月記:2023.6
久しぶりに更新します。最近触れた本、音楽、映画など。
阿部謹也『中世の星の下で』
中世ヨーロッパの習俗に関するエッセイ。星が人に与える影響、石の持つ呪術性、橋の霊性、聖なる煙突掃除人、人狼など。中世ドイツの人々が生きた宇宙を説明する。こういうの好きです。
澁澤龍彦 『私のプリニウス』
良い意味で肩の力が抜けたエッセイ。うろ覚えで書いているところも大分ある気がします。教養人なのでこのくらいの文章は軽く書けてしまうんだろうな。
古典はどうしても肩肘張って読まれてしまうものですが、このくらいナメた態度のほうが『博物誌』みたいな幻想味あふれるテキストはよく読めるのではとおもったりする。
伊藤潤二『恐怖の生まれるところ』
伊藤潤二の自伝と創作論を混ぜたようなエッセイ(今回エッセイばかりだ……)。駆け出しのころ、倫理的に問題がある表現について編集者から強く指導されていたというエピソードがあったり、恐怖について色々と設計主義的に考えていたりと読んでいて面白かった。
最近SNSなんかで「一番怖いのは人」という表現がクリシェとしてあげつらわれたりしていますが、この本の中で伊藤氏は「一番怖いのは自分」と言い切っていました。
北杜夫『楡家の人びと』
北杜夫はずっと好きでだいたい読んでいるのですが、これは長編ということもあって手つかずでした。純文学モードの北の作品を読むのは『幽霊』『木霊』以来です。両作品とよりもあとになって書かれたのもあり、エッセイで培われた?ユーモアあふれる人物描写が光ります。著者の作品は、女性があまりキャラが立っていない事が多い印象があるですが、本作は割りとくっきり描写されているのも特徴。まだ一部しか読んでないですが、無理することな三部まで読み進められそうです。
ちなみに、どくとるマンボウは『青春記』が一番好き。
L'Imepratrice 『Tako Tsubo』
リンペラトリーチェと読む。皇后という意味だそうです。フランスのバンド。レトロなエレクトリックサウンドが心地よくてアルバム一枚すぐ聴けてしまう。他のアルバムも聴いてみよう。
Awich 「螺旋沖縄」「LONGINESS REMIX」
レペゼンという言葉も市民権を得てきたけれど、Awichほど自分のアイデンティをうまく体現しているアーティストはいないのではないでしょうか。二曲とも沖縄がテーマで、沖縄出身のラッパーを集めた曲。両方ともMVがすごく良かった。ヘッズに怒られるかもしれないけど、自分が中学生の時はこういうヒップホップは日本になかったなあ。
最近はカトリ2のゲラをやったり、別の作品をのろのろ書いたりしています。
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