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罅割れたククサを補修する

 もう四年前のことになる。
 旅行で訪れたスウェーデン・キルナの土産物屋でククサを購入した。沢山の種類が並ぶ棚から、散々悩んで、持ち手に飾りの付いたひとつを選んだ。その後帰国してしばらく、そのククサでコーヒーを飲んでいた。

 数ヶ月後。決して適当な扱いはしていなかった筈なのだが、ククサの底に罅が入った。罅は日に日に大きくなり、遂に向こう側へと貫通した。流石にこれではもう使い物にならないので、仕方がない、処分しようと思いつつも、やはり勿体なく思う気持ちがあり、捨てあぐねているうちに、いつの間にかキッチンの隅で小物入れになっていた。

 そして先日ふと、この罅を塞ぐ方法はないものか、何かやりようがあるのではないかと思い立ち、我らがGoogle先生で検索してみた。すると、「タイトボンドⅢ」なる商品なら、ククサの罅を埋めるのに丁度良いという話が見付かった。
 このボンドは耐水性があり、食器などに使うことができるらしい。これは良い、と早速購入し、四年前の罅を埋めることにした。

タイトボンドⅢ

 タイトボンドは三種類あるようだったが、それぞれ機能が違うようだ。もし購入する際は注意して欲しい。また、私が調べた上では「食器に使える」という結論に達したが、もし補修方法を求めて当記事を読んでいるのであれば、この点に関しては一応ご自身でも調べて欲しい。

 勝手は良く分からないが、とりあえず罅にボンドを流し込む。思ったより粘度が低く、ドロっと出てきたので少し焦った。爪楊枝で罅にボンドを押し込み、埋めていく。先に内側を埋め、はみ出した分は濡れたキッチンペーパーで拭き取った。乾燥したのを確認してから、外側を同様に埋めた。

傷を埋めたところ

 拭き取りはしたのだが、見ての通りボンドが付着したらしき部分がなんか汚い。
 一旦、この状態で乾かして、中にコーヒーを注いで見た。漏れることはなく、どうやらちゃんと塞がったらしい。ところで、何故水ではなくいきなりコーヒーで試したのか? 私にも良く分からない。

 何にせよ、これでは見た目が良くないので、ボンドがはみ出たところはヤスリで削っていく。ついでに何となく底面が平らじゃなかったので、ちょっと出っ張っている気がするところもヤスリ掛けした。

ヤスリ掛け後

 まだちょっと汚い気がするが、とりあえずこれでよしとする。罅も目立っているが漏れないのでOKOK。気になるなら金継ぎなどで隠してしまうのも良いかもしれない。
 最後に、全体をウォルナットオイルで拭く。我が家にはオイルがあったのでそれを使ったが、なければクルミを砕いて絞る方法もあるらしい。オイル拭きしてから、キッチンペーパーでから拭きをする。

オイルで拭いた後。左の木目が輝いて見える

 するとこうなるのだが、私はこのオイル拭き直後に現れる、キラキラ光る木目が大好きである。そういえば買った当時も、これを見て感動したな、ということを思い出した。
 一度は捨てようと思ったククサだが、無事罅は塞がり、また使えるようになった。もっと早く直してあげられれば良かったのだが。今後も末永く、私のコーヒータイムのお供で居て欲しい。

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