんてできないからです。
何が起きるかわからない環境のなか、どちらも依存状態で一蓮托生で行くってことはないと思うので、会社は会社で、個人は個人で各々が独自にでもやっていけるようにしておく必要があると思います。
そのためにはやはり、一定の距離をもって依存ではなく協力しあって存続&成長していける関係であることが正しい姿な気がします。

どちらかに依存している状態は健全ではありません。
会社が社員に依存してしまうと経営努力よりも社員の実力や頑張りに丸フリすることとなります。社員も会社に依存すると何かをやってもらうことが当たり前となり、自らの力で切り開いていく姿勢がなくなっていきます。
それらの結果が個人では過重労働になったり、精神的に疲弊してしまったり、会社としては成長を妨げる要因になってきたりします。
やはりそこにはいい意味での距離感が必要であり、客観的にみれるようにしていなければいけないと思います。


僕のなかで理想の距離感は、まずは『会社』と『社員』の距離感は一定離れており、いつ離れても(離れられても)仕方ないという状態にあること。いわゆるお見合い状態ってやつですね。そのなかで社長や企業の考え方や仕事内容が自分とマッチングできているのであれば『昭和経営』並みに深く入り込んでコミットする、という感じです。

社員は初めから「会社のために」といった想いは持たなくて良いと思いますが(・・というか時間をかけないと想えないですよね)、会社側は初めから「社員のために」という気持ちは持つべきだと思います。・・でなければ関係値ができる前に社員は去って行ってしまうから。まずは与えられる前に与えよ、の精神が必要だと思います。


先述したとおり、すでに『会社が人を選ぶ』時代は終わっており、『人が会社を選ぶ』時代になっているので、会社側は自分たちがどのような存在であるかをアピールしなければいけないし、ずっと居続けてもらうために寄り添い続ける必要があります。

・・かといって、卑屈になるのは良くないです。
社員側に寄り添いすぎて会社本来の軸がブレてしまっては意味がありません。このため、会社側はブレない軸を持ち、それをわかりやすく訴求して、そこに共感した人たちに集まってもらい、その方たちに居続けてもらうために軸からブレない範囲で寄り添いつつづけることが大事だと思います。

会社と社員が対等な立場になってきたからこそ、昭和的な一体感をもった家族経営になれるように目指していく、という感じがちょうどいい落としどころになるのかなって最近思う次第です。
※実際にはなれないでしょうから、ちょうどいい落としどころに落ちるくらいになるんじゃないか、と思います(笑)。

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