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ポメラ日記 2020年2月9日 どうぞお幸せにの日

今日は結婚パーティにお呼ばれだ。
つまり、朝からぱんださんと、よんださんと、わたしの三人分のおめかしの準備が必要だということだ。ささださんは服装文化に興味関心がないので戦力外だ。
ぱんださんに紺色の上品なワンピースを提案したところ、「かわいいのがいいの」と却下されたために赤のドレスと相成った。
そして今すぐドレスを着たがるのを「汚すから」と説得し、試着の後雑なTシャツに着替えてもらうのにまた骨を折る。まぁでも分かるよ、きれいな特別な服は今すぐ着たいよね。

自分の服装もなかなか難しく、なぜなら絶対に授乳があるからだ。上下が別れていて上がめくれるものでなければならないので、よそ行きのワンピースは真っ先に却下だ。しかも子連れとは機動力を要求される。しかし是非とも祝意を文化的フォーマットに則って表現したい。
結果、光沢と張りのある生地の裾広がりのワイドパンツに襟付きの白シャツ、丈が短めで丸い形の黒のボレロになった。この格好何かに似てるな…としばらく考えて思い当たる。アラジンと魔法のランプっぽい。ターバンを巻こうかと考えて、完全に目的から逸れていることに気づく。祝意だ祝意。
わたしのワイドパンツが赤寄りのピンク、ぱんださんのドレスが赤で、生地の感じも似ていたため、ぱんださんが「おそろい」と喜んでくれてよかった。

品川で、結婚パーティの前にアクア・パークという水族館に行った。
入場するなり、水族館に来たはずなのに遊園地によくある乗り物「海賊船」と「メリーゴーランド」に遭遇して腰が引けたが、それ以外はけっこう充実した(こじんまりとはしているが)普通の水族館だった。

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ささださんとぱんださんがイルカショーを見ている間に授乳する。
そこの授乳室がちょっと寒かったため、「冬の授乳室の性能を決めるのは暖房」みたいなツイートをする。しかしそのときのわたしは知らない、この後ホテルのパーティに行き、クラッシックで優雅な洋館の、庭の見える豪華で広々とした一室が授乳室に当てられていることを…(あとでびびった。ベビーベッドまで置いてあってすごく助かりました)。


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出発直前にしまじろうの水族館の回をみていたぱんださん、イルカショーにも大興奮していた。アクアチューブ(天井まで水槽がある円形の通路)、照明で次々色を変えるクラゲなどを楽しんで、お昼ごはんへ。ここでぱんださんが寝落ちする。
ベビーカーにぱんださんを寝かせ、よんださんはわたしが抱っこして結婚パーティ会場へ。久々に革靴を履いているため、赤子の体重がダイレクトに足にかかって吸収されず、いつものスニーカーのありがたさを思う。
会場でぱんださんを赤いドレスに着替えさせ、よんださんにおめかしスタイをつけて、どちらもとてもかわいくて嬉しい。
クラッシックな洋館に赤いドレスのぱんださんは、やっぱりちょっと悪役令嬢の幼少期っぽかった。

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パーティは、主役のお二人の心遣いがすみずみに行き渡り、とても楽しくてよい会だった。お料理も美味しいし居心地は良いし、お二人がお幸せそう。人望により皆が祝っている。最高だ。
ただしよんださんは、主に黒いフォーマルな服装の人たちがいっぱい集まった空間が怖かったのか、最初の方はずっとべそをかいていた。
そしてわたしは、久しぶりにプログラマー界隈と顔を合わせたのでちょっと挙動が不審だった。しゃべり方とかが思い出せなかった…迷子になりがちな社会性よ…。
元職場の後輩に、つい「大人っぽくなったね」などと声を掛けてしまい、内心でだいたい彼女を何歳くらいに思っているのか自分でも疑問に思う。小さい頃を知っている親戚のおばちゃんが、その子が大人になってもいまいちファーストインプレッションが更新されないのと同じ現象である。そういえばわたしは神木隆之介のこともまだ『妖怪大戦争』の小学生だと思っている。
たくさん色んな方とお話しできたのも楽しかった。途中で飽きて床に転がったりわたしのパンツのベルト布をねじり始めたぱんださんにも優しく大目にみてもらってありがとうございました。
ぱんださんよりすこし年上のお子さんが三人いらっしゃるプログラマー仲間のやんちゃさんに、
「お子さん、もう床に転がらなくてすごい」
と言ったら
「床に転がらないと…思いますか?」
と聞き返されたのが胸に残った。


やんちゃさんと言えば、お式が終わってもう一度水族館に再入場しようとタクシーに乗ったら、運転手さんが
「さっきもお子さん三人いらっしゃる人を乗せてねぇ。おくさんが先に帰られたとかで」
という話をされて、ささださんと一緒に
(やんちゃさんだ…これはやんちゃさんのことだ…)
と思っていたら、運転手さんが続けて
「ありゃあたいへんだ、”やんちゃ”ざかりの年の子ばっかりで」
と言ったのでフフッっと変な息が出てしまった。
それはそうと、タクシーの運転手さんはあんまり他の乗客の情報をしゃべらないでほしい。


水族館再入場のお目当ては、夜のイルカショーである。
授乳で昼は見られなかったよんださんが、ショーの始まる前のプールのイルカの気配に興奮して前のめりになっていた。海に帰りそうで心配だ。
照明が暗くなり、音楽が流れる。プール中央に、天井から水が落ちてきて、筒状の水の幕を作り、そこにプロジェクション・マッピングの映像が投影される。
思わず
「えっV6のライブ始まる…!?」
と立ち上がり掛けたが無事イルカショーが始まり、イルカは見事に跳ねたり立ち泳ぎをしたりしていた。
V6における円形の水の幕と映像の投影の関係は、栄えある第23回日本照明家協会賞新人賞を受賞したLOVE&LIFE ~V6 SUMMER SPECIAL DREAME LIVE 2003~をご鑑賞ください(早口)。

空いててカップルの多い夕刻の水族館を満喫し、ぱんださんがお腹が減ったというので、わたしが一度行ってみたかったアンナ・ミラーズに行ってみる。
そこでわたしのサラダに乗ったオリーブに目をとめたぱんださんが、
「たべてみたい」
「うーん、オリーブはぱんちゃんは…苦手かもしれないからはじめはひとかじりね」
「おりーぶって、くだもの?」
それは……どうなんだろう。オリーブって果物? ぎんなんとかと同カテゴリーな気がしていたが、ぎんなんは果物か…?

品川駅のベビー休憩室の設備の良さに感動しつつ帰宅し、疲弊して寝支度をする。
「ごほんよんで」とぱんださんが本を抱えてきたが、時間が遅く授乳中だったこともあり、「やだーもうおかーさんつかれたー」とぐずぐずだだをこねて断った。
そうするとぱんださんが、同じくぐずぐずと情けない声で、
「げんきだしてよぅ…」
と励ましてくる。
つい笑ってしまって、元気が出たので、絵本を読んで寝た。
『トヤのひっこし』と、『どうぞのいす』でした。


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