見出し画像

『専門職』のキャリアは迷子になりやすいのかも?

先日、古くからの知人が自身の所属企業のグループ会社(海外)に旅立ちました。僕は彼が新卒で入社したときからの関わりで、当時はともに案件で一緒になることも多かったのですが、僕が現場から離れてからは接する機会はほぼなくなってしまいました。それでもSNSで彼がどんどん出世していく姿は見れていたので、その都度勝手に感慨深く感じていました(苦笑)。現場で実績をあげて経営企画に移り、会社の改革を行った後に今回海外への挑戦。挑戦のスケールが都度大きいし、新しい環境に飛びこむ勇気をもつ『挑戦者』はやはり魅力的だなぁと改めて思いました。

彼の会社は俗にいう『メンバーシップ型』の人事制度の会社で、一定の期間に応じて様々な事業や部署を渡り歩き、多様な経験を積んでいわゆる『総合職』を極めていきます。昨今は『ジョブ型』が注目されて、旧来の日本のシステムである『メンバーシップ型』は今後廃れていくといった風潮もありますが、彼の姿をみているとそんなこともないな、と感じます。『メンバーシップ型』には『メンバーシップ型』の良いところがあり、この制度でなくては行きつけない領域というのも存在するんだろうなぁと改めて感じます。

ただし、それには環境が大事なんだろうなぁとも感じます。彼が所属しているような大企業かつ多様&多角経営を行っており、グローバルな展開をしているような企業でなければ『メンバーシップ型』のキャリアは最大限に活かせないのかも、と思うところも。規模の小さい会社や複数の事業を行っていてもさほど変化のない事業ばかりのところでいろいろな部署を転々としても自身が得られる幅の広さはそんなに大きくはないな、と思うのです。

『メンバーシップ型(主に総合職)』は(自身でキャリアを描くこともできるでしょうが)主に会社側からの意向でキャリアを描いていきます。代わって『ジョブ型(主に専門職)』はどうなんだろう?と思いました。その道を深く追求していくキャリアは積めるのでしょうが、幅の広さという意味ではもしかしたら難しいのかも、と思ったり。
※『専門職』の定義にもよるのかな?とも思いますが。


専門職の方は比較的『就社思考』ではなく『就職思考』です。好きな職種に就いて働くことが目的であって、その会社で働き続けることが目的にはならない。このため、その職場で好きな仕事をやっていられるのであれば転職をする必要も感じないのでとどまることも多いでしょう。逆に『職』を遂行するにあたって阻害要因が大きくなるようなら簡単に辞めていってしまう。
※優秀なクリエイターが大きな会社にとどまれないのはこの辺の問題が大きいな、と。
以前、この辺に関連する記事を投稿したのでご参考に。

昨今ではアナウンサーの方が異動と共に退職をしたりする話題が多いですが、こういった方たちも『就社思考』ではなく『就職思考』なのでしょう。
※アナウンサーも専門職ですもんね。


周囲の専門職の方の話を聞くと、好きな仕事を続けていたとしても40歳前後から今後のキャリアに不安を感じる人も多いようです。「自分はずっとプレイヤーとしてやっていく!」と腹を括っている方は良いでしょうが、そうでない方は「このままこの仕事をずっと続けていられるのか?続けてて良いのか?」と考えだすとのこと。

体力的にも無理がきかなくなってきて、感性や情報のキャッチアップも若い人たちに追い抜かれそう・・でもそれ以外の働き方を知らないので他の選択肢も浮かばないことに漠然と不安を感じていくんだとか。そうなる前にマネジメント(他人を活かす方法)を学べていれば違う働き方も考えられるのでしょうが専門職の人は自分で手を動かして成果を挙げることに喜びを感じる人が多いので、その経験も乏しく歳を重ねている方も多い。
※気づいたときには「時すでに遅し」の状態という・・。

一方、会社側も専門職の方のキャリアを考えることが苦手な企業が多い。世の中の経営層の方たちが主に総合職の人で専門職の人が少ない、という現実も影響しているのかもしれません。
※大企業でデザイナー出身の社長、とかあまり見たことないな、と。
専門職の人たちは総合職の人たちと同じようなキャリアプランを考えても当てはまらないことが多い。このため、上に立つ経営層が総合職の方たちで占められているのであれば、専門職の人たちのことを理解しにくいので、会社として専門職のキャリアを考えるのは難しいというところもあるんじゃないかな、と。

気になる方は社長やマネージャーに「この会社はクリエイターが定年まで働ける環境ですか?どのように実現しようと考えているんですか?」と具体的な答えがでてくるか質問しても良いかもしれませんね(苦笑)。

ある程度年齢がいってから自分でも今後のキャリアを考えることが難しい、会社側も考えてくれているようにはみえない、という環境になってしまうのは怖いことなので、専門職の方は事前にある程度数年先を見据えて自身の中で将来のキャリアの選択肢をもてるように考え、行動しておきたいところです。

ちなみに僕は「一生現場でやり続けます!自分は生涯クリエイターです!」と腹をくくっている人も好きです(苦笑)。そういう覚悟を決めている人には幸せになってもらいたい。そういう人をどのように活かすかは経営側の責任も大きいと考えているので「クリエイターの終身雇用が実現できる会社を創る」というのを自分のテーマとして引き続き理想を追っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?